| はぁ、とアンニュイな溜息が部屋に響く。 これで何度目だろう。 一応、ドレスに着替えている。 しかし、結局は... そうしてまた溜息。 ・は本日何度目かの自分の溜息を耳にしてまた溜息をつきたくなった。 頭もそう飛びぬけて良いというわけはない。 運動神経も、『並』である。 さらに、容姿端麗とは言い難い。 つまり、総じて『普通』がを表わすのに最も適した単語である。 それを悪いとは言わない。 言わないが、友人や親戚など、自分の周りはどうしても目立つ人物がゴロゴロ転がっている。 よって、『普通』が全く『普通』に見えないのだ。 ドアをノックする音が聞こえて応じると、中に入ってきたのは、所謂幼馴染のニコル・アマルフィだった。 彼とは家が近所とか、親が友人同士だったとかそう言うのではなく。 の親と彼のピアノの師匠が友人同士で、偶々遊びに行ったときに、同じ年の彼を紹介されて交友関係を持ったのである。 そして、彼は『目立つ人物』のカテゴリーに含まれている。 「お迎えに上がりましたよ」 彼がにこりと微笑むと、それはそれは可愛らしくて、周囲の女性がぽっと赤くなる姿を何度見かけたことか... 「ありがとう、いつもごめんね」 苦く笑うにニコルは驚いたように眉を上げた。 「いいえ、僕は好きでエスコートさせていただいているんですよ」 ニコルの言葉には「ありがとう」と返す。 の家は、親がパーティに招待されれば、子供も出て行かなくてはならない、それなりの家である。 その場合、エスコートが必要となる。 勿論、パートナーがいなかったらそれはそれで構わないという話のようで、それならそうしようと思っていたが、初めてパーティに出席する際にニコルに話すと、エスコートを引き受けてくれた。 それがきっかけで、それ以降、ニコルが付き合ってくれている。 彼自身も忙しいだろうに... 「ニコルならもっと愛嬌があって可愛い子とか、品があって綺麗な人のエスコートができるだろうに...」 ずっと気になっていたことが零れた。 「あなたは素敵ですよ」 少し苛立たしそうな口調でニコルが言う。 「い、やだなぁ...ニコルってば、口が上手いんだから」 パタパタと手を振りつつ、あははは、と笑いを付け足していたが、ニコルの眸に捕らえられてピタリとそれは止まる。 「あ、あの...」 「僕は、争いごとは嫌いですが、好印象を得るために誰かをおだてることはしません。だから、この言葉は僕の本心です。もっと自分に自信を持ってください」 そう言ってにこりと微笑む。 有無を言わせない天使の微笑みに、はコクリと頷いた。 「け、けどね。ニコル。わたし...」 言いよどむの手をニコルがキュッと握った。 「大丈夫です。僕が付いているんですよ?」 自信たっぷりにそういうニコルの表情を見ては一瞬息が止まる。 いつもの物腰の柔らかな微笑と言うよりも、自信たっぷりのどこか挑発的な笑みでそのギャップに戸惑う。 「あ、あれ...」 胸を押さえると鼓動が早く、落ち着かない。 「どうかしましたか?」 「ニコルが、かっこよかったから...」 の言葉にニコルはきょとんとして、苦笑する。 「ありがとうございます。さあ、行きましょう。僕は、という姫を守る騎士です」 そう言って差し出された彼の手にはそっと自分の手を重ねる。 エスコートしてくれるニコルがいつも以上に頼もしく思えて、自然と背筋が伸びた。 |
勝手に応援企画第二弾。皆様からリクエストをいただいて、創作させていただいています。
6本目のリクエスト内容は次の通り。
ガンダムSEEDのニコルからヒロインへ。
「もっと自分に自信を持ってください」って感じのを
照れているときに、ついおどけてしまうヒロイン
企画へのご協力、ありがとうございました!
桜風
12.05.19
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