| 年の暮れといえば何が思い浮かぶかと聞かれたら『大掃除』だ。普段しないから、大掃除は本当に『大掃除』になる。 「ねえ、毎年のことだけど。普段からもうちょっとさぁ...」 部屋に踏み込むなりが言う。 「何や。人んち来た途端、失礼やないか」 呆れた表情を浮かべているに肘をついて寝転んでいる千堂が面倒くさそうに振り返る。 「今年も精一杯大掃除するよ!」 そう言ってズカズカと部屋の中に入り込み、窓を全開にする。 「寒いやないか!」 「冬だもん。それが普通でしょ。ほら、立ち上がれ!!カウント取るよ!!」 そう言って仁王立ちになるの言葉に慌てて千堂は立ち上がった。 まったく、と溜息を吐いては千堂に背を向けた。 階下に降りると千堂の祖母がニコニコと笑っていた。 「毎年のこととは言え、悪いね」 「毎年のことなので、慣れました」 苦笑して廊下においていたバケツと雑巾を持って2階に上がった。 「ばあちゃん、掃除機」 気だるげに降りてきた孫がそう言う。 「毎年のコトながら、はんに迷惑かけて...」 呆れていう祖母に「頼んでへんわ」と返して掃除機を持って2階に上がった。 「素直やないなぁ」と祖母は笑いながら孫の背中を見送った。 「な..何や、これは!?」 掃除機を取りに行っている間に部屋が粗方片付けられている。 というか、雑誌類は全て紐で縛られている。脱ぎ捨てている服は全て廊下へ。 「掃除機はもっと後で良いのに!」 ご立腹のに「ええやろ、結局要るんやし」と千堂が返し、括った雑誌の紐を解き始める。 「何散らかしてるのよ!」 「これはワイの宝物や!」 「じゃあ、きちんと仕舞っておきなさいよ!」 「...いつものことながら、ほんまに仲良しやなぁ」 2階の言い合いを聞きながらお茶を啜って千堂の祖母が呟く。 毎年のコトながらこれが半日続く。 もちろん、昼食と言うブレイクタイムは確保される。 日が傾き、千堂の祖母が蕎麦の出汁をとり始めた頃やっと掃除が始まる。 「何で毎年こうなのかしら?」 窓拭きをしながらが呟く。 そう、毎年こうなのだ。1日の半分以上は口喧嘩という年の瀬。 ずっと声を出しているので喉が渇くから途中に仲良く休憩するし、そのお陰ではかどらない。 「あれがなかったらもっと早くに終わってたと思うんだけど...」 「やかましいな。がワイの宝物を勝手に捨てようとするのが悪いんやろうが!」 「そんなに大切なら読んだらきちんと棚の中に入れるとか、脱ぎっぱなしにしないとか。そういう些細なことを毎日きちんとやっておけばこんなことにならないでしょ!?」 「やかましい!第一、ワイはに掃除に来てくれって頼んでへんわ!」 「ブブー!残念でした。おばあちゃんに頼まれているんです!そうじゃなかったらわたしだって、こんなゴミの山の中に足を踏み入れるものですか!」 「ゴミの山とは何や!ゴミの山とは!!」 「さっきまでのこの部屋を見たらみんなきっとそう言うわよ!」 「蕎麦出来たでー!」と階下から千堂の祖母の声が聞こえた。 「はーい!」とが返事をし、「メシやメシ」と千堂が勇んで階段を降りる。 「掃除はどんなもんや?」 蕎麦を啜る2人に声をかけると 「完璧や!」と千堂。 「これくらいで勘弁してやる、って感じかな?」と。 この返事も毎年全く同じなので、これを聞くと新しい年を迎える準備が出来たような気がする。 「まあ、来年もよろしゅうな」 千堂の祖母の言葉に姿勢を正して、「こちらこそ、よろしくお願いします」とは三つ指をついて返した。 「ばあちゃん、お替り」 どんぶりを差し出して言う千堂に溜息を吐きながら、「今年も平和な1年やったなぁ」とそれを受け取り、祖母は台所へと向かった。 |
桜風
09.12.1