5月5日はこどもの日。
そしてもうひとつ。忘れてはいけないのが、幼馴染の誕生日。
しかし、この幼馴染は何故か妙に人気がある。
は溜息を吐く。
毎年彼は結構プレゼントを貰っている。
そしてその度に言う言葉は
「こんなにたくさんもろうてもなぁ...」
ちなみに昨年までのプレゼントもその『たくさん』の一部だったりする。
彼があんなに困ったように言葉を口にするコトなんて年に1回...でもなく、あと2回はあるけど、それでも彼だけの特別な日くらいそういうのは軽減したい。
そんなことを考えたのは4月の初め。
は物以外のプレゼントを考えていたが中々いいアイデアが出ない。
考えが纏まらなくても時間は進んでいくもので、既にカレンダーは5月に変わっている。
焦っても仕方のないことだが、焦らずにはいられない。
その日も出かけ先から帰りながらも明日の彼の誕生日をどうしよう、などと悩みながら家に帰っていた。
ふと、名前を呼ばれた気がした。
振り返ってみるけど誰もいない。首を傾げたの目に初めて見る小道が映った。
(あんな道あったんだ?...ちょっと探検。)
気分転換も兼ねてその小道に入っていった。
少し薄暗くて本当に人一人がやっと通れる結構急勾配な坂道だった。
(きっつー...運動不足が祟ったなぁ。)
息を切らせながらその道を辿っているとやがて開けたところに辿りついた。
そこで見た光景には息を飲んだ。
そこにはピンクモーメントの夕焼けが広がっていた。
「きれい...」
は思わず声を漏らしていた。
は走って帰る。
近所の幼馴染に家に行き、
「こんばんはー!」
と中に声を掛けると普段なら家にるはずのない幼馴染が出てきた。
「なんや、。そないに息切らしてどないしたん?」
「あ、武士。この時間に家にいるって珍しいね。」
「まぁ、な。も少ししたら出るつもりや。で?はどないしたん?ばあちゃんに用事でもあったんか?」
「ううん、用事があるのは武士に。明日、夕方少し時間取れないかな?ちょっと付き合ってもらいたいところがあるんだけど...」
「明日か?何時ごろや?」
「これくらいの時間。もう少し早いんだけど。そうだな、6時ごろかな?」
「...ええよ。ジムはその後に行くことにするよって。ほな、ウチから出かけるんでええんか?」
「そだね。私がここに来るよ。」
「ん、分かったわ。ほな、明日6時やな?」
「忘れちゃ嫌だよ?」
「大丈夫やって。」
そう千堂の返事を聞いては嬉そうに微笑み、帰っていった。
なんとか間に合った!!
翌日、約束の時間。
は千堂の家に向かう。
「。」
「あ、武士。ごめんね、時間取っちゃって。」
「気にせんでもええよ。ほな、どこ行くん?」
は昨日通った小道向かう。
「ここ通るんか?」
小道を前に千堂が聞く。自分の体格から考えて、少しこの道を狭く感じたのだが、
「うん。...だめ?」
不安そうに自分を見上げるに『だめ』などと言えるはずもなく、
「いや、まあ、ええけど...」
と返事をした。
急な坂道を登っていく。
「も..す、ぐ着くよぉ...」
息を切らして自分に声を掛けてくるに苦笑を漏らしながら千堂はに続いて歩いている。
そしてやっと開けたところに出ると、
「はぁー...」
千堂は感嘆の溜息を漏らす。
「どう?きれいでしょ?」
「ああ、きれいやなぁ...。こないな風景、見たことないわ。」
「本当?良かったー!!ねえ、武士。」
「なんや?」
「誕生日おめでとう。これは神様から武士へのプレゼントなんだよ、きっと。」
「神様から?なんで?」
「昨日ね、誰かに呼ばれた気がして振り返ったときに偶然、さっき通った小道を見つけたの。きっと神様が武士にプレゼントしたかった風景だったんだよ。」
そう言われて少し驚いた千堂は優しく微笑み、
「神様、か。ほな、その神様いうんは女神やな。しかも、目がパッチリしとって可愛い。少しおっちょこちょいで目が離せん、そんな女神やな。」
は千堂を見上げたまま動かなくなった。
千堂の言った言葉は、いつもが千堂に言われている言葉そのままだった。
千堂はに口付け、
「おおきに、ワイの女神様。」
悪戯が成功したことを喜ぶ子供のような笑みを浮かべた。
の顔を朱に染めているのは、夕焼けか、それとも他の何か。
それは、神様だけが知っている。
今年は出来ないと思っていた千堂誕生日ドリーム。
突然出来ちゃいました(笑)
まあ、誕生日ドリームと言っていいものか微妙だとは思うんですけどねー。
何はともあれ。
誕生日おめでとさん、千堂!!
桜風
04.5.5
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