| 戦後のザフト縮小に伴い、はフェブラリウス市にある医療の研究機関に在籍していた。 は実践派だが、今の医療現場は研究に重点を置かれている。 そのため、も医療研究機関勤務となっているのだ。 研究機関の施設内の中庭で休憩をしていると声を掛けられた。 「」 振り返るとラクスが立っていた。後ろには護衛が数人。イザークもその中に居る。 「お久しぶりですね、クライン議長」 が応えるとラクスは 「いやですわ。いつもどおり『ラクス』と呼んでくださいな」 と言って微笑む。 「ごめん、ごめん。言ってみたかったの」 そう言って笑い、ふと思い出す。 「ああ、そうか。今日は議長が視察に来るからサボるなって言われてたんだった」 笑いながらが口にする。 思いっきり休憩中の現場を目撃された。 「休憩は必要なことですわ」 そう言って微笑みイザークを振り返る。 ラクスと目が合ったイザークはきょとんとした。 「わたくしは、もう少しこの中庭を見て回りたいですわ」 「ええ」とイザークは頷き、「ご案内いたしましょうか?」とが声を掛ける。 「いいえ、ありがとう。あなたはもう少し此処で休憩をなさってくださいな。あと、イザークも休憩をされてはどうかしら?」 ラクスの言葉にとイザークは顔を見合わせる。 そんな2人を置いて他の護衛たちと中庭の真ん中辺りに位置する池へと向かっていった。 「隣、よろしいですか?」 イザークの問い掛けには微笑み、「ええ、どうぞ」と答える。 気持ち悪い。 2人とも同じことを思ったようで、似たような表情だ。それを見たお互いが噴出す。 「久しぶりだな」 イザークが口を開く。 「そうだね。この間のお墓参り以来だ。え、どれくらい?」 驚いて指折り数え始める。 「うわぁ。何コレ...」 ズルズルと姿勢を崩して嘆きながら空を見上げる。 イザークに会うのなんて数ヶ月前にニコルの命日にお墓参りに行って以来だ。そのときだってバタバタしてゆっくり出来なかった。 久しぶりにアスランに会えたのは少し嬉しかったけど。 なぜなら、またしてもイザークがアスランに突っかかり、自分の楽しいと思える光景が繰り広げられていたのだ。しかも、墓地で。 「忙しそうだな」 「まあ、ね。私、病院勤務を希望してたんだけどな...」 そう言ってイザークを見上げる。 「仕方ないだろう。此処の責任者がアカデミー時代のの師匠なんだから」 苦笑しながら宥める。 出戻りアカデミー時代の教官がこの研究機関の最高責任者での才能をとても買っている。 「お陰で、今度ラクスがオーブに降りるときに私も行けるんだけどさ。何か会議があるんでしょ?」 その言葉にイザークは初耳だという風に顔を向ける。 「ああ、地球側とのサミットがある。けど、そうなのか?」 「うん。地球の方と共同研究することになったの。向こうは薬学が優れているでしょう?こっちは医学。お互い研鑽しあおうってことでね」 「そうか」と微笑む。向かっている先は着実に友好的なものだ。 「一人暮しは慣れたか?」 は実家からここに通うのは難しいと判断し、フェブラリウス市に部屋を借りている。 しかし、研究が忙しくてこの施設に泊り込むことが多く、それは何とかしたい現状だ。 「まあ、ね。帰れない日も多いんだわ」 苦笑いして言うと 「そうか、大変だな。ま、いつでも家に来て良いぞ」 とイザークが半分冗談、半分本気でそう言う。 が一人暮しをすると言ったときにイザークはマティウス市の自宅の部屋が余ってるから来ないかと声を掛けた。 マティウス市はフェブラリウス市の隣だから、通勤もそう便利が悪いわけではない。 だが、まあ予想通りには断り、部屋を見つけてフェブラリウス市で生活をしている。 「今日も泊まりか?」 「ううん、今日は帰れそう。うん、帰るよ。絶対帰ってやる。...そういえば、最近ディアッカってご機嫌?」 不意に聞かれてイザークは首を傾げる。 「さあ?どうした?」 「ミリィとうまくいってるっぽいなーって。何も言わない?」 「いや?俺たちのことは良くからかうが...」 イザークの言葉にが溜息を吐く。 「じゃあ、今度そんな話になったら『お前はどうなんだ?』って聞いてあげて。ちょっと長くなるかもしれないけど。聞いてほしいんじゃないの?」 「そういうものか?」と言ってイザークは首を傾げた。 「きっとそういうものなの」とは返しておいた。 イザークと近況を話していると施設内放送が流れた。 「うわぁお、呼び出された」 スピーカーに目を向けながらが呟く。 「結構恥ずかしいな」 イザークが笑いながら言う。 「まあ、常習犯なんだけどね」 「サボリ魔でよく地球行きを許されたな」 呆れたように言うイザークに 「やらなきゃいけないことは済ませてサボってるの。じゃ、なかった。休憩してるの」 と応える。 言い直すに思わず笑みが零れる。 「...」 中庭散策中のラクスが遠慮がちに声を掛けてきた。 「あ、うん。戻る。ありがとう」 そう言ってベンチから立ち上がって微笑む。 「今度一緒に地球に降りさせてもらうから」 の言葉にラクスが頷く。 「聞いていますわ」 「じゃ」と手を挙げて施設の入り口へと向かった。 「ドクター」 声を掛けられて振り返る。イザークが駆け寄ってきた。 「何でしょう?」 ラクスたちに背を向ける状態で返事をする。 「今晩逢いに行く」 耳元でそう言われては驚いた表情でイザークを見上げた。 「いいよな?」 言われて頷く。 「じゃあ」と軽く頬にキスをしてイザークが離れた。 振り返ればイザークはラクスの護衛として後ろに付いて歩いていた。 「ビックリした...」 呆然と呟くの頬は言うまでもなく緩んでいた。 |
桜風
08.8.23
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