アイコトバ 51





「ったく」とひとり毒づいているのは赤崎で、探してこいと言われたから探しているのだが、何処に居るとか全く分からないのだからどうしていいのやら...

「姜ーーー!」

聞き覚えのある声に反応して駆け出した。

「おーい、姜ーー!!」

相変わらず笑顔で声を張っている...

ちょっと不気味に思いながら「星野さん」と声をかけた。

彼は振り返り、「ああ、えーと。赤崎」と名を言ってくる。

「あのさ、ここらで」

「姜昌洙なら、ウチの広報たちが保護してますよ」と先回りして答える。

「は?!」

「浅草寺にお参りしに行ったらその門前で大声で名前呼んでましたよ。近藤さんと星野さんと八谷さん」

「あー...」

その様子が目に浮かんだのか、星野は複雑な表情を浮かべた。

「ウチのサポは結構血気盛んなところがあるから。他のチームの選手がウロウロしてたらややこしいことになりそうだし。広報が浅草寺近くの甘味処に避難させてますよ」

「わりぃ...案内してくれるか」

頷いた赤崎は携帯を取り出した。

『〔もしもし?〕』

また新たな言語だ...

ちょっと挫けそうになったが

さん。悪いんスけど、日本語でお願いします」

と返すと「あ、ごめん」と言語切り替えされた。

「星野さん見つけました。今から行きます」

『了解。〔星野さん、見つめられたって〕』と言うの声に『ミツメラレタ?!』と姜の声がした。

何の話してんだ??

首を傾げながら通話を切る。

「悪いな」

「いいっスよ」

言いだしっぺはなんだから、と思いながら片手を上げて星野の礼に応える。

「しかし、何でまた浅草に?」

赤崎の言うことも最もだ。

「姜のやつが、日本の文化に触れたいとか言い出して...」

今更じゃないのか?

そう思ったが、まあ、他にも触れた文化もあったかもしれないし。

「で、人選は?」

「その話をしていたときにその場に居たメンバーだよ」

なるほどね...


程なくして、が言っていた甘味処に着いた。

電話をすると、個室があったからそっちに入れてもらっていると言う。

店員に声を掛けて案内してもらい、入ると有里が勢い良く立ち上がる。

「ささ、入って!ずずいと入って!日本語で会話して!!」

涙目だ。

何だ...?

〔それで、近藤さんってどんな人?〕

「コンドーハ、トテモメンドウミニイイデス」

〔面倒見『に』いいなの?〕

「チカイマス。ワタシ、マチカエマシタ。エト...『ガ』デス。『メンドウミガイイデス』デス」

姜が日本語で返しているから内容的には何となく分からなくもないが、ちょっと疲れそうだ。

「お疲れした」と赤崎が言うと「分かってくれてありがとう」と有里が返す。

さん、星野さん連れてきましたよ」

〔お疲れ様〕

日本語ではない言語が返ってきたので、星野としてもどういって良いのかわからず、「ウチの姜が世話になりました。ありがとう」と礼を言う。

「ああ、いえいえ。こっちも韓国語で話が出来て結構有難いんですよ」と流暢な日本語が返ってきた。

「ホシノー!マイコナッタラダメヨ。シンパイシタヨ」

「お前が迷子になったんだよ」と呆れながら姜に返した。

そして、改めてを見る。

「ア、ショーカイスルヨ。『』サント『ユリ』サンダヨ」

「ETU広報部のです」とが自己紹介し「同じく、永田有里です」と有里も自己紹介する。

「川崎フロンティアの星野です」と挨拶が交わされ「ア!ワタシ、ジコショウカイマダダタヨ!姜昌洙。カワサキフロンティアダヨ」と姜が改めて自己紹介をする。

暫くして近藤を連れた世良と、八谷を連れた椿が合流した。

近藤にはこれまた丁寧な挨拶をされた。

暫くそこで腰を落ち着けて話をしていたが、がちらりと時計を見た。

その行動に有里は気づいて「今度にしよう」とこっそり声を掛けてきた。

「だね」とが頷き、「取り敢えず、出ますか」と声を掛けてその店を後にした。









桜風
10.12.5


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