| 数ヶ月の巡視を終えて一度本国へ帰還する日を迎えた。 ボルテールなどのジュール隊の艦は整備・点検・補充をすることとなっているため、少し休暇が出ている。 「ディアッカ!ごめん、お待たせ」 何か奢ると約束をしていたため、この機会にはディアッカに食事を奢る事にした。 本当は別に構わないと思っていたけど、少し気晴らしがしたいと思っていたディアッカは丁度良いと言葉に甘える事にした。 とはいえ、流石にディナーは遠慮したほうが良いだろうというコトでランチをご馳走してもらう事にした。 「いいって。時間前だし」 「ディアッカって意外と時間には正確よね?」 感心したようにが唸る。 「ま、一応な。んで、何処にするよ?」 「見て見て〜」と言いながらが鞄から何か、紙を取り出した。 「ん?」 ディアッカはそれを覗き込む。 「先週オープンしたらしいよ。これはもう、行くしかないよね!」 楽しそうに笑ってがディアッカを見上げる。 「オッケー」 ディアッカも軽い口調で了承した。 待ち合わせ場所から近いこともあって徒歩で移動した。 今日は世の中も休日というやつで結構人出もある。 の親友が住んでいるコロニーであり、何度も遊びに来ているため慣れているの案内でその最近オープンしたという店へと向かった。 外から中の様子を見てみると結構にぎわっているようだ。 「大丈夫かな?」 「並んでもいいよ、俺は」 に応えてディアッカは店員に声を掛ける。 テラスにも席があるらしい。 「どうする?」 「テラスが良いな。空いてるなら」 店員に確認すると丁度空いたらしい。先ほど店を後にしたカップルがテラスに居たのかもしれない。 案内されて席に着く。 注文が決まったら呼んでください、と決まり文句を言って店員が下がる。 意外と2人とも即決でメニューを選んで注文した。 店の周りの様子を楽しそうに眺めるに 「それ、前から着けてたっけ?」 ディアッカが不意に声を掛けてきた。 その視線を辿り、はにんまりと笑う。 「船に乗ってるときは着けてなかったけどね。プラントに居るときは付けてた。可愛いでしょ?」 「イザークから?」 「そうだよ。去年の誕生日にくれたの」 嬉しそうに左手の小指に着けているリングを眺めながらが応える。 「そっか。似合うじゃん」 「ありがと」 ディアッカは幸せそうに笑うに目を細めて薄く笑う。 そして、先ほどまでがしていたように店の周りの景色に視線を移して頬杖をついた。 「何か悩み事?」 不意にに声を掛けられてディアッカは驚いてに顔を向ける。 「え、何で?」 「無意識の溜息とは、重症ですな」 ゆるゆると首を振りながらは感想を述べる。 どうやら、溜息を吐いていたようだ。 「たちの逆ってトコロかな?」 はは、と少しおどけて簡潔に今の状況を口にした。 「えーと、前に言ってた地球に居る。えー...ミ、ミリィちゃんだっけ?」 「そう。別れたんだよ。振られた」 「ディアッカが!?」 アカデミーの頃よりディアッカの存在を知っているは素直に驚く。 「浮気、しちゃったの?」 「断じて違う」 睨まれた。 「そっかー。ま、リベンジだね!」 の言葉にディアッカは目を丸くした。 「は?何で?俺、振られたんだよ?」 「じゃあ、諦められるの?」 に聞かれて押し黙る。今は、ちょっと無理、かな? 「私ね、時々考えてるんだけど。イザークに振られてもすぐにはリベンジしないんだー」 「唐突だな」 苦笑いを浮かべてディアッカが言う。 「うん。唐突。あのね、振った方は一応、別れたいっていう理由が有るわけじゃん?だから、別れても納得いってるのよ。別れた直後は。 けど、その後はどうだろう?意外と、まだ振られた方にもチャンスがあるのではないかと思うわけですよ」 「屁理屈、って気もするぞ?」 「希望を捨てないポジティブシンキングよ!その間に自分の中で色々整理を付けるの。本当にリベンジするだけの気持ちがあるのか、とか。他にいい人居るだろうとか。本当に色々。 それでも、やっぱりダメだったらリベンジですよ!少し距離と時間を置いたら案外すんなり上手く行くことがあるかもしれないって寸法よ。どう?」 「楽観的だな」 ディアッカは呆れたように呟く。 「けど、悪くないな、それ」 そう言って笑う。 「そうだなー。ちょっとそれ採用するかどうか考えてみるわ」 「よろしくご検討の程、お願い致します」 深々とが頭を下げる。 それが全て大げさな芝居がかっていて可笑しかった。そして、心が楽になった。 「ま、がイザークに振られるってコトはコロニー全部が地球に落ちてもありえないけどな」 「わかんないよ?若くてピチピチした子が良いとか言い出すかも。きゃー、怖い!」 「お前いくつだよ」と呆れながらディアッカは笑う。 その店で食事を済ませて店を出る。 は首を傾げていた。ディアッカを奢るという話だったのに、何故かディアッカに奢られてしまった。 むむ、と眉間に皺を寄せて腕組みをながら考えるの頭をディアッカが軽く小突く。 「良いんだよ。お礼だよ、お礼」 益々混乱した。 |
桜風
07.9.29
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