| 対ロゴスのヘブンズゲート戦での戦果として、生き残ったロゴスの逮捕という報告があった。 しかし、その中でブルーコスモスの盟主、ロード・ジブリールの姿はなく、それはオーブへと亡命したという情報が入った。 そして、そのジブリールの引渡しを巡ってオーブとザフトとの戦闘が展開された。 その後、ジブリールの消息はつかめず、ザフトは一時撤退という形を取らざるを得なくなった。 戦闘が一時終結して、オーブの代表が声明を発表した。 イザークたちもそれを見ていたが、その途中で電波が途切れ、ラクス・クラインが出てくる。 モニタを見ていた周囲の人物たちも混乱したように近くに居る人物とお互い、顔を見合わせていた。 「何々?」 がイザークたちを見つけて寄ってくる。 「ああ、ラクス・クラインの演説?今度は何?」 面倒くさそうにがいった。 「はラクス・クライン、嫌いなの?」 シホが聞くと 「嫌いじゃないけど、好きでもない。キレイ過ぎるっていうかさ。もそう思うでしょ?」 一緒に居たにが同意を求める。 「今の、ラクス・クラインはね」 肩を竦めながらそう言ってモニタを見上げる。心なしか、視線が鋭い。 「でも、噂で聞いたんだけど。ってラクス・クラインのファンなんじゃないの?」 シホに聞かれては微笑むが、答えない。 イザークたちは3人の会話に神経を向けながらもモニタに注目していた。 暫く演説が進んでいくとまたしても映像が途切れ、今度はオーブ側が映り、そして、オーブの代表の隣には 「ラクス・クラインだと!?」 ラクス・クラインが立っていた。 イザークとディアッカが振り返るとはモニタから視線を外して緩く首を左右に振る。 そして、興味がないとばかりにその場を去っていった。 元から興味の無いもと共に去っていく。 「おい、何だよこりゃ」 思わずディアッカは隣に居るイザークに声を掛けるが、イザークはモニタから目を離さず見ていた。 間を置かず、ジュール隊に命令が下った。 12宙域で地球軍が妙な動きをしているため、そこへ向かって追撃をするように、という内容のものだ。何でも用途不明の施設を設置しているとか。 その宙域へと向かい出撃をする。 地球軍の戦力を見てイザークは思わず舌打ちをする。 「報告どおり、結構な数だぞ」 「ああ、けど。一体何故こんなところに」 戦闘が開始された。 「さあ、な。友好使節じゃないってことだけは確かだろうな...いくぞ!」 「おう!」 戦闘が展開されていたが、その移動していた施設が止まる。 「制動をかける?こんなところで?!」 相手が何をせんとしているのか分からないが、とにかく良くないことが起こる気がしてイザークはディアッカにエンジンに回り込み、破壊するように指示を出して自身もそちらへと向かった。 破壊作業中、何かの高エネルギーが向かってくる。 「イザーク!」 ディアッカがイザークを促し、 「全軍、回避!」 イザークも指示を出した。 イザークたちが破壊しようとしていた筒のような施設をビームが通り抜けて曲がる。 「何だ、これは!?」 「ビームが、曲がった!」 そのビームはそのままプラントへと向かっていき、それらを破壊する。 破壊されたのはヤヌアリウスで、その衝突の影響でディセンベルも破壊された。 「クソ!」 イザークが怒りに震えながらコックピットを叩きつけ、 「月の裏側から、まさかこんな方法で...」 ディアッカは呆然と呟いた。 『ディアッカ、こいつを落とす!』 不意に入ったイザークからの通信に顔を上げる。 『2射目があったら今度こそプラントはお終いだ!何が何でも落とすぞ!!』 イザークのその言葉を合図にジュール隊は地球軍のその施設へと向かって行った。 の元には戦闘で負傷した兵士たちが運ばれてくる。 そして、その混乱の中、プラントに直接攻撃がなされた事を聞く。 