| 気まずい、雰囲気 この季節でも日が傾くと結構過ごしやすくなるもので、今日の私の成果を眺めながら麦茶を飲んでいると突然携帯が鳴った。 「はい、です」 慌てて出てみると 『あ、?あのさ、これから暇?』 それは高校の友達からでそんなことを言われた。 「これからって...まあ、これといった予定も無いけど」 『じゃあさ、今日これから合コンがあるんだけど...』 「私、パス!!」 何で好きな人がいるのに合コンに行かなきゃいけないのよ?! 『うー...お願い!お姉ちゃんが友達に誘われたらしいんだけど、結局人数揃わなくて。で、お姉ちゃんが妹と友達を連れてくるって約束しちゃったらしいのよ』 「他の子誘ってよ」 『がそういうの好きじゃないの知ってるから他の子当たってみたけど皆ダメで、残るはだけなんだよ。お願い!あたしを助けると思って、ね? そうそう。今日の相手はスポーツやってるんだって。その世界では有名な人たちばっかりらしいよ。だから、ねえ。お願い。しかいないのよ!!』 ...スポーツって言っても色々あると思うんだけど?? でも、まあ、仕方ないか。 「わかった、いいよ。時間は?」 『7時。場所はちょっと分かりにくいと思うから一度駅前で待ち合わせよ?』 「ん。じゃあ、ちょっと時間がないけど6時半頃に駅前でいいかな?」 『そうしよう!じゃあ、ありがとうね。オシャレして来なよ?彼氏を作るチャンスだからね?!』 「いや、それはいいや。私はあくまで人数あわせで。1次会で帰るよ?じゃあ、後でね」 ...はぁ、面倒くさいなぁ。 TシャツにGパンってさすがに怒られるかな?? 急いで用意をして何とか時間に間に合った。って、来てないし... 「ごめーん、」 少しして友達が、たぶんお姉さんとその友達を連れてきた。 「こんばんは。ごめんね、無理を言って」 「いいえ。こんばんは。です」 一通り挨拶を交わしてお店に向かう。 お店は隠れ家みたいで落ち着いた感じのところだった。うん、確かにここは分かりにくいかも。 席に案内されると、 「ありゃ、あたし達の方が早かったみたいだね」 まだ来ていなかった。 そのまま適当に座って待つことにした。 とりあえず私は動きやすい通路側にさせてもらった。 それから待っていると聞き覚えのある声がお店の中に入ってきた。 その人たちをお店の人が案内してきて私は猛烈に帰りたくなった... 「こんばんは。今日はよろしくお願いしますね?」 「おう!...?お前が何でここにいるんだ??」 気付かれないように俯いていたけどあっさり気付かれてしまった。 「こんばんは、鷹村さん、木村さん。まあ、付き合いってヤツですよ。でも、何でこんな知ってる人と...。あれ?人数的にこっちが一人多いですよね。じゃあ、私帰りましょう」 これ幸いと思ってそう言ったら 「もう一人来るぜ。お前が良く知ってる奴だ」 「...青木さん?」 「何でアイツなんだよ?!」 私の答えに鷹村さんがそう聞いてきた。 だって、ねえ? 鷹村さんと木村さんが揃ってるんだから、残るは青木さんでしょ?...他のジムの友達かな? 「来るのは宮田だ」 「...はい?鷹村さん。鷹村さんのそんなに下手な嘘は初めてですね」 全く、嘘をつくならもっとマシなうそをついてほしいものだね。 「何?!嘘じゃねえぞ!誘ったら自分で『行く』って言ったんだからな。木村のヤツは姑息にも止めようとしたんだけどよ」 「でもでも、いっちゃんはそういうの好きじゃないって昔言ってましたよ?!」 「ま、人は成長するからな。お?来たぞ。噂をすればってヤツだな」 入り口の方を見るとそれは本当にいっちゃんで、それを認めたくなくて思わず視線を逸らした。 「すみません、遅れて...?」 「コンバンハ、ミヤタサン」 何だか気持ちの整理が一つもできなくて、他人行儀に振舞ってしまう。 「何でがこんなところにいるんだよ?はこういうのに興味ないって言ってただろ?」 「そんなの、いっちゃんだって同じじゃない?!」 ちょっと気まずい雰囲気の中、全く気にすることなく鷹村さんが仕切っていく。 とりあえず自己紹介も済んで、鷹村さんが率いてきた知らない人は『板垣学』ということが分かった。 でも、やっぱり気になるのが、皆のいっちゃんへの視線。 「あの、皆さんとはどういう知り合いなんですか?」 「は一度ウチのジムに来たからそのときからの付き合いだな」 と鷹村さん。 それに続いて木村さんが 「俺の場合はそれもあるけど、ちゃんはウチのお得意様なんだよ。結構ウチの店に来てくれるんだよな」 「宮田さんは?」 「俺ですか?俺は、...俺の家がの家の隣で。それで、子供の頃から知っていては..妹、みたいなものですね」 『妹』... 6年経った今でも私はいっちゃんにとって妹でしかないんだ。 そう思うと悔しくて、居た堪れなくて 「ごめん、帰る」 急いで荷物をまとめた。 「ちょっと、?!」 声を掛けられたけど、止まる気にもなれずに失礼だと分かってたけどそのままお店を出た。 一人で帰っていると 「ちゃん!」 後ろから声を掛けられた。 「木村さん...何でここにいるんですか?」 「いや、ちゃんが心配で...。大丈夫?」 そう言って優しく頭を撫でてくる木村さん。 何だかこの人には敵わない気がする。 「...大丈夫ですよ。何の心配してたんですか?」 「いや、...ごめんね、一応宮田の参加は止めたんだけど逆にそれが良くなかったみたいでさ」 「何で、木村さんが謝るんですか?変なの」 木村さんに気を遣われたら余計に6年前を思い出す。 「うーん、変かな?...あ、ちゃんクレープ屋があるよ。何か食べよう?」 この話を終わらせようとした感じで木村さんが話題を変えた。 確かに、ほとんど何も食べずに出てきたからおなかは空いている。 「はい。でも、木村さん。本当に出てきて良かったんですか?せっかくの合コンだったのに」 「ん?うーん。でも結局ちゃんが気になって楽しめなかったと思うしね。じゃあ、買ってくるからここで待ってて。何がいい?」 「えっと、苺のやつ」 「了解!!」 そう言って走っていく木村さんの背中を見つめながら思ったこと。 木村さんって、損な性格だな... |