| に通信を開かれて、ある人物が笑顔でモニタに映っている。にこやかに手を振る人物は明らかに空気が読めていない。 『ー!あら、ラクスちゃんもお久しぶりね』 イザークはぽかんとモニタに目を向ける。 事態が飲み込めないブリッジのクルーたちもぽかーんと口が開いている。 は俯いてフルフル震えていた。 『あら、どうしたの?まあ!イザーク君も久しぶりね』 「返せ!私の不安と悲しみ、今すぐ返せ!!」 モニタに向かってが叫ぶ。 「誰なんだ?まあ、よく似てるから何となく想像はつくけど...」 「のお母様ですわ」 ラクスにアスランが聞き、微笑みながら彼女が応える。 「え、でも...んちはヤヌアリウスの第4区って聞いたぜ?」 ディアッカも話に入る。 「お母さん、今何処に居るの!」 『さんのお宅よ。本当はすぐに回線に割り込んでに無事を知らせたかったけど。流石にごたごたしている中でハッキングなんて即行で捕まりそうじゃない?だから、戦況が落ち着いてからハッキングしたのよ』 褒めて、と言わんばかりの母の態度に 「今すぐ回線を切れ!どの道危険だ!というか、人んちを危険に晒すな!!」 が怒鳴る。 『!さっきからお母さんに向かって何ですか、その口の聞き方。そんな躾をした覚えはありません!!』 母に叱られて口を噤む。 「だ、だって凄く心配したのに...なのに、お母さんいきなり全然元気な顔を見せるんだもん。あっけらかんとハッキングとか言うし」 とうとうが泣き出した。安心して気が抜けたのだろう。 イザークは苦笑いを浮かべてを抱き寄せる。アレだけ泣くように言っても泣かなかったのに、母の無事な姿を目にしたら簡単に泣く。敵わないな、と思う。 「しかし、ご無事で何よりでした。コロニーから離れていらしたのですね」 イザークが声を掛けると 『そうなの。さんのお宅でお泊り会をしていたら、帰る家がなくなっちゃったのよねー』 おほほほ、と笑いながらあっけらかんと言った。色んな意味で敵わないと思う... 『だから、。貴女帰宅できるときにはちゃんと一緒に家に帰るのよ』 母の言葉にが眉間に皺を寄せる。 「え、どれくらい滞在するつもりよ」 『家が見つかるまで。見つかったら連絡入れるわね。今度は正規のルートで。でも、が無事で安心したわ。ちゃんもイザーク君も。そして、ラクスちゃんも。何かあったら小母さんに言いなさいね。力になれることがあったら手を貸すわ』 そう言って一方的に通信が切られた。 何も映らなくなった画面を呆然と見つめる者が多いブリッジの空気を察したは赤くなりながら 「あ、あの...お騒がせしました」 とクルーに頭を下げた。 「なあ。さっき、は『また』って言ってなかったか?」 ディアッカが興味を持って聞くと 「ユニウスセブンのときも、だから」 と困ったように笑う。 「旅行でね、2/7から2/16までゆっくり滞在するって宣言して出て行ったの。そしたらユニウスセブンが核で撃たれたって聞いて。うちに泊まりに来ていたに泣き喚いていたらふらりと帰ってきたの。会社に提出した書類に不備があって上司に怒鳴りつけられて呼び戻されたって笑いながら。今みたいにあっけらかんと『不謹慎だけど、お母さんって運が良いと思わない?』って言って。 だから、私はお母さんの顔を見るのも腹立たしくてザフトに入ったの。あそこ、寮でしょ?」 志願の動機が、『母親の顔を見たくなかったから』...? 流石のイザークも言葉が出ない。 そんな動機で入ったアカデミーで才能を開花し、ドクターとなって戦場に出ている。 世の中、何が転機になるか分からない。 その良い例が目の前にいる。 まあ、何はともあれ。 「不謹慎だけど、良かったな」 ぽんぽんとの頭を軽く叩き、は笑顔で頷いた。 |
桜風
08.7.26
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