小春日和 3





堺との出会いは所謂“合コン”というやつだ。

チームメイトに誘われて行った合コンで物凄く不機嫌面な子がいた。

それがだ。

そのときは聞けなかったので後でその理由を聞いたところ、「騙された」と言う。


「ご飯が美味しいお店を見つけたから一緒に行こう」という誘い文句にまんまと引っかかったのだ。

その友人とはよくご飯を食べに行くし、味覚も似ているのか、確かに彼女が「美味しい」といった店は自分も気に入るので楽しみにして行き、個室のドアを開けた途端、自分達と同じ人数、すなわち5人の男が先に座っている姿が目に入る。

「ちょっと...」

友人の襟を引っ張ってちょっと外れて文句を口にすると

「あ、あの右端。元彼」

と聞いても無いことをいう。

「あんた、何で元彼と合コンなんてするのよ!」

「利害の一致。あたしは彼氏が欲しい。あっちは彼女が欲しい。ほーら」

『ほーら』じゃない!

「わたし、帰る!」

「待って!お願い。ムリに楽しそうにしなくて良いから。ご飯が美味しいのはホント。ね?」

拝み倒されて渋々参加したは、友人が言ったとおり無理に楽しそうにしなかったので印象が良くなかったのだ、堺には。

しかし、友人の元彼にはいたく気に入られて非常に困った。

「ね、ちゃん。サッカーに興味ない?」

チラと彼を見て目の前のサラダを小皿に取る。

ここは野菜が非常に美味しい。

「特別興味があるわけじゃない」

「ホント?だって、って高校のときはサッカー部のマネージャーやってたって言ってたじゃない」

友人が言う。

「へえ?じゃあ、詳しいんだ?」

「3年間やったから、まだ食傷気味。詳しいかどうかは、人並み程度だと思う」

そう言ってもりもりとサラダを食べる。

「バッタか...」

呟いた声が聞こえたそちらを見た。

向こうも自分に負けず劣らず仏頂面だ。

「ここのメインは野菜」

はそう返して温野の蒸篭蒸しに手を伸ばす。

「おい、堺」と彼が窘める。

まあ、不愉快だって顔に書いてあるだけ分かりやすくていいわ...

はそう思いながらテーブルの上にある料理を食していった。


「二次会にも行こうよ」と誘われたがは断って帰ることにした。



それから数日後に友人にサッカー観戦に誘われた。

「これ、もらったの」

「誰に?」

「...元彼」

忌々しそうに呟く彼女に「ご愁傷様」と返した。

つまり、彼女は先日の合コンで成果を得ることが出来なかったと言うことだ。

「で?行くでしょ?」

久しぶりに生で見るのも悪くないと思ってその誘いに乗った。

「プロは初めて?」

「リーグが出来たのがつい最近じゃない」

の言葉に「そうだっけ?」と彼女は首を傾げながらチケットを渡す。

「ちょ..これ良い席じゃない!!」

「そうなの?なんだ、ってばやっぱ詳しいじゃん」

あんた、アレが彼氏でなんでこんなに知らないの?!

逆に問いただしたい気持ちを抑えて、頂ける物は頂いてしまいましょうとは彼女と観戦の約束をした。









桜風
11.4.9


ブラウザバックでお戻りください