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仕事の取材帰りにふと、ちょっと寄り道でもしてやろうといつもの道を逸れると、そこには久しぶりに顔を合わせる幼馴染がいた。
「和!」
「あ、敦也じゃん!!」
声を掛けると向こうも気がついて駆け寄ってくる。
「久しぶりね!いつも楽しく記事読ませてもらってるわ」
「何で、俺に会う人皆同じことを言うんだ!?」
ホント、みんなで申し合わせてるんじゃないかと思う。
「だって、敦也の仕事って目立つじゃん!アキラ姉さんに比べたら地味だけど」
「姉さんと比べるなよ。あの人は目立ってナンボだし。お前、今日仕事?」
「いーや。仕事中だったら立ち話しないって」
笑いながら答える和に俺も「だな」と同意しながら笑う。結構真面目に婦警さんやってると彩から聞いている。
このまま立ち話をするのも味気ないし、何より空腹だったために近くのファミレスへ入ることにした。
「敦也の奢りだよねー」
「へいへい」
秋野は徹底的にレディファーストを叩き込まれる。だから、秋野に所属している男は皆女に甘い。
途中から秋野に入るやつは本当にそれが大変だと言っていた。
けど、これ。結婚するとき非常に役立つと昔俊夫さんがこっそり彩に話していたらしい。
まあ、そうだろうな。あの俊夫さんだって、口は悪いけどレディファーストがさりげないもんな。
「決まった?」
「ん?や。和は?」
「決まったよ。店員さん呼んじゃうよ」
「待てって。あー...オッケ」
急かされながらメニューを眺めて注文するものを決める。
軽く手を挙げると店員が気付いて声を掛けてきた。
「俺は、ハンバーグステーキセットとコーヒー」
「私は、ワッフルセット。コーヒーで」
注文を聞き終えた店員はメニューを持って去って行った。
「私思うんだけどさ」
「んあ?」
水を飲んでるときに話し掛けてくるから間抜けな声が返事となる。
「何でメニュー持って行くんだろうね」
「は?」
「いや、だって。持って行かれたらさ、追加注文できないじゃん?儲けるつもり無いのかね?」
「さあ?でも、そんなたくさん作らないんじゃなかったかな?」
「メニューのあの冊子というかアレ?」
「おう。だから、回せるように回収するんじゃん。合理的に出来てるんだよ、世の中は」
「ふーん...」と消化不良的な同意をして和も水を一口飲んだ。
「そういえばさ。久しぶりにGIFT出れそうだけど、俺」
「ホント!?珍しいね。まあ、私も出れそう」
「そうなんだ。良かったな、姉さんも夢来さん連れて行くってウキウキしてたぞ」
和は姉さんの話をすると目を輝かせて話に入ってくる。
「アキラ姉さんも来るの!?うわ、楽しみ!!でも...」
「目立つからやめておけって父さんは言ってたけど、どうしても行きたいって言うからな。変装して行くんだって。佐代子さんが張り切ってたよ」
「そっかー。でも、GIFTって懐かしいね。何年行ってない?」
「もう6年くらい行ってないだろう?和も忙しくて顔出せなかったんだろうし。彩は俺たちよりは顔を出せているって言ってたけど」
同じ歳で仲が良いもうひとりを思い浮かべる。
「そうそう。私も彩からGIFTの様子聞いてたりしてるんだもん」
「けど...」
俺は昔を思い出して思わず噴出す。
「何よ、感じ悪いなー」
「いや、俺と和が出逢ったのはあの時だったよな。GIFT」
和は「あ...」と言って俯く。
中々楽しい経験を提供してもらったことを思い出した。
「そんな昔のことなんて忘れてよ!」
「努力する」
一生忘れるはずがない。姉さんを巡ってのライバル宣言をされたことは。
そして、そんな俺の態度が気に食わなかったのか。
和は注文したワッフルセットを完食した後再び店員にメニューを持ってこさせて色々注文し始めた。
「太るぞ...」
俺もお返しに一言だけ反撃しておいたが、それについて和が更に怒ったのは言うまでもない。
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