| Blue2 |
| 少し遅れて待ち合わせ場所へと向かう。 するとそこには、と知らない男が一緒に居た。 知り合いって風でも無いし、寧ろあいつは迷惑そうだ。 そういえば、は色んな人に声を掛けられる。 そして、それに耳を貸しているから余計に長くなる。 が優しいってのを否定する気はない。 でも、それよりも『隙だらけ』って表現した方が正しいと思う。 本人はしっかりしてると言い張ってるけど。 確かに、しっかりしているところもある。 オトナっぽい達観した考えとかそういうのは持っているけど、結局見てられないというか、放っておけないって言うか... まあ、つまりは危なっかしいってことだな。 で、ただ今危なっかしいの真っ最中。 「」 名前を呼んだ。 振り返ったの顔は世界で一番困った顔なのではないかと思うくらい、『困った』を前面に押し出していた。 「どうしたんだよ。こいつに何か?」 「あ、いや..お兄さんが居たならいいよ」 そう言って足早に去って行った。 「何だ?」 「よくわかんないけど、変な物体を買えとか言われて...」 「あー、大変だったな」 「そうだよ!それもこれも。一郎が時間通りに来てくれなかったせいじゃん!しかも、何故か一郎がお兄ちゃんだし」 「俺のほうが大人びてるってコトだな」 「一郎のほうが、老けてるってことね!」 「...」 「...」 「帰るか?荷物貸せよ」 「うん!ありがとう」 いつものやり取り。 それが当たり前と思って過ごしている俺たち。 俺自身もそれを疑わなかったし、も疑っていたはずがない。 俺がプロボクサーになってからというもの、と会話する機会がずいぶんと減った。 俺は俺の選んだ道だから仕方ないって思うけど。 でも、は何処となく寂しそうだ。 昔は俺の都合に構うことなく色々なことに巻き込んでくれたけど。 今は俺が練習があったりで一緒に行動できずに断ると 「そっか、ごめんね。頑張ってね」 と、少し寂しそうに笑って去っていく。 昔のと違ってちょっと調子が狂う。 「俺さ、海外に行くんだ」 久しぶりに訪ねたの部屋でそう告げた。 「ガーン!」 俺の話を聞いたは開口一番こう言った。 自分の口で言うなよ... それから数分。は頭を抱えてブツブツ何かを言っていた。 「そ、そか。海外って、英語だよね。一郎って、英語の成績は何故か良かったもんね」 「何故かって...」 「そっかー。あたしたちの幼馴染伝説もここまでだね。海外に行っても、忘れないでね」 「ちょっと待て」 何かカンチガイしてるっぽい。 「今までありがとう、一郎」 「だから、待てって!」 「いいの、何も言わないで」 「いいから聞けって!」 「聞きたくない!」 「聞けって!」 耳を塞ぐの腕を掴む。 「帰ってくるから」 「はい?」 きょとんと俺を見上げるの頭には『?』がいっぱいのようだ。 「強くなって帰ってくるから」 「帰って..くる?」 「そう。そんな遠くない先に絶対に強くなって帰ってくる」 俺の言葉を聞いたは目をキョロキョロと動かして突然 「騙されたーーーー!!」 と頭を抱えた。 いや、お前が勝手に思い込んでたんだろ? 「酷いや、一郎!オトメの純情を踏み躙って!!」 誰がオトメで何が純情だ? 「ま、のホンネも聞けたことだし?」 「違うもん!!」 ムキになって抗議する。 突然俯いてポツリと 「...約束だよ?」 声を漏らす。 「ああ、必ず帰ってくる」 「違うよ。必ず、強くなって帰ってきてよ。あたしはもう、あんな一郎を見たくないよ」 泣きそうな顔でそう訴えるの表情に心が痛む。 凄く、心配掛けたんだ... 「OK。必ず、強くなって帰ってくる。約束だ」 久しぶりの指切りを交わした。 |
| 一郎さんがあっさり海外へ。 でも、思い込みの激しいヒロインってのも楽しいです♪ 個人的に、ヒロインの『ガーン!』がお気に入りです(笑) 桜風 06.9.2 |
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