| Green2 |
| あの感動の試合から数ヶ月が経った。 その数ヶ月間、時々あの試合が私の頭をよぎっていた。 とても感動した。 でも、それ以上の感情を私は抱いてしまってたのかもしれない。 そう思うと何だかくすぐったくて、そしてあったかい気持ちになった。 今のこの季節とおんなじだなって思いながら、散歩をする。 柔らかい空気のこの季節に散歩をするのは私の毎年の楽しみだ。 土手に座って川の流れを眺めていると穏やかな気分になる。 足元のクローバーに目を遣ると、ふと見つけた。 四葉のクローバーだ。 幸運をもたらすって聞く。 こんな葉っぱが4つになっただけで幸運をもたらしてくれるなんて、と思いつつも、今まさにちょっと得した幸せ気分になっているのだからあながち間違っていないんだ、きっと。 そんな小さな幸せが嬉しくて、それを摘んで家まで帰って押し花にした。 その日から、それが私のお守りになった。 少し気分が沈んでも、それを見ただけであったかくなる。 ある日、私にボクシングを教えてくれた友人が、酔っ払って電車とホームの間に落ちてさらに、骨折までしてしまった。 正直、それを聞いたとき、格闘バカがただのバカになった...と言う感想を抱いた。 とはいえ、私に新しい世界を教えてくれたのがその彼女だ。 とりあえず、その間抜けな様を笑いに、お見舞いに行ってみることにした。 総合病院に入院してるから病院の中に花屋さんがあると思うけど、そういうところは花の種類が少ないし、鮮度も疑問だ。 そう思って近くの商店街へ行った。 たしか、花屋さんがあったはず。 時々商店街の中も散歩しているから、間違いない...はず。 たしか、この角を曲がったところに...ほーら、あった!! 誰に言うでもない、誰が見てるでもないけど、思わず小さくガッツポーズ。 少し足早にお店に向かった。 店頭には誰も居ない。 奥に居るのかなー。 「こんにちはー!」 一応、声を掛けてみて、店内を見渡す。 さすが花屋さん。たくさんの色とりどりの花があって正直どんなのがいいのか分からない。 お店の人に選んでもらおうって納得してると奥からエプロンを着けながら男の人が出てきた。 「すみません、お待たせしました」 その人を見た途端、私は思わず回れ右をしてダッシュでお店から遠ざかっていった。 お店が見えなくなって、足を止めて息を整えようと努力するも、別の意味で心臓の鼓動が早いらしく、中々止まってくれない。 いや、止まったらダメだ。落ち着け、私!! 私の記憶違いで見間違いで無かったら、お店から出てきた人は、数ヶ月前私に一生忘れられない衝撃を与えた人物だった。 そう、確か。あのボクサーは『木村達也』って言ったはず。 そして、あのお店も『木村園芸店』。間違いない。 何、この展開!!心の準備って物をさせてください... 物陰から、そろりとお店のほうを覗くとエプロンをつけた木村達也(仮名)が伸びをしていた。 でも、ちょっと印象が違うような... 花屋の木村達也さん(仮名)は、例えるなら緑。 でも、私の知っている木村達也さんはもっと、こう。格闘技をやってる人独特の空気と言うか、ちょっとギスギスしたというかー...ハングリー精神むき出しって感じだった。 例えるなら、赤に近いオレンジ。真っ赤な感じはしなかったなぁ... 昔から人の印象に色をつけてしまうのは私のクセ。 やっぱり、病院に向かう途中のどっかの花屋さんで買っていこう。 商店街の裏道へ向かう足が途中で止まった。 ずっと胸がざわざわする。 少し歩いてきた道を戻った。 一応、あの人は私に感動をくれた木村達也さんか確かめてみよう。 そして、もし、そうだったらお礼が言いたい。 あなたのお陰で私は元気です、と。 |
| お客さんがダッシュで逃げてもあんまり気にしそうにないキム兄さん。 あれー?どうしたのかなー って感じで終わりそうです。 そんな彼がステキ☆ 桜風 06.10.28 |
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