彼女と彼の間には―side彼― 1





春が来て学年が上がり、俺は高校二年となった。


クラス替えの発表を見て教室に行く。

去年もクラスが一緒だった奴らと話をしていた。

最近髪が伸びて前髪がウザイ。髪を掻き上げると向こうの集団から歓声が上がった。

「宮田、お前相変わらずだな。」

「ウザイだけ「はんっ。」

...今思いっきり鼻で笑ったやつがいたよな。

声の方を向くとさっきの集団の中の一人の女子がなんかムカツク顔でこっちを見ている。

「すげぇ...。宮田を鼻で笑う女、初めて見た。」

「っつうか、人を堂々と鼻で笑うやつなんて中々いないぜ?」

俺と一緒にいた奴らが好き勝手言ってやがる。...いいけどな。

でも、あいつ、ムカツク。

そうは言っても、クラスメイトになったからって関わらなくても済む奴だっているんだ。あいつもそうだろうし、来年もクラス替えがあるから今年1年の我慢だ。


しかし、そうはいかなかった。

新学期のうちに決めなければならない係。誰もが楽なものをしたいと立候補が集中するのを予想した担任が初めからくじで決めることにした。

くじを引いて見ると、体育祭実行委員。

...期間限定なのは良いけどその期間中凄く忙しいと言われている。

ウチの学校は体育祭は6月にある。俺がプロになる前に終わるから不幸中の幸いと言ったところだな。

でも、その僅かな幸いが消えていった。

相方の女子は、さっき俺を鼻で笑ったあいつ。名前はというらしい。

思いっきり向こうは嫌そうな顔をしていたが、こっちだってお前なんかと一緒なんてごめんだよ。



その日から、なるべくあのあいつとは関わらないように過ごしていた。

でも、そんなのは長くは続くはずがなく、体育祭実行委員の会合は4月からあった。

「おい、行くぞ。」

「...分かってる。」

会合があるからこいつにも声を掛けて会議室に向かう。

「あー、ウザ。」

後ろで呟きながら歩いている。

俺だってそうだよ。さらにお前と一緒っていうのでウザさ倍増だ。


さっきまでやる気を見せていなかったからこいつはいい加減な奴だと思っていたけど、そうでもなかった。

誰もが嫌がっている委員長。これが決まらないと会合どころじゃない。

担当教師は他薦でもいいとか言うけど、そんなことしようものなら恨まれかねないから皆誰かが立候補するのを待っている。俺も、そんな面倒くさいことはやりたくないし、時間もない。

そう思っていると俺の隣に座っていたこいつが、

「じゃあ、あたしがやるよ。」

と言って手を上げた。

皆は自分以外の誰かに押し付けることが出来て安心して、賛成の拍手をする。

でも、ここへ来てまたひとつ問題。

「誰か副委員長やって下さい。」

再び『誰かやれよ』というムードが高まってきた。

そんな中、誰かが

「同じクラスの委員にやってもらえば?」

って言う。

他のやつらもそれに賛成して俺の意見も無視で副委員長が決まってしまった。


その日の会合が終わって教室に帰る前に担当教師に呼び止められる。早速仕事があるらしい。

それをするために移動しようとしたら、

「ねぇ。」

と声を掛けてくる。

「何だよ。」

「アンタって外で何か習い事してるって聞いたんだけど。」

習い事...。ちょっと、いや、随分違うけど説明するのも面倒だからそういうことにしよう。

「まあ、やってるけど。」

「じゃあ、帰っていいよ。あとはあたしがやっておくから。」

「はぁ?」

何言ってんだ、こいつ。さっき言われた仕事なんて一人でするには多いだろ?!

「だって、あたしは帰宅部で習い事もなく、バイトもしてない。でも、アンタは習い事あるんでしょ?習い事って一日休むとそれを取り戻すのに大変だって聞くよ。いいよ、帰りな。アンタが副委員長になったのだって元を糺せばあたしのせいだからね。巻き