Halloween



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赤崎の場合
『トリックオアトリート!』

電話をかけると彼女に言われた。

「電話越しにどうやって...」

『味覚的な甘さでなくて良いんだけど?』

笑いながら彼女が言う。

「味覚的じゃなくて良いって...じゃあ、何?」

『聴覚的に。ほら、あるじゃん。“甘いセリフ”とか』

完全に彼女がからかっているのは分かる。

「いいんだな」と赤崎が挑発的に言うと『どーぞー』と完全に期待されていない口調で返されてムッとした。


ツーツーと通話が切られた。

「...次、どんな顔して会えってんだよ」

頑張った赤崎の言葉に照れた彼女がそのまま通話を切ったのだが、言った方の赤崎もダメージを受けた。

しかし、彼女の表情が見られなかったのが残念だったので、今度会ったときにもう一度チャレンジしてみようと心に決めた赤崎だった。

世良の場合
「トリックオアトリート」

家に帰って彼女に言う。

彼女は振り返って「ちょっとそこに座りなさい」と言う。

何だろう、と思って指差された畳の上に座ってみた。

「いい?貴方はプロのアスリートでしょう?」

説教が始まった。

あれ?どうしてだろう...堺さんと同じことを家でも言われてる。

首を傾げている世良に「聞いてるの?」と彼女が顔を近づけて確認する。

「ああ、うん」と世良が頷くと説教の続きを始めた。


一頻り説教を聴き終わった世良は「じゃあ、さ。いたずらの方ってことだよな?」と確認してみた。

「へ?!」

彼女が頓狂な声を上げる。

「だって、トリートがダメなんだろう?じゃあ、トリックしかないじゃん」

「い、いや..あの...?」

腰が引けている彼女の腕を引いて「んじゃ、トリックはじめようか」と言った世良はやけに得意そうで。先ほどまで偉そうに説教をしていた彼女にキスの雨を降らした。

「来年も、『トリックオアトリート』って言うから」

「ラムネでも用意しとくわよ」

そう返した彼女に世良は愉快そうに「俺、プロのアスリートだよ?」と返す。

「年に1回くらいラムネの1個食べたってバチが当たらないわよ。普段から摂生してりゃそれくらい」

「俺トリックの方が良いなー」

そう返した世良に「知らない」と彼女はそっぽを向いた。

堀田の場合
帰りにコンビニに寄ってみた。所狭しとスイーツが陳列されている。

昼間に広報部を覗くと有里がおいしそうにコンビニのスイーツを頬張っていたのだ。

そのスイーツは彼女が好きそうだった。

どれが良いだろう、と思って散々悩んでかぼちゃのプリンにした。上には生クリームのホイップが乗っている。


「トリックオアトリート!」

帰ったらそういわれた。

そういわれると思って買って帰ったかぼちゃのプリンを渡す。

「うわぁ、おいしそう!!」

「この秋の新商品って書いてあったな」

「そうなんだー」と嬉しそうにしながら「今食べていい?」と彼女が聞く。

「どうぞ」と返されて彼女は「わーい」と言いながらソファに座ってプリンを食べ始める。

「どうだ?」

「美味しい。ありがとう」

ニコリと微笑んで言う彼女に堀田は苦笑する。スイーツを食べ始めると途端に幼くなる。

「なあ」と堀田が声を掛けると彼女が堀田に注目した。

「トリックオアトリート」

言ってみたらどんな反応をするのだろうと思っていうと彼女はプリンとスプーンを渡してきた。

「ひとくちどうぞ」

苦笑した堀田は「こっちの方が良い」と言って彼女の口の端についたホイップクリームをペロッと舐めた。

カランとスプーンが床に落ちる。プリンが落ちなかったのは彼女の執念の成せる業なのだろう。

クツクツと笑う堀田の目の前の彼女は目を丸くしたまままだ固まっていた。

石神の場合
「トリックオアトリート!」

帰宅したら家で待っていた彼女にそういわれた。

石神は彼女をギュッと抱きしめて「じゃ、トリックで」とリクエストをする。

「むむっ!その反応は考えていなかった」と言う彼女に石神は笑う。

「何でー。俺なら絶対に有りだと思うぞ?」

