雪合戦...?





ぽすり、と緩い雪球が当たった。

顔を向けるとが笑顔で嬉しそうに手を振っている。

「ガキかよ...」

呟いてそちらに足を向けた。


「お遣い?」

手に持っているビニール袋を目にしてが聞いてきた。

「晩飯のな。てか、は何してんだよ」

「雪合戦」

「誰と」

自分を指差すに思いきり溜息を吐いた。

「俺、そんなに暇じゃねぇんだけど」

「まったまたー」

そう言いながらパタパタと手を振っている。

「てか、1対1か?」

「だって、付き合ってくれそうなのって達也しかいないでしょう?」

ぷぅと膨れてがそう言った。

「ま、俺らの年齢を考えたら。普通は付き合わねぇな...」

当たり前だ。

もうハタチ超えてるのだから。

「何でだろうね。こんなに雪が降るなんてないよ?雪合戦をするなら今のうちだよね?鎌倉が作れたらもっと良かったんだけど...やっぱ、これくらいじゃ無理っしょ?」

同意を求められても...

「てか、今言ったけど。俺、お遣いの途中。これ、晩飯」

「じゃあ、一旦家に置いておいで」

手を振りながら真顔で彼女が言う。

「これって、強制参加?」

「達也はね?あとは..気になるんだったら適当に見繕っておいで。仕方ないから仲間に入れてあげるよ」

何故自分が...

溜息を吐き、「んじゃ、10分だけだぞ」と言って買い物袋を置いた。

雪の上に置いても袋越しだし10分くらいだし。野菜とか傷むことないだろうし。

「えー、10分?」

「じゃあ、付き合わない。俺、こう見えてもの凄く忙しいの!てか1対1での雪合戦って、盛り上がるか?」

「盛り上げるの!私だって最初は1対1なんて思ってなかったよ。勝に電話したら『トミ子とデートだから。お前も男作れよな。はははー』って。もの凄くムカついたから今度トミ子ちゃんに勝の恥ずかしいだろうと思われる過去を暴露してやるんだから!」

握りこぶしを作って本当に悔しそうにいうの姿に溜息が漏れる。

「それって、トミ子のヤツは喜ぶだけだと思うぜ。あいつ、何でか良くわかんねぇけど青木の全てを肯定してるから」

「いいなぁ、幸せそうだ...ま、と言うわけで。暇人で寂しい2人が仲良くお互いのストレスをぶつけるが如くサシで雪合戦をしてしまおうと。そういう企画ですよ」

余計寂しくなりそうだな...

そう思いながらも「オーケー」と返して木村は足元の雪で緩い球を作る。当たってもあまり痛くないように。


10分と言う約束だったが、結局白熱して1時間くらい遊んでしまった。

コートのポケットに仕舞っていた携帯は何度か震えたが、それに対応する気にもなれずに今の状態だ。

「うわぁ...1時間!?10分じゃなくて良かったの?」

腕時計を見ながらが言う。

「あー、着歴が酷いことになってるけど。まあ、しょうがねぇよな」

ポケットの携帯を取り出して苦笑した。

途中からコートは脱いでいたから此処まで電話がしょっちゅう掛かってきているなんて思っていなかった。

「おい、

同じくコートを脱いでいたはさっさとコートを着込んで帰ろうとしていた。

「何?」

「メシ、食ってかないのか?」

「いや、それは図々しいでしょう」

笑いながら彼女が言った。

「別にいいんじゃねぇの?今日、鍋だし。キムチ」

そう言いながら腰を屈めてスーパーの袋を手にする。

「キムチ鍋?仕方ないなー。そこまで達也が私と一緒にご飯を食べたいって言うなら、行ってあげなくもないかな?」

ウキウキとした口調でがそう言う。

「別に、頼んでるわけじゃねぇんだけど...」

来たいなら、来て良いけど?

その程度のお誘いだ。

「え?達也ってば、今も流行ってるかどうか微妙なところのツンデレ?」

真顔を作ってそういうに、木村は顔を顰めて眉間をコツンと突く。

「ツンデレは不滅だ」

そう言い置いて自宅へ足を向ける木村の背中を唖然と見詰めていたも慌てて木村の後を追う。

「ツンデレ、好きなの?」

真顔で聞いてきたそのの表情が可笑しくて木村は噴出し「さあなー」と応えておいた。









桜風
08.12.1


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