| 宮田は自分の試合が決まったら必ず教えてくれていた。だから、あたしも必ず応援に行っていた。 3年のクラス替えで宮田とは別のクラスになった。 去年の今日は早く1年経てばいいのにって思ってたけど、今は、あの無愛想な顔が教室にないと物足りない。 人付き合いが苦手みたいだけど、話し掛ければそれなりの反応は返ってきていた。少し素っ気ないけど、慣れれば気にならない。たまに見せてくる笑顔は心臓に悪いけど...。 宮田とは結構気が合ったし、いい友達だと思う。 ―――イイトモダチ、ね...。 「よ、お疲れ。」 『東日本新人王トーナメント』とかいうのに宮田は出ているらしい。 試合が終わったらいつも、あたしは宮田が出てくるのを外で待っている。そして、宮田が送ってくれる。これは既に恒例になっていた。 「宮田って本当に強いんだね。」 「まだまだだけどな。」 「しかも、ファンからの黄色い声援もまた凄い...」 うん、凄かった...。 「まあ、そうかもな。」 そんな話をしながら帰る。 いつもどおり帰っていたけど、家の近くまで帰ったとき、あたしは足を止めた。 「どうした?」 あたしにはもう、この溢れてくる感情は押さえられない。 「―――宮田。あたし、アンタのことが好きだわ。...じゃ。」 言うだけ言ってあたしは足早に家に向かう。 でも、 「ちょっと待てよ。」 宮田に腕を掴まれてしまった。 「な、何?」 顔を上げる事ができない。 「言い逃げは良くねぇんじゃねぇの?」 言葉を切って、 「...俺も、のこと、好きだぜ。ったく、俺より先に言うなよ。何かカッコ悪いじゃねぇか。」 そんなことを言われた。驚いて顔を上げようとしたら、抱きしめられた。 宮田の心臓の音がする。少し、速い。 「宮田。」 「何だよ。」 ぶっきらぼうに、でも優しい声。 「心臓、ドキドキいってるよ?」 「だろうな。...お前のも同じだろ?」 「うん、そうだね。ドキドキいってる。」 宮田の心臓の音が心地よかった。 少しして、宮田の腕が緩んだ。 「じゃ、じゃあ。また学校で。」 「ああ、また...」 少しギクシャクした会話のあと家に帰る。 今日は何も考えられそうにないからすぐに寝よう。 付き合い始めてもあたしたちはあまり変わらない。宮田は試合があるし、あたしはこう見えても受験生だ。 でも、一緒に帰るようにはなった。 「そういえば、。」 「...。」 『』って呼んだ?は、恥ずかしい...。 「な、何よ、突然名前で呼んだりして。」 「いや、折角だし名前で呼んでもいいかなと思って。嫌だったか?」 「い、嫌じゃないけど突然すぎるのよ。ちょっと待って、落ち着くから。」 深呼吸をしよう、それなら落ち着くかも。でも、あたしが必死に落ち着こうとしているのに 「早くしてくれよ。」 と楽しそうにからかってきた。中々落ち着けなかったけど、何とか落ち着いて 「で、何?」 と用件を聞いみる。『ただ呼んでみただけ』って言ったらぶん殴る。 「今度の試合も来れるのか?そろそろ受験が大変な時期になるだろ?」 何だ、そんなことか。 「何言ってるかな?行くに決まってるじゃん。次に勝ったら決勝だね。」 「ああ、あと1つだ。」 「決勝戦に何かあるの?あと2つ勝たないと優勝しないよ?」 「決勝戦で会おうって約束してる奴がいるんだ。」 「宮田って意外と律儀だよね。」 宮田って実はかなりの律義者だったりする。 「『宮田』、ね。」 溜息混じりで言われた。 「何よ。」 「...いや。あまり欲張りすぎるのも良くないだろうから、今はいいさ。」 うん。...悪いけど、もう少し待ってよ? |
何だか妙に余裕をお持ちの一郎さん。
ヒロインはいっぱいいっぱいなのにねぇ。
さぞかしヒロインは悔しいと思っていることでしょう(笑)
桜風
05.6.1
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