Blue7





買って帰った土産はたいそう喜ばれている。

飽きることなく何度もねじを回して音を楽しんでいるの姿に一安心した。

この顔が見たくて店の前で一生懸命悩んだんだ。


さっきコンビニから帰ってきたときには、普通にコタツにうつ伏せて寝ているの姿に驚いた。

取りあえず毛布を持ってきて掛けてやったけど暑そうだったし、でもそれを剥ぐと寒そうだったし...

結局、ドテラをかけておいた。

傍で俺が行ったり来たりしているのに全然起きる気配がしない。

そういえば、昔から寝たら中々起きない性格だったよな。

寝顔には昔の面影が残って少しあどけなさがある。

懐かしく思ってそれを眺めて時間を過ごした。


「ねえ、一郎」

さっきのことを思い出していると不意に声を掛けられた。

「何だ?」

「この机の上のものは何?」

は机の上に置いている白い物体を指先でつついていた。

「ああ、バンテージだよ」

「ビンテージ?」

「バンテージ!ボクシングをするのに使うんだよ」

「ほうほう」と呟きながら今度はそれを手に取った。

上から眺めたり、下から覗いてみたり。興味津々のようだけど、別に変わったものじゃないと思うんだけどな。

「どうやって使うの?」

「ちょっと貸してみろ」

興味がなくなるまで質問攻めにされるのは分かっていたから目の前で巻いて見せてやることにした。

「へぇ!凄いね。何だか闘う拳になったね...」

「まあ、な。ボクシングをするときは必ずコレを巻くから」

「ふーん、そっか。ビンテージね。オッケ」

もう訂正する気も失せてしまい、そのまま好きに呼ばせることにした。

の呼ぶ名前が違うからって、コレがバンテージじゃなくなるわけでもないし。


少ししたら隣の家に灯りが灯った。

「おばさん、帰ってきたんじゃないのか?」

「ん?あ、そうかも。じゃあ、今日は帰るわ」

そう言って荷物を取りにリビングへ向かった。



それから日本を発つ前と変わらない時間が過ぎていった。

変わりたいような、このままでいたいような。

そんな葛藤の中、俺は相変わらずボクシングに励んでいた。


季節が巡って、夏。

いつものようにクソ暑い中ロードワークに出た。

と言っても夕方で暑さは真昼に比べれば多少引いている。

が、クソ暑いことには変わりない。

いつものコースを走っていると、チャリを立ち漕ぎをしているの後姿が見えた。

ゆっくり走っているから上手くバランスが取れないらしくふらふらして危なっかしい。

何かを探しているらしく、反対側の土手も見ていた。

「さっきから何やってるんだよ」

声をかけると驚いたのか、はバランスを崩した。

「ああー...」

俺の目の前での愛車が土手を滑って降りていった。

ホント、危なっかしいヤツだ。




一郎さんがバンテージを巻く姿を近くで拝見しとうございます!!
絶対カッコいいって!!(笑)
一郎さんは今のヒロインとの距離がとてももどかしい模様。
青いな!!(笑)


桜風
06.10.14


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