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久しぶりに出席したGIFTには、当たり前だけど、知らない子がたくさんいた。世界中全ての土地で、秋野に関係の無いところは無いのではないかと思うくらい、バラエティに富んでいる。
私は結構目立つ仕事をしているから、色々自重しろって言われるし、そうしなきゃいけないのだって一応分かってる。
でも、何だか昔に戻りたい時だってあるし、そういうほんのひと時のわがままを聞いてほしいって思うこともある。
「よう、アキラ」
声を掛けてきたのは最近自分の家の病院を継いだハルくん。
「久しぶり!治親ドクター」
「何だよ、それ」と言いながらハルくんは笑う。
「あれ、お前ひとり?」
「そうだよ。何で?」
「いや、さっき敦也いたような気がしたからさ。だったら、お前が敦也捕獲してそうじゃん?」
そう言ってイタズラっぽく笑う。
「何よー。あっちゃんはもうお姉ちゃん離れ出来てます!」
「いや、寧ろお前の方だよ」
などと失礼なことを言う。
「それ、何?」
ハルくんが持っているグラスの中身のカクテルが凄く綺麗な色をしていたから聞いてみると「ちょっと取ってきてやるよ」と言って自分のグラスを私に預けて人ごみの中に消えていった。
手持ち無沙汰だったから、それをちょっとだけ口にする。
唇に当たった炭酸の刺激が凄く久しぶりだ。
ふと、周りを見渡す。
知らない人も多いけど、このGIFT自体の空気は殆ど変わらない。
GIFTであっても、中々時間が取れなくなる職業に就く人だっている。そういう人とも会うことが多いけど、殆どみんなGIFTに出たいって口にする。
きっとあの人たちにとってGIFTってのは故郷なのかもしれない。
自分以外の誰にも認められなかった奇妙な力や抜きん出すぎていた能力。それらを持て余している人がここには集っていて、そして、似たような悩みを抱えているからこそ仲間としての結びつきが強いんだろうね。
それは良くできた、きっと計算されたシステム。でも、それで救われる人がいるんだから非難ばかり出来ない。実際、私だってこのGIFTというシステムに救われたんだ。
「ボーッとしてんなよ」
「あ、ああ、ごめん。ありがとう」
戻ってきたハルくんの声で現実に引き戻された。
「大丈夫か?忙しいんだろ?」
「まあ、お陰さまで」
そう言って一口カクテルを口にする。
さっきハルくんのを勝手に口にした時のに比べて炭酸の刺激が強い。
「ハルくんはさ。よく出席してるの?」
「コレか?そうだな、まあ、自営業だからな。でも、今日はやけに同世代が多いぞ」
「あっちゃんと、和ちゃんと。彩ちゃんも出れるらしいって聞いたよ。臣は?」
「ガードは無理だな」
「そっかー。耕くんはさっき見たよ」
「マジで?俺まだ見てないな...」
そう言いながら少し背筋を伸ばしてハルくんは会場の中を見渡す。
「そういえば、あそこの」
と言って視線だけで人を指すから、その視線を辿って誰かを見当つける。
「あの、髪を立ててる子?」
「そう。あいつ、最初の任務でパーフェクトだってよ」
「ふうん...」余り関心が無いから生返事をするとハルくんが苦笑した。
「お前さ、自分の初仕事覚えてるか?」
「まあ、うっすらと」
本当にうっすらと。大変だったっていうのはしっかり覚えてるしどんな任務だったかも覚えてるけど、回りに非常に迷惑を掛けたということ意外全くと言っていいほど覚えていない。
「お前さ。無邪気に現場で走り回ったんだぞ?」
「無邪気?一応、警戒してたよ」
「あれは、無邪気っていうんだよ。ったく、あのとき命からがらってのを体験したんだからな、俺は」
大げさに溜息を吐きながらハルくんがそう言った。
「まあ、その節はお世話になりました」
ぺこりとお辞儀しながらお礼を述べるとハルくんの後ろからぬっと人が出てきた。
「お前だって初任務は俺が抱えて逃げてやっただろうが」
先輩だ。名前忘れたけど...
「げっ!!」
「君、高橋さんの娘さんだろ?確か、彰子ちゃん。治親だってその2年位前の初任務で無邪気に現場に来てたぞ。ま、あれで命ってのは寿命が来る前に失くすことが出来るっていい勉強になったんだよなー」
「ちょ、黙っててくださいよ!」
「ハルくんにもそんな時代があったんだ...」
「デビューが早かったしな、コイツは」
ハルくんは必死に話を切り上げてもらうべく色々頑張っていた。
それは空しく空振りに終わり、私はハルくんの昔話という弱みを見事に獲得した。
本日のGIFTは収穫のある会合だった。
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