| ユニウスセブンが地球に落ち、そして、地球には甚大な被害が広がる。 そんな中で大西洋連邦とユーラシアが共同で声明を出した。 今回のテログループの逮捕・引渡しや賠償金、武装解除など多くの要求をプラント側に突きつけてきた。 デュランダルをプラントに送り届けたジュール隊は軍事ステーションで待機というのが現状で、現在の地球側からの声明や最高評議会の対応についての情報を待っていた。 暫くして国防委員会からの命で国防の任に当たることとなった。 イザークと、その副官であるディアッカはザフトの空母であるゴンドワナで今回の任務に関するブリーフィングを済ませてボルテールに戻る。 悪い方向へと向かう現状に溜息を吐きながらイザークが自室である隊長室へと向かい、自分の部屋の前に何か塊が居るのに気がついて一瞬歩みを緩める。 「どうした?」 イザークの声にその塊、膝を抱えて座り込んでいた・は顔を上げて立ち上がった。 「どうした?」 のすぐ目の前にやってきてイザークは再び同じ言葉を口にする。 「ドクターには情報が伝わらないのです」 医師は直接戦闘に参加しないため、の元には正確な情報は入ってこない。 「ああ、そうか。じゃあ、中で話そう」 の言いたいことを理解したイザークは部屋に入るように促した。 イザークは先ほどゴンドワナで得た情報と、これからのザフトの動きについてに説明をする。 「議長は、何て?」 の言葉にイザークは驚いたように眉を上げ 「ああ。あくまでも対話による解決を、って」 と聞いた事を口にし、 「そう...」 とは頷いた。 「どうした?この間から少し変だぞ?何か気になることでもあるのか?」 心配そうにイザークがの顔を覗きこむ。 「ううん、何でもない」 またそれか、と思いながら「分かった」とイザークは溜息混じりに頷いた。 「ごめんね、ありがとう」 「ああ。また知りたいことがあれば聞きに来いよ」 が出て行った後、イザークは深く息を吐く。 パイロットの大半はゴンドワナに詰めておかなければならない。休む間もなくイザークは艦長とボルテールに残るパイロットに指示を出してゴンドワナへと移動した。 暫くして艦内にアラームが響く。 イザークたちパイロットはドッグに向かう。 元々、予備機も戦闘ステータスに設定するように、と戦闘に備えて動いていたため混乱に陥るような事はなかったが。 「結局、こうなるのかよ。やっぱり」 MSに乗ってイザークは忌々しげに呟く。 対話による解決に臨んでも相手が応じなければ意味がない。 戦闘が開始され、それぞれのMSが散っていく中で軍司令部から入電がある。 極軌道から、核を持った別部隊がプラントを狙っているというものだ。 今、イザークたちが応戦していた部隊は全ておとりだったという事実にディアッカも驚き、そしてその別部隊の核攻撃を阻止するべく極軌道へと向かった。 しかし、距離があり、完璧裏をかかれた状態でジュール隊はその迎撃に間に合わない。 核が放たれ、絶望に近い感覚がイザークたちザフトのパイロットを襲った。 が、ナスカ級の戦艦から何かが放出された。 「何だ..一体何が?」 呆然と呟くイザークの目の前で地球軍の核ミサイル、艦隊もろともそれが撃破する。 ひとまず、地球軍は撤退し、ザフトのMSも帰艦する。 負傷者は次々に運ばれ、この間のユニウスセブンのとき以上の忙しさのため、は何かを考える余裕すらないままその措置に追われた。 運ばれてくるパイロットの中には知っているものも居れば、初めて見る、少年のような子供までがいた。 負傷した兵士の顔を見る度に、安心している自分が凄く醜く感じる。 それら全ての感情を押し殺し、室内に居る衛生兵に指示を出していた。 情報が入るようにとザフトの情報チャンネルを開いていると、数年前までよく耳にした声が聞こえる。 「わたくしは、ラクス・クラインです」 その言葉を聞いて治療を施していたの手が一瞬止まる。 振り返り、モニタに目を向けると、長い間姿を見せていなかったラクス・クラインが演説をしている。 「なん、で...?」 は呆然と呟く。 先の戦争が終わって、イザークやディアッカから聞いた。 ラクス・クラインは地球に、オーブに降りたと。 それは意外と知られていない事実だし、このまま静かに暮らせるように公表しない事になっている、と。 アスランと同じような配慮だ。 それなのに、此処に何故ラクス・クラインが演説をしているのだろう? 彼女は平和の象徴だった。 だが、今演説しているのは声と、外見が似ている別人だ。 グルグルと頭の中で疑問と不安が渦巻く。 は頭を振ってその答えの出ない考えを振り払った。今はそんなことを考えている場合ではない。 一人でも多くの人の命を救う事が、今の自分が最も優先させなければならないことだ。 |
桜風
07.12.7
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