Special Day





天気もいいし、お出掛けでもしてみますか。


ということで、ストレス発散も兼ねて買い物に出かけることにした。

久し振りの買い物ということもあって、結構買い込んでしまった。自分で買っておいてなんだけど、何でこんなに必要ない、その上、重いものまで買ったんだろう...?

しかし、ここで自分にグチっても今の状況が良くなるわけじゃないし、反省は家に帰ってすることにしよう。


デパートのエスカレーターで下りていると反対の上りエスカレーターに立っている人が、

「あれ?」

声を出す。

私も聞きなれた声だから思わず振り返るとその人も振り返っていて目が合った。

「あ、木村さん。」

ちゃん。」

そう一言ずつ発したら、もう声を掛けられるような距離ではなくなってそのまま見えなくなるまでお互いが振り返ったままだった。


木村さんも買い物に来てたんだ。

そう思いながらそのまま下りエスカレーターに乗っていると後ろから「すみません」という声が近づいてくる。

誰かが急いでいるのかもしれないから通り易いようにめいっぱい端に寄ってあげると、

「追いついた。」

という声と共に肩が掴まれる。

振り返って見上げると、

ちゃん、...買い込んだねぇ。」

と苦笑する木村さん。


次の階に着いたから少しエスカレーターの人の流れから離れる。

ちゃん、今日の用事はもう済んだの?」

「用事って言うか、適当に買い物するつもりで出てきましたから。買い物しすぎちゃいましたけどね。」

肩を竦ませてそう言うと、木村さんは「確かにね」と苦笑している。

「俺、車で来てるから送ってあげるよ。」

この荷物を独りで抱えて帰るのも億劫というか、嫌だから木村さんの厚意に甘えることにした。


家に着くと木村さんが荷物を持ってくれて私は急いで家の鍵を開ける。

木村さんに家に上がってもらって

「今お茶淹れますね。」

って言うと、

「いや、いいよ。車、外に路駐したままだし。それよりも、ちゃん。手、出して?」

そう言われたから右手を出してみると、その手に箱を乗せられる。

何だろうと思って木村さんを見上げると、

「誕生日おめでとう。開けてみて?」

さっき車の中でも全然普通だったから私の誕生日なんて知らないんだろうと思っていたのに...

嬉しくて震える手で丁寧に包みを開ける。箱を開けると、シンプルで可愛いブレスレットが入っていた。

木村さんがそれを箱の中から取り出し、私の手を取る。

ブレスレットを私の腕に嵌めてそのまま私の手の甲にキスをした。

「もう1回。誕生日おめでとう、ちゃん。」

にっこり笑った木村さんが家を出て行った後、私はふにゃ、とその場にへたり込んでしまった。




さりげなくプレゼントを渡して去っていきそうなのがキム兄さん。
頼りになる兄さんって感じですね、私には。
一番誕生日らしい夢となった気がします。


桜風
04.10.9
04.12.31掲載


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