Blue3





「ガーン!」

一郎による衝撃の告白だった。

いつでも手の届くところに居ると思って疑わなかった一郎が、突然海外に行くって言うなんて...

いや、違う。

突然じゃない。

最近の一郎は何かをずっと考え込んでいて、どこか遠くに行きそうだった。

きっと、このことを考えていたんだと思う。

それでも、やっぱり寂しくて、簡単には受け入れられなくて。

一郎に「さよなら」を言われるのが怖くて耳を塞いだ。

それなのに、あのおバカときたら、「帰ってくるから」と言った。

あたしを宥めるように、優しい声でそう言った。

はぁ?!つまりは、あたしの大いなるカンチガイ?!

いや。あたしは悪くない。

一郎が、凄く真剣に深刻そうに海外に行くって言うから。だから、そう思ったの。あたしは悪くない!!

「騙されたーーーー!!」

くっそー。

少しでも一郎が居なくなることを悲しんだ自分が恥かしい...

でも、スッキリした表情の一郎を見るのは本当に久しぶりで。

あたしも何だかスッキリする。

だから、約束してもらった。

必ず強くなって帰ってくるって。

そして、あたしは心に決めた。

一郎が海外に行くときは笑顔で見送って、日本に帰ってくるときには笑顔で出迎えるって。

あたしに出来るのは、そんなことくらいだから。


卒業までの短い時間もそう一緒には居られなかった。

一郎は受験しないから学校へ行く必要も無く、リハビリや練習に励んでいた。

そして、あたしは。

目標も無いままに何となく大学進学を決めて、何となく行けそうな大学への受験を控えていた。

だから、中々あって一緒に遊ぶことは出来なかった。

曲がりなりにも受験生が遊ぶものではないと言われていたのだ。

まあ、そうなんだろうけど。

そうは言っても、何だか受験生ってつまらないものだ。

高校受験はお隣と一緒に大騒ぎで勉強したから楽しかったけど...


「飛行機ってさ、見送る側の方が物悲しくなる気がするんだけど...?」

一郎が海外に行く日、あたしも空港までついて行った。

「そうか?」

「そうだよ。不公平だ...」

「ということは、は俺が居なくなると物悲しくなるんだ?」

ニヤニヤと笑いながら言う一郎。

「寝言は寝て言うように。あたしが今口にしているのは一般論だよ」

「かわいくねぇな」

「それは、褒め言葉として頂戴しておきますね〜」

「褒めてないし」

いつものテンポでいつものくだらない会話。

コレが当分お預けになるのが少し寂しいだけ。

でも、本当は少しだけ心配。

一郎が帰ってきてもこうで居られるのだろうか?

あたしの手が届かないくらい遠い存在になって帰ってきたらどうしよう。

そんなイヤな考えを追いやるように、また一郎とくだらないことを言い合う。

「じゃあ、な」

搭乗ゲートの前で一郎が振り返った。

「うん、気をつけてね」

「約束。守るから」

「うん、期待して待ってるよ」

「なるべく早く「いいからさっさと行け!!」

別れって長くなればなるほど感慨深くなるんだよ!!

「当分会えないんだぜ?」

「でも、また会えるんでしょ?なら、それでいいじゃん。お土産にも期待してるからね!!」

「そっちの方は期待しなくていいから。じゃあ、またな」

「うん、行ってらっしゃい!」

それっきり一郎は振り返らないで足を進めて行った。




見送りって物悲しくなりますよねー。
ところで、私飛行機に乗ったこと無いんですよねぇ。
怖いデスか?(笑)


桜風
06.9.9


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