月下に咲く花 20





一度話をしてしまえば結構気が楽になる。

とイザークは目指しているものが違ったため。殆どのカリキュラムは違った。

だが、共通のカリキュラムはある。その授業のときは結構話をした。

ディアッカがの友人のと知り合いだったのが幸いした。


「なに、んとこも射撃あるの?」

授業が始まる前、いつものようにディアッカと一緒に行動しているとの話が耳に入る。

「ある。今度合同で」

「何の話?」

不意に声を掛けられてが見上げるとディアッカがいた。

は知らなかったけどイザークもディアッカもいい所のお坊ちゃまで、親は最高評議会議員らしい。

どうりで、皆が注目しているわけだ。

「今度射撃の訓練があるの。たしか、パイロットと合同のカリキュラムだったよ」

の言葉にイザークが反応した。

「いつだ?」

「えーと、来週..じゃなかった、再来週だったかな?」

手帳を広げて確認して「うん、再来週」と言う。

「んじゃ、俺らのクラスと一緒だな、たぶん」

イザークに視線を向けてディアッカが言い、イザークは「そうだな」と応える。

って基本なんでもできるのに、射撃はダメよね」

「ま、まあ...」

に指摘されては遠い目をした。

「何だ、苦手なのか?」

「え、うん。何故か的が避けるの...」

の言葉を聞いてイザークとディアッカは言葉を失い、

「全く当たらないってコト?」

ディアッカに確認された。

「的が、避けるの」

は繰り返す。

当たらないってどういうコトだろう...?

比較的射撃が得意な2人は顔を見合わせた。

「んじゃ、ま。楽しみだな、合同演習」

「ナイフの方が得意なのにな...」

楽しそうに言うディアッカに対抗するようにはポソリと呟いた。


チャイムが鳴り、それぞれ手近な席に着く。

『アスラン・ザラって知ってる?』

の隣に座ったイザークにがノートを寄せてきた。見ると、そう書いてある。

『同じクラスだ』

何処に書いて良いものか悩んだイザークには自分のノートを指差してそこに書いてもらう。

『どんな人?』

何故そんなにも興味を持つのだろう。

少しイラつきながら『さあな』と書いた。

はイザークを見上げ、その視線を受けてイザークもを見下ろす。

『同じクラスでしょ?』

『だからと言って別に仲が良いというわけじゃない』

「ふーん」とが呟く。


授業が終わってテキストを片付けながら

「何でまた、アスランの事を聞いたんだ?」

もの凄く気になっていたことを聞いた。

「ああ、うん。有名人だって聞いたから。私、結構そういうの疎いから。何処がどのように有名なのか知りたかっただけ。彼の知り合いからは『とても紳士でいい人だ』って聞いてるし」

どこのどいつだ、と思いつつも「へぇ」と適当に相槌を打つ。

「え、。アスラン・ザラのことも知らないの?」

「そんなに有名なの?」

「すげぇ、アスランを知らないんだ...」

とディアッカに呆れられては膨れる。

「良いじゃない、知らなくても困らないもん」

「や、まあ。困らないけど...」

「凄いものを見た気分...」

やはり呆然ととディアッカがを評価する。

「あ、アレ。アレが、アスラン・ザラ。お父さんが国防委員長なんだよ」

部屋の隅に姿を見つけたが指差す。

「おーい、アスラン」

ディアッカがアスランを呼ぶ。


「何だ?」

手招きをされたアスランは首を傾げながらやって来た。

「この子、お前のこと知らないんだって」

そう言って指差されたは抗議するようにディアッカを睨んだ。

「珍しいですね。アスランはアカデミーでも有名なんだと思ってました」

一緒に居るまだ幼い顔立ちの少年が言う。

「ニコル。ニコル・アマルフィ」

何かを訪ねるようにディアッカを見上げたの意図を汲んでディアッカが応えた。

「こんにちは。です」

「こんにちは、ニコル・アマルフィです。さんはどのクラスですか?パイロットクラスにはいなかったと思うのですが...」

「ドクターの手前クラス」

「なるほど。えーと、」

そう言ってニコルはを見る。

よ、ヨロシクね。因みにメカニックです」

社交的な性格のとニコルが話に盛り上がっている中では側に居るイザークを見上げる。

凄く詰まらなさそうに目を眇めてよそを向いていた。

何だか視線を感じて別の方向を見るとディアッカが手を合わせている。

よく分からないけど、イザークはご機嫌斜めになってしまったようだ。

何がいけなかったのだろう?

突然不機嫌になったイザークのその理由が分からず、とニコルの話が終わるまで少し考え込んだ。










桜風
08.1.6


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