| くわぁ〜、と欠伸をする。 「お前、それはどうかと思うぜ?せめて手を当てて隠せ」 は面倒くさそうに顔を上げた。 「あ、達也。いらっしゃーい」 そう言ってカウンターに頬をつける。 眠い... 「かんっぺき五月病だな?」 からかうように木村が言った。 「まあねー...なんでGWって1年続かないのかしら?」 「それ、既に『ウィーク』じゃないだろう」 苦笑しなが木村が指摘した。 ...細かい奴め! 「んで、木村さんちの達也さん。何をお求めで?今度はどんなプレゼントで女の子の気を引こうとしているのかしら〜?」 木村達也はにとってみれば振られてばかりの男で、腐れ縁の幼馴染だ。 の家は結構流行のものの雑貨を置いている店だ。 大きなショッピングモールに出るまでもないくらいに、雑貨に関しての品揃えは自信ある。 「...なあ、」 「はいはい?あ、これなんてどう?最近の女子高生の間で流行ってるみたい。ホラーをちょっとかわいくデザインしたキャラクターもの。はっきり言って、わたしの趣味じゃないけど」 笑いながら返すと「あ?ああ、ホントだな。これって結構流行ってるし、人気があるくせにあまり生産してないからなかなか手に入らないってニュースになってたな」と反応する。 「じゃ、なくて。ここって、クリーニング屋だよな?」 「外の看板見てきたら?わたしたちが生まれる前からクリーニング屋だよ」 そう。の家は『クリーニング』という看板を掲げているれっきとしたクリーニング屋だ。 「で、何でこんなに雑貨が並んでんだよ。『雑貨屋』って言ったほうがよっぽどしっくり来るぜ?」 「お母さんの趣味。けど、買い付けとかそういうのもちゃんと自分でしてるから誰も文句を言わないわよ。達也だって我が家に散々お世話になってるでしょ?」 木村の歴史を知るが言うと、彼は嫌そうに顔をしかめた。 彼女の知っている木村の歴史=振られた歴史、ということになる。 いやはや。恋ってめげずにしていたら、いつかは実るものだと思うけど...達也の場合はいつになることやら。 木村に向かって言えば「余計なお世話だ」と言われかねないことを思いながらは頬杖をついて木村を見上げた。 「んで?それ、買ってくれるのかしら?」 指差したのは先ほどが木村に渡した今結構はやっているキャラクターもののタオルだ。 「いや、これは買わねぇ」 「んじゃ、何よ?」 「...クリーニング屋に衣料品もってきて何が悪い」 何だ、『お客』か... それで、大き目の紙袋を持ってきたんだな、と納得しながら受け取った。 「うわぁ、多いね」 「まあなー。冬服を仕舞うタイミングがどうにも掴めなくてさ」 会話をしながらは木村の持ってきたクリーニングに出す衣料品を確認している。 「ああ、今年の春は奇妙だったもんねー。この間もまた冬かよ!って言いたくなるような気候だったしね。わたし、アレで風引いたもん」 「馬鹿って風邪を引かないって聞いたことあるんだけど...」 木村の言葉に「うわぁ、そんな迷信を信じてるの?達也は自分が風邪を引かないからって...」とは返す。 「店番、何時までだ?」 の言葉に肩を竦めて木村はそういった。 「お母さんかお兄ちゃんが帰ってくるまで。何時だろう...どうしたの?」 「んにゃ。オレが暇だからつき合わせてやろうと思って」 「あれ?デートは??」 の言葉に木村はため息を吐く。 「それはお前が勝手にいったんだろうが...」 「ああ、そうか。この間振られたばかりだもんね」 が満面の笑みで言うと木村は眉をしかめた。 「青木のヤロー...」と低く呟く。 そんな会話をしていると兄が配達から帰ってきた。 兄に店番を押し付けては木村と共に店を後にする。 「うわ、布団干して来ればよかった」 は空を見上げてそういう。 雲ひとつない青空だ。 「あー、そうだなー。オレもそうして来りゃよかったな」 木村も空を見上げた。 カラッとした気候の中の青空は気持ちが良い。 「五月晴れだね」 「だなー。久しぶりにキャッチボールでもするか?」 木村の提案には頷き、2人は河原へと足を向けた。 |
桜風
09.5.1
ブラウザバックでお戻りください