| イタリアには良く行っていた。フランスもそこそこ。 そして、もうちょっと足を伸ばしたスペイン。 「...あまりボクに合わないね」 スペインの、しかも片田舎。ジーノは車を停めた。 バカンスにヨーロッパに来たのだが、あまり行った事のない国に行ってみようと思って行ったのが、スペイン。 道を間違えたのか、ちょっと田舎っぽいところに着いてしまった。 おなかが空いたので何かを食べようとも思ったが、自分の口に合わない店に入るのも... ふと目に入ったのは観光案内所、っぽいところ。 スペイン語が読めないので、そう書いてあるか分からないが、何となく表示してあるマークを見たらそんな意図が読めた。 片田舎でも観光客はそこそこ来るらしい。それなりに賑わっている。 キョロキョロと中を見渡す。 日本語、若しくはイタリア語で案内してもらいたい。それが出来なかったら、英語?英語は好きじゃないなぁ... 「!」 スタッフが声をかけていた。 思わず反応してそちらを向く。 日本人らしき女性の背中。 「ちょっと良いかな?」と日本語でスタッフに声をかけた。 少し待ってもらいたい、というジェスチャーをされた。 「」とそのスタッフが声をかけた彼女は振り返った。 ジーノは目を丸くする。こんなところに居たのか... 《何?》 《日本人..じゃないみたいだけど。たぶん日本語なのよ》 了解したというジェスチャーをした『』が向かってくる。 「ようこそ」 「ちょっと探し物をしているんだけど。『』っていう珍獣なんだけど...」 声を聞いたは目を丸くして内容を聞いて半眼になる。 「ジーノ?」 サングラスに帽子。何となく体格的にジーノに似てるなぁ、と思ったのだが、声までジーノで極め付けに、が珍獣と来た。 「やあ、久しぶりだね」 サングラスを外したジーノがニコリと微笑んだ。 怒ってる。確実に怒ってる。 「ジーノ...えーと...」 言い訳...した方が良いだろうか。 悩みながら言葉を濁らせていると「ボク、今おなか空いてるんだ」とジーノが言う。 「ああ、だったら。ちょっと待って、地図を描くから。コーヒーはたぶん、ジーノの舌に合わないかもしれないけど、パンは絶品。コーヒーが不味いのがイヤだったらオレンジジュースを頼むと良いわ」 そう言いながらが地図を描き始める。 「はあとどれくらいで手が空くのかな?」 言われて腕時計を確認したは「1時間はムリだわ」と返した。 「じゃあ、そのお店に居るから」 そう言っての描いた地図に手を伸ばすジーノを遮ってがその地図に数字を書き始める。 「わたしの番号。何かあったら連絡して。ジーノ、スペイン語ムリでしょう?」 「助かるよ」と言ってウィンクをしたジーノは再びサングラスをかけて出て行った。 ジーノが出て行った後は「あの人、誰?!」とちょっとした大騒ぎだったが、日本のトップチームの選手と話すと「なぁんだ」となった。 何を期待されていたのだろうか... あれから1時間してはジーノに紹介したカフェに向かった。 テラスの方でジーノは優雅に時間を潰していた。 「遅くなりました」とが声を掛けると座るように促す。 座ると《、男かい?》と店員に声を掛けられた。のためにオレンジジュースとフィナンシェを持ってきてくれたのだ。 日本に居たときの知り合いだと言うと面白くない表情をして《ごゆっくり》と居なくなる。 「此処、良く来るのかい?」 「夜は此処でバイト」 の言葉にジーノは眉を上げる。 「さて、説明してもらいたいんだけど。何ではETUを辞めてスペインに滞在してるのかな?」 静かに責めるように言われて小さくなりながらもは話をした。 「コッシーには話して、何故ボクには話さなかったんだか...」 チクチクと責められて「だってぇ...」とは抗議しようとしたが、ジーノがそれを許すはずがない。 「ま、いいけど。いつ日本に帰ってくるの?」 「いや、実は...」 の話を聞いてジーノは盛大な溜息をついた。 「お人よし」 「その通りですけどー」とやけっぱちになっては返す。 頼まれたからアマチュアチームのフロントをする? ちょっとお世話になったことがある人が頼んだからって引き受けるなんて余程のお人よしだ。 何せ、アマチュアのチームと言うのだから、給料はかなり低いだろう。 だから、昼に夜に働くことになっているのだ。 「あ、わたしがスペインに居ることは内緒ね?移動するかもしれないし」 「別にボクは困らないから良いけど。ザッキーにも?」 「そこら辺には、特に」 難しい表情を浮かべてが言う。 「ザッキー、頑張ってるよ。ま、ボクの忠犬だし。アレくらい出来なくてどうするってのはあるけど」 ジーノの言葉には苦笑した。 「うん、赤崎くんも頑張ってるよね。日本代表合宿に呼ばれたじゃない?」 嬉しそうに言うにジーノはこっそり溜息をついた。 「は何だってそんなに遠回りをしたがるんだろうね」 ジーノの言葉にはきょとんとした。 「いいよ、ボクはここでに会ったことを誰にも言わない。連絡先も、だね?」 「うん、お願い」 の言葉にジーノは手をヒラヒラを振った。 「じゃ、ボクはもう帰ろうかな」 「何処まで?」 「せめてもう少し賑やかなところまで、かな?」 ジーノの言葉には笑う。 「人情は浅草並みよ?」 「かも知れないね」 笑ってジーノはそう返した。 「じゃ、また日本に帰ってきたら必ず連絡をするように」 念を押してジーノはその店を後にした。 |
桜風
11.1.29
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