「そう思わせてメチャクチャおいしそうなケーキを購入済みだと思っていた」

真顔で言われて石神は苦笑して「んじゃ、今から買いに行こうか」と彼女に声を掛ける。


荷物を部屋に投げて玄関で靴を履きながら「あ、」と石神が声を漏らす。

「なに?忘れ物なら私がとってくるよ」

まだ靴を履いていない彼女が言う。

「じゃ、なくて」

そう言って石神がキスをした。

「行ってきますのチュウ」

「それって、自分だけが出かけるときにするものでは?」

「ははっ、細かいことを気にしない!」

「ま、慣れたけどね」

そう言って靴を履く彼女にまたキスをして、「行ってらっしゃいのチュウ」と言って笑った。

堺の場合
「トリックオアトリート!」

帰宅して「ただいま」と口にする前にそんな言葉が飛んできた。

そちらを一瞥して「ただいま」と言って一旦自室に帰る。

「おかえり」とドアの向こうから少ししょげた声が返ってきた。

はぁ、と部屋の中で溜息をつきリビングに戻る。


「これやるから」

そう言って渡したのはJFチップス。

「どうしたの?」と目を丸くする彼女に「もらった」と短く返す。

彼女はすぐにカードの方を確認する。

「あ!」と上がった声に反応して視線を向けると自分のカードをヒラヒラと振っている。

まさか自分のがあるとは思っていなかった堺は驚いて「良いカードが出たじゃねぇか」と言った。

「うん」と言った彼女は「良則さーん」と言ってカードにキスをした。

「ホンモノが目の前にいるんだからこっちにするべきだろう」

ムッとした表情の堺を見て彼女は笑い、ムキになった堺は彼女の元へと足を向けてキスをした。

「そだね、こっちの方がいいわ」

「だろうが」

そう返した堺はもう一度彼女に口付けを落とした。

丹波の場合
「トリックオアトリート!」

今日はハロウィンだな、とロッカールームで話題に上った。

そうだった、と思った丹波は家に帰ったら絶対に言って、いたずらをしようと思って帰って来た。

「はい」と彼女があめを渡してくる。

何のこれしき!

そう思って口に放り込んで噛み砕いた。苺味だった。

「トリックオアトリート」

「次はレモン味」

ポケットから彼女が飴を取り出す。

負けるか!!


何度か繰り返した丹波は「あのさ、飴以外が良い...」と弱音を吐く。

そろそろ口の中が甘くて甘くて気持ち悪い。

彼女は目を眇めて「諦めたら?」と返す。

「こんなところで諦めて溜まるか!!」

丹波の言葉に溜息を吐いて彼女は「聡」と丹波の名を呼ぶ。

「ん?」

胸倉を掴んで彼女は丹波の顔を近づけさせた。

チュッとキスをした彼女は胸倉を掴んだその手を離して「これで良いんでしょ」と言った。

「おう!」

満面の笑みを浮かべている丹波に盛大に溜息を吐いて「最初からそういえば、飴なんて食べなくて良いのに」と彼女が零し、「だよなー」と丹波は笑った。

村越の場合
「トリックオアトリート」

帰るなりそういわれて面食らった。

カレンダーを見てそうか、と納得する。

「ああ、すまん。何もないな...」

「そっか」としょげた彼女に良心が痛む。

「これから何か買ってくるか?」

村越の言葉に彼女は苦笑して「いいよ、疲れてるんでしょう?」という。

いつも自主トレで遅い村越にこれから甘いものを買いに行ってくれなんて言えない。


彼女はよく遠慮をする。

もうちょっとわがままとか言いたいだろう、とは思うのだが...

ベランダに出てみると昼間に雨が降ったこともあって空がいつも以上に澄んでいる。

「わあ、綺麗だね」

いつの間にか傍にいた彼女が言う。

「だな...今度のオフの日にどこかに出かけるか。プラネタリウムとか」

「休まなくていいの?」

「ああ、どこかに行こう」

「ありがとう」

微笑む彼女に「いつも悪いな」と言っておでこにキスをした。

「ははっ。いたずらされちゃった」

笑いながらいう彼女に村越は苦笑を返した。









桜風
10.10.31


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