| というわけで来てみました!! ...うわぁ、想像以上だわ。 今日は一郎君の生まれたという、とてもめでたい日。 そして、今日も練習があると言っていたからちょっと覗いてみようと思って以前1度教えてもらったことがある『川原ジム』とやらに赴いたわけですが... こりゃ、顔を見るのも至難の業だわ。 やっぱりファンの子達は一郎君の生まれためでたい日をちゃんとチェックしているらしく、『川原ジム』さんの前は女の子で溢れてた。 さすがにアレに混じって『一郎くーん!』とかってやる元気も意気込みも無い。 今日は諦めますか。 そう思って、てくてく帰っていると向こうからよーく知っている人が走ってきた。 「...さん。」 勿論それは一郎君。 一郎君は少し驚いたような顔をしたけど、すぐにいつもの落ち着いた彼に戻った。 「一郎君、走りに出てたんだ。」 「ええ、まあ。どうしたんです、こんなところで遇うなんて珍しいですね。」 そう言った彼の声が少し嬉しそうだと思うのは私の自惚れだろうか...? 「そだね。今日は一郎君に逢おうと思って『川原ジム』さんへ行ったのよ。」 「俺に?...何かありましたっけ?」 一郎君の言葉に驚いて思わず 「...今日は何の日?」 私が問い返すと、一郎君は腕を組んで考え始める。 オイオイ... 「じゃあ、今日は何月何日?」 「今日ですか?確か今日は、8月27...ああ、そうか。俺の誕生日ですね。すっかり忘れてましたよ。」 ちょっと苦笑気味にそういった彼は、何となく『らしいな』と思ってしまう。 「川原ジムさんの前、女の子がたくさんいたよ?」 私の言葉に一郎君は結構露骨に嫌な顔をする。 「そうですか...俺が出るときはいなかったんですよ。」 まあ、居たらさすがの一郎君も今日が何の日か気付いただろう。 「こらこら、そんなに嫌そうな顔しないの。ありがたいことでしょ、ファンがいるってコトは。」 「そう、なんでしょうけど。練習の邪魔になると話は別ですよ。」 そう言った一郎君は少し困ったような顔をしていた。 私も、練習の邪魔をしてる...よね。 何だか、自分の行動が軽率すぎた気がしてきた。 「さん?」 一郎君が顔を覗きこんで声を掛けてくる。 「えっと、ごめんね?練習の邪魔しちゃって。」 そう言って帰ろうとしたら、 「ちょっと待った。」 一郎君に手を掴まれる。 溜息をひとつ吐いて、 「ごめん、俺の言い方が悪かった。ええと、...」 そう言葉に詰まって、また溜息を吐く。 視線を外してガリガリと頭を掻いたあと、手を繋いだまま一郎君が歩き出す。 でもそっちは... 「一郎君、そっちは川原ジムじゃないよ?」 そう声を掛けると、 「いいんだよ、どうせ今日はロードワークで終わりだったし。戻っても練習にならないだろうから。折角さんが来てくれたんだし、散歩。」 少しぶっきらぼうに、前を向いたままそう言う。 私は嬉しくて、並んで歩いて繋いだ手をキュッてすると、一郎君もギュッて握り返してくれる。 夏だけど、暑いとかそんなの全然なくて、ただ幸せな気分だけが溢れてくる。 少しゆっくりのんびり歩いていて、ふと思い出す。私は大切な一言を言っていない。 「一郎君。」 足を止めて名前を呼ぶと 「何ですか?」 一郎君も足を止めて私に顔を向ける。 ちょっと背伸びして一郎君のほっぺにキスをする。 少し驚いた顔をする一郎君に 「誕生日おめでとう。そして、ありがとう一郎君。」 って言うと、 「『ありがとう』って...。それは俺が言う言葉じゃないんですか?」 ほんのり赤い一郎君が言ってくるけど、 「ううん。私から、『ありがとう』だよ?」 そう答えておいた。 この世に生まれてきてくれて、ありがとう。 君に出逢えてありがとう。 いっぱい、いっぱいありがとう!! |
誕生日おめでとう!一郎さん!!
『ありがとう』っていうのは私が一郎さんに言いたい言葉。
こちらのヒロインは一度短編で出演されております。
彼女は結構お気に入りですのでまた出てくると思います。
桜風
04.8.27
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