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仕事が一段落就いたから、休憩でもしようと部屋を出る。
「篠崎さんと能瀬さんがいらっしゃってますよ」
何か腹に入れようと厨房へ行くとそう言われた。
それなら、休憩がてらに会いに行くか、とあいつらお気に入りの縁側に向かう。
「よう」
声を掛けると2人が振り返る。
「高橋さん!」
「お久しぶりです」
そう言う。
縁側に座っているその2人の目の前に臣が立っていた。
秋野の子のガードである臣はしょっちゅうこの家のどこかに居る。
まあ、それが仕事だ。
「元気そうだな。揃って暇人か?」
意地悪に声を掛けると「そんな事ない」と2人の抗議の声が上がる。
そのまま近況などを話していたが、何だか段々所帯じみた話になってくる。
要は、ノロケだ。
欠伸を噛み殺すと目の前の臣と目が合う。
臣はクスリと笑う。
臣も少しだけ眠たそうな目をしていた。
「聞いてます!?」
「聞いてない」
佐代子が確認してそう疑わしそうに言い、俺は正直に返す。
怒るかと思いきや、佐代子は笑い出した。
「どうした?」
「彰子もね、そうなんですよ」
「そう、って?」
臣も話題が変わったお陰で少し目が覚めたらしい。
「あの子も結構人の話聞いてないの。で、聞いてるの?って確認したら『聞いてない』って正直に答えるのよね。あの子、クセみたいなのがあるからさ。聞いてないっての分かってるんだけど確認したくなるのよね」
「へー」
彰子が中学のとき3年間面倒を見てくれただけあって、流石だ。
が、「あー、そうだよなー」と俊夫や臣も納得する。
「え、ちょっと待て。何でお前たちまで知ってるんだ」
「俺、一応、幼馴染ですよ」
と臣。
「遠くから見守っていましたし、誤解が解けてから時々飯食いに行ってましたから」
俊夫までそんなことを言う。
軽いカルチャーショックを受けていると何故か話が彰子の親友で佐代子たちの娘で敦也の彼女の夢来ちゃんの話に移ってきた。
彼女は秋野と何の関係もなかったのに、今では秋野に一番深く関わっている部外者のような気がする。
実際、偶然であれ昴たちとも会ったことがあるらしいし。
それはともかく。
2人の話はお互いがどれだけ夢来ちゃんのクセを分かっているかと言う正直実のない争いを始めるほどにもなった。
聞いていて面白かったのは最初の方で。つまりは、こいつらは
「親バカめ...」
というわけだ。
2人は驚いたようにお互いを見合わせ「そうかなー」と不満そうだ。
「高橋さんもでしょ?」
突然笑いを含んだ声でそう言ったのは、臣だった。
「俺も?」
「アキラがモデルになるってのをこっそり皆に自慢してたし。その他にも時々そう思いますよ」
「そうかぁ?!」
納得いかない。
しかし、そんな俺へのトドメに臣が言った言葉は
「高橋さんが子供自慢始めるときのクセ、俺分かりますからね」
だった。
「なくて七癖あって四十八癖、でしょ?」
何故かこの中で一番若いやつがジジむせたことを言ってこの場を締めた。
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