「知ってるよ」





車窓を流れる景色では、しとしとと雨が降っていた。

自宅の最寄り駅を出て手を庇の先に出す。

何となく、霧雨っぽい。少し手が濡れるけれど、傘を差す必要もなさそうだ。

しかし、一応、せっかく傘を持ってるのだから、とは鞄からピンクの花柄の折り畳み傘を取り出した。

何だか雨はちょっと鬱陶しいから好きじゃない。



タッタッタと軽快な足音が近付いてくる。

振り返ると自分より遥かに小さかった頃から知っている黄瀬涼太が駆けて来ているところだった。

幼い頃は本当に小さくて可愛かったのに、今ではぐんぐんと背も伸びて、さらに女の子にモテまくりの人生を送っていると言うのだから、腹立たしいことこの上ない。


彼は最近凄く楽しそうだった。

器用貧乏なのか、基本的に何でも出来る彼は、何かに熱中することがなかった。

それなのに、此処最近は凄く楽しそうだ。

「今帰り?」

黄瀬はの隣に立って歩き出す。

「うん。涼太も?」

「そう」

頷いた黄瀬はの傘を持った。

「入れて」

「やーよー。涼太ってば、背が高いからあたしが濡れちゃう」

「大丈夫だって。ほら」

そう言って黄瀬はの肩を抱くようにして腕を回し、傘を持つ。

「わ、タラシさん。何するの?」

「タラシって何だよー」

ぶうぶうと膨れる黄瀬には笑みを零す。

「涼太、部活楽しい?」

「んー、まあ。思い通りにならないって意外と楽しいもんだなって最近は思う..かな?」

「わ、ムカつくくらいに贅沢な一言」

が言うと黄瀬は笑う。

は?」

「委員会。皆サボるのよー。今日だって、この時間まで居残りはあたしだけ。しかも、『早く帰れ』って先生に怒られたし」

プリプリと怒りながらが言う。

「そっか。、マジメだしねー」

「あ、軽くバカにした!」

指をさして指摘すると黄瀬は笑う。

「疲れてるね」

黄瀬の指摘には膨れる。

「言ったじゃない。皆サボるって。それなのに、美味しいところ持ってく」

「うん」

「いっつも、貧乏くじ」

ツンと拗ねて呟く。

「知ってるよ」

ぽんと、大きな手が頭の上に載せられた。

「オレは、が頑張り屋さんなの、知ってる」

彼の体温を感じたは泣きそうになって俯く。

「涼太」

「なに?」

「...ばか」

「酷いなぁ、は」

苦笑していう黄瀬は、よしよしとの頭を撫でた。

「涼太」

「なに?」

「雨、やんでる」

の指摘に黄瀬は苦笑した。

「いいじゃん、もうちょっと。相合傘しちゃおうよ」

「...ん」

は短く頷き、黄瀬は「ははっ」と嬉しそうに笑った。




勝手に応援企画第二弾。皆様からリクエストをいただいて、創作させていただいています。
7本目のリクエスト内容は次の通り。
黒バスの黄瀬からヒロインへ。
幼馴染み設定で「知ってるよ」もしくは「わかってるよ」

企画へのご協力、ありがとうございました!


桜風
12.07.20


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