| ウェブの更新作業を行っていたは「うーん」と唸り始める。 「どうしたんだい、ちゃん」 腕を組んで首を傾げて「うーん」と唸っているの後姿を目にした後藤が声をかけてきた。 「後藤さん。ちょっとウェブのトップの写真を更新したいなーって思って」 「これ、いい写真じゃないか。ちゃんが撮ったんだよな?」 はコクリと頷いた。 絵は苦手だが、写真は得意だ。ゲイジュツのセンスが無いと言うわけではないのだ。いや、そもそもあのときのパッカ君は自分の調子が悪かっただけで... 「新しいの、撮るのかい?」 「うーん。せっかく久しぶりにサポーターの方も盛り上がってきたので、サポーターに紛れてシャッター切って来たいなーって思ってるんですけど、大丈夫かなーって」 まあ、ならどこにでも溶け込めるだろう。 「いいと思うけど?」 「うーん、じゃあ。今度のホームのときに潜入してみようかなー...」 ブツブツ呟くに苦笑をして後藤はその場を離れた。 『潜入』って何だろう... 「ー」 翌日の試合を控えて広報の準備をしている中、達海が声をかけてきた。 「何ですか?」 「明日スタジアムのスタンドに行くってホント?」 「はい。写真を撮りに。何か?」 「んじゃあ、さ...」 そう言って達海は悪巧みを提案してきた。 悪巧みの前半はも計画していたことなので「勿論」と答え、後半は「やってみますけど、時間的にどうでしょう?」と返す。 「まあ、無駄になるかも知んないけど、頼むよ」 「良いですよ」とが答えると「じゃ、よろしくー」と言って自室に向かっていった。 試合当日。 は少し大きめのバッグを持ってスタジアムに向かう。 クラブ関係者としてIDを受け取って一旦外に出た。 トイレに入って着替える。 「よっし!」 気合を入れてはスタンドに向かった。 スカルズがサポータを煽って声だしをしている。 「?!」 ひとりがに気が付いた。 羽田に声をかけると羽田がの元へと足を運んできた。 「下に来いって」 少し嬉しそうに羽田が言う。はスタンドの最上部に居た。 「ううん、これ」と言ってカメラを取り出した。 「写真?」 「うん、ウェブの更新するのに写真撮ろうと思って。スタジアム全体を撮るなら此処がいいし」 そういわれたら羽田も引き下がるしかない。 「っつうか。んじゃ、それを着てたら拙いんじゃないのか?」 は今、レプリカユニホームを着ている。 「スーツの方が浮くって」 笑って返すの背中を見た。『12』だ。 「懐かしいな、それ。まだ持ってたのかよ」 「まあねー」 「んじゃ、お前もちゃんと声出せよ」 「はいはい」と言っては手を振った。 羽田は苦笑して肩を竦めて定位置に戻る。 「姉ちゃん!!」 子供達がを見つけて駆けてきた。最近、子供サポーターと言う組織を作ったと聞いた。つまりは、子供だけのサポーター軍団。たしかに、子供だけが固まって応援している。 と、いうことは。今のETUのサポーターには3つの勢力があると言うわけか... 「え?なんで姉ちゃんここに居るの?」 コータが問う。 「うん、ちょっと趣味とお仕事。あ、ねえ皆。お姉ちゃんの正体はしぃ、ね?」 膝を折って人差し指を口に当ててがいう。 「わかった!」と答えたのはコータだ。 「えー、良いな。試合観戦が仕事ってぇ〜!」 「こんばんは」 「今日、ジーノ出る??」 子供達が口々に言う。 「さて、目いっぱい応援しよう!」 選手の入場が始まった。 |
桜風
10.10.23
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