「どういう事!?」 「分かりません。ただ、月の裏側からビームが...ヤヌアリウスとディセンベルを」 「ヤヌアリウス...!?」 呆然と呟くだったが、治療中の兵士のうめき声に意識の集中を取り戻す。 「治療が手につかない人は外に出て!治療の邪魔よ!!」 そう言って絶望に崩れる者や、泣き叫ぶ者への退室を促した。 地球軍の廃棄コロニーの破壊を終了させてイザークはドックに着くなり駆け出した。 がディアッカに向かって走ってくる。 「ディア!プラントが攻撃されたって...」 「ああ、ヤヌアリウスにビームが直撃。それで隣のディセンベルにぶつかって...」 「ヤヌアリウスのどこ?何区!!」 ディアッカの腕を掴んでが問い詰める。 「え、や..情報がまだ混乱しててはっきり分からないんだ。のプラントは違う、よな?」 少し情けない声でディアッカが答えて確認した。 「がヤヌアリウスよ!」 の言葉にディアッカは瞠目し、イザークの消えたドックの入り口へと視線を向けた。 「!」 パイロットスーツを着たまま医務室に入ってみるが、の姿は無い。 側に居る医療班の一人に声を掛けて所在を聞くと、先ほど少し席を外すと出て行ったとか。 「居場所は?」 「聞いていません。ただ、急用があるときは放送で呼び出してほしい、と」 「分かった」 そう言ってイザークは医務室を後にする。 暫く艦内を走って探し回った末に見つけたのは展望デッキでだった。 「...」 振り返ったは驚いたように目を大きくする。 「あら、早くブリッジに戻ってあげないと。皆困るわよ、ジュール隊長?」 薄く笑うの表情に覇気が無い。 「大丈、夫か?」 何を聞いているのだろうと自分でも呆れる。 故郷のプラントが撃たれたのだ。大丈夫なはずがない。自分だってかなりの衝撃を受けている。 けれど、の性格なら... 「大丈夫よ。だから、ブリッジに行って」 予想された言葉が耳に届く。 「すまない」 を強く抱き締め、搾り出すような微かな声で謝罪を口にする。 「ううん。イザークは一生懸命やってるもの。いつもこっちが心配になるくらい全力で一生懸命で。大丈夫よ、分かってる。だから、お願いだからもうブリッジに行って」 イザークの胸を押し戻しながら俯いたままが言う。 「お願い、だから...」 震えた声のに手を伸ばし、途中で止めて拳を握る。 ギリ、と奥歯を噛み締めてイザークはに背を向ける。 「一人で、泣くな。俺がダメなら、やハーネンフースが居るだろう。この際、かなりムカツクし、何となく凄く嫌な気もするけど、ディアッカでも許す。だから、一人で泣かないでくれ」 「大丈夫よ。この戦争が終わるまで私は泣かないから」 の言葉にイザークは溜息を吐く。 「だから、泣いてもいいから一人で泣くなと言ってるだけで...」 呆れたように言うイザークに 「だって、今は忙しくてイザークの胸、空いてないんでしょ?」 そんなことを言ってのける。 振り返ればは泣くのを堪えながら笑顔を作っていた。 「今、丁度空いてるんだがな?」 イザークが腕を広げてみせると 「ウソばっかり。さっきの出撃の報告しなきゃいけないでしょ。それに、さっきのがあるからもう次の作戦が上がってるんじゃないの?意外と物知りなのよ、私」 本当に意地っ張りだ。 「わかった。けど、覚えててくれ。いつでも俺の部屋に来てくれて良いからな。泣きたいときも、そうでないときも。それくらいの時間は作るし、無かったら仕事はディアッカに押し付ける」 キッパリと言うイザークには今度こそ本当に笑う。 「ディアッカ、かわいそう」 「良いんだよ、アイツならそれくらい」 の笑顔に安心してイザークは更衣室に向かった。 |
桜風
08.5.24
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