| 梅雨が明けたのに、元気だなぁ... はテレビを見ながらそんなことを思っていた。 現在、オールスターの前座..というには白熱した試合を展開している。マスコットたちの試合だ。 各チームのマスコットたちが東西に分かれてチームを作り、ゲームを繰り広げている。 そして、わがETUのマスコットのパッカ君は、河童がモチーフで、隅田川がふるさとだと言う設定だ。 そんなパッカ君。彼はこのオールスター戦では大活躍だ。 「パッカ君ってさ...実は村越さんが入ってたりして」 がポツリと呟くと一緒にテレビを見ていたスタッフがコーヒーやらなにやらを吹いた。 ゲホゲホとむせている人がいるが、はチラと見ただけで全く反応しない。 「ちゃん...」 苦笑して彼女の名を呼ぶのは今年GMに就任したばかりの後藤だった。彼は過去にこのチームに在籍していた経緯がある。 もそのころの後藤を知っているし、だから、彼がGMになったのはちょっと嬉しかった。 「今日、村越はオールスターに出るじゃないか。そんな時間ないって」 そこか?! 心の中で大勢が突っ込みを入れた。 「あ、そうですね」 しかも納得するんだ... オールスターなので、各チームにひとりは代表として出てもらっている。 毎年のことながら、村越には苦労をかけている。 選手達のオールスターも終わり、テレビを切った。 「でも、あのパッカ君の中の人ってどんな人なんですかね?」 は廊下を歩きながら後藤を見上げた。 「え?!ちゃん知らないの?!」 「後藤さんはご存知なんですか?」 「い..いや。ちゃんは広報だから知ってると思ってたんだ。子供達の夢を壊すようになるから中の人の話をしないだけなのかと...」 「有里ちゃんは知ってるのかな?」 は首を傾げた。 「けど、それを言ったら。ファン感謝イベントのときにもパッカ君いるけど、その中身は知ってるんだろう?」 「さあ?」 は首を傾げる。 「で、でも...バイトを雇うにしても契約を結ぶよね?」 「ですよねー...」 と後藤は顔を見合わせた。 「って、話をしたんですけど。中身は村越さんですよね?」 練習の休憩中、は真顔でそう言って村越を見上げた。 村越はこれ見よがしに溜息を吐く。 「んなワケあるか」 「えーーー!!じゃあ、パッカ君の中身、スカウトするように笠野さんに言わなきゃ!!」 たしかに、あの当たりは中々... そこまで考えて村越はハッとした。 見下ろすとがニッと笑っている。 「...」 じろりと睨まれては笑いながらその場を去っていった。 「コッシー。あの河童の中身って君なんだってね。プレイスタイルを見て、なるほどって思ったよ。あのフォルムはあまり美しくないけどね」 練習が終わってジーノが声をかけてきた。その後ろでは緑川が腹を抑えて笑いを堪えている。 ジーノといえば、先ほどと話をしていたと思う。とジーノはしばしばイタリア語で会話をするので、こちらではその内容が分からないことが多い。 「か?」 「広報の彼女が言うんだから、本当だろう?神妙な顔をして『ここだけの話なんですけど』っていうから告白かと思いきや...」 ふぅ、と溜息を吐いてジーノは首を左右に振る。 「ホントっスか?!」 反応したのは黒田で、目を輝かせていた。 「あ、いや、子供達の夢は守ります!絶対に話しません!!」 真顔で言う黒田の後ろの杉江は冗談だろうなと思っていたものの、もしかしたら..という気持ちもあってこの黒田の行動を止めない。 「...ーーーー!!」 村越が怒鳴り、遠くでの笑い声が響く。 きょとんとした黒田に「たぶん、ジーノと組んでからかわれたんじゃないのか?」と杉江が声をかけると「何をーーー!」と今やっとその事実に気がついた黒田が叫んび、「ははは」とジーノの妙にさわやかな笑い声は梅雨明けの空に吸い込まれていった。 |