| そろそろ日付が変わろうという時間にインターホンがなる。 「んだよ」と不機嫌に出た彼は目を丸くした。 「羽田さん、です」 「ちわー!お夜食持って来ましたー!!って、ごめん、足りないかもしれないです」 そう言って食堂から借りた鍋を差し出した。 「何だ?」 「カレー。残ったからもらったの。その鍋は明日の朝に返さなきゃならないから中身は羽田さんちの鍋に移して」 に促されてその鍋を受け取った羽田は自分の家の一番大きな鍋にカレーを移し始める。 「今度の試合の応援会議?」 玄関から中に入らないに「入るか?」とメンバーの一人が聞いた。 「ううん、いいです」と答えたに皆は苦笑する。 「今日の、カレーパーティってやつのか?」 「そう。材料はわたしと、世良くんと赤崎くんと...」と自分が知っている役割分担を口にした。 「そういや、次の試合のスタメン決まったのか?」 「さあ?」 メンバーの一人が聞いたが、は首を傾げた。 「聞くな。だって答えられんだろう」 羽田がそう制して鍋を洗おうとする。 「ああ、いいよ。持って帰って洗うし」 がそう言うが、羽田はとりあえずさっと洗うことにしたらしく、流しで作業をしている。 「最近の試合、どうですか?サポーター的に」 が言うと羽田は苦々しい表情を浮かべた。 「最初の連敗が痛すぎるだろう」 「あー...まぁね」 それは否定できない。 「けど、まあ...」と言ってごにょごにょと言葉を濁す。 「ムリに好きにならなくても良いと思う。村越さんだってやっぱり複雑そうだし」 「は?」 「女は男ほど過去を引きずらないものなの」 澄まして言うに益々羽田は苦い表情を浮かべた。 不意に羽田の携帯が鳴る。 「羽田さん、からです」 「は?!」 羽田とは同時に頓狂な声を上げる。慌てては自分のバッグを漁ったが確かに携帯がない。 「わたしが出ても?」 「おう」と言った羽田は自分の携帯をに渡す。 「もしもし?」 『お?なーんだ、彼氏んちか?』 電話から漏れた声に皆は殺気立つ。ある意味条件反射だ。 「何で達海さんがわたしの携帯持っているんですか?!」 『置いてあったぜ?玄関とこ。リダイヤルの一番上に掛けてみたんだけど...』 「今すぐ戻ります。それ以上弄らないでください」 『えー...メールとか見ちゃおうかなー』 「ちょ!サイアク!!待て、待ってろ!!10分以内に戻るからな!!」 そう言っては通話を切った。 「ごめんなさい、急ぐことになったんで...」と言うに羽田は車のキーを持っていた。 「軽トラだ。チャリは荷台に載せる」 「ありがとう!」 鍋も一緒に持って降りてくれた羽田にはついていこうとして足を止めた。 「あ、お邪魔しました。今度の試合もよろしくお願いします!」 部屋に残っているスカルズのメンバーにそう声をかけては慌てて羽田の後を追う。 「...羽田さんとってどういう関係?」 誰かが以前からずっと思っていたことを口にした。 全員押し黙り、顔を見合わせる。 「か、考えなかったことにしよう」 全員の意見は一致したらしくそのまま次の川崎戦の応援について話を始める。 「こらー!クラゲーーー!!」 事務所に慌てて戻るとの携帯を覗き込んでいる達海の姿があり、は彼女なりの猛ダッシュでそれを取り上げた。 「えー?てか、最近の携帯って操作、難しいなー」 悪びれず答える達海には苦い表情を浮かべた。 |
桜風
10.8.14
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