| 日付が変わった頃に彼女を迎えに行き、目的地に向けて車を走らす。 「達也さん、どこに行くんですか?」 行き先を告げずに車を走らせている俺に彼女は当然の疑問を口にした。 「まだ秘密」 俺はちらりと彼女に視線を向けて答えた。 彼女は口を尖らせながら 「はぁい。...けちんぼ」 と言って拗ねた。 彼女はいつも素直だが、最近は時々こういう反応が返ってくる。 そういえば、出会った頃はそんなことは無かったよな。やっぱり、今は気を許してくれてる証拠なんだろう。 そう思うと彼女のこの変化は嬉しい。 「まだ時間が掛かるから寝ててもいいよ」 「私が寝たら達也さん退屈で居眠り運転しちゃいますよ?大丈夫です、起きてますよ」 彼女のその言葉に俺は苦笑を漏らした。 1時間後、助手席から寝息が聞こえてきた。 見ると優しい顔をして彼女が眠っている。普段から年の割りに幼い顔をしている彼女の顔が更に幼く見える。 信号で止まった時に後部座席においていた毛布を取り出して彼女に掛ける。 時計を見て少し焦った。 さっきより少しスピードを上げて車を走らせた。間に合えばいいけど... 何とか間に合って目的地に着いた。 彼女を見ると幸せそうな顔をして眠っている。 起こすのが忍びないけど、ここで彼女を起こさなければ本末転倒だ。 「ちゃん、起きて。着いたよ」 彼女を揺すると、ゆっくり瞼が上がる。 「...達也さん、えーっと」 どうやら寝惚けているらしい。 そんな彼女を見るとちょっとした悪戯心が湧いてきて、彼女の唇に軽く口付ける。 彼女は目を丸くした。 ...起きたかな? 「おはようちゃん。さ、車から降りて」 真っ赤になってる彼女を置いて車から降りて待つ。 やがて彼女も降りてきた。 彼女の手を引いて少し歩き、ひらけたところに出た。 「うわぁ...」 彼女は目を輝かせて歓声を上げた。 「どう?気に入ってくれた?」 「はい!」 彼女は手を合わせて初日の出を拝み始める。 俺も彼女の隣で手を合わせて願う。 『今年もちゃんと一緒に過ごせますように』 「達也さん、何をお願いしたんですか?」 「秘密。ちゃんが教えてくれたら教えてあげるよ?」 「じゃあ、私も秘密です。でも、叶うといいですね」 「ま、それは俺の努力しだいだと思うな」 「それならきっと大丈夫ですよ。達也さんは努力家ですから」 そいつは心強い。 それじゃ、頑張って男を磨きますか。 新しい年になって改めて決心した。 |
ブラウザバックでお戻りください