| 「ん、アタリだー」 食べ終わったアイスの棒を眺めては呟いた。 「腹、壊しますよ。さんって見るたびにアイス食べてないですか?」 呆れたようにバイト仲間が言う。 は先ほどバイトが終了し、店でアイスを購入して休憩室にこもっていたのだ。 そこへ同じシフトに入っていたバイト仲間がやってきて声をかけてきた。 「見て見てー!」 そう言っては彼に向かってアタリと書かれた棒を掲げて見せた。 「ああ、本当ですね。行ってもう1本もらってきたらどうですか?」 律儀に当たり棒を確認して彼が言う。 「宮田くん、要る?」 「は?」 彼の顔には『面倒くさい』と書いてある。 「いや、あたしは随分と涼んだし。先ほどアイスを食べ、今現在同僚に冷ややかに接してもらって」 そう言って宮田を見上げる。 彼は溜息を吐いて 「楽しんでるくせに」 と返した。 「あはっ!何のこと??」 彼女は可笑しげに笑う。 宮田は再び溜息を吐き、 「今度、気が向いたら心温まる優しさで接してあげますよ」 そう言って「お先です」と彼は休憩室を出て行った。 「...それはそれで薄ら寒いからー」 彼が閉めたドアに向かっては呟いた。 季節は夏。 喧嘩を吹っかけているとしか思えない蝉の鳴き声を耳にしながら自転車を漕いで自宅に向かった。 結局、アイスの当たり棒は持って帰った。 昔から驚くほどくじ運は悪い。 唯一良いのは、アイスだけだった。 逆だったら良いのに、と何度も思ったがアイスはアイスで嬉しいのでまあ、オマケしてプラスマイナスゼロと考えることにしている。 もういい加減なれたので、できれば嬉しいことにしておきたいものだから。 「ただいまー」と誰も居ない部屋に向かって言いながら鞄を適当に放り投げて、冷蔵庫を開け、作り置きの麦茶をコップに注ぐ。 ぐい、と一気飲み。 「あちー」と呟いて扇風機のスイッチを入れる。 誰もが一度はするだろう、扇風機の前で「あー」と声を出すのはにとっては日課だ。 たまに出血大サービスで「我々は、宇宙人である」とセリフまで追加する。 そんな姿を見た友人達には呆れられているが、楽しいのだから仕方ない。 ばたん、と大の字に寝転んで数分後にむっくりと起き上がった。 「課題、しよっと」 ひょいと起き上がっては帰宅した際に放り投げたバッグから課題を取り出した。 折りたたみのテーブルを出してその上に課題を広げてコップに麦茶を注ぎ、半そでを肩まで捲り上げる。 「よっし!」 気合を入れてシャーペンをノートに走らせる。 ちょっと変わっていると言われることが多いが、基本、成績は良いほうなのだ。何せ、実は努力家だから。 |
桜風
11.7.23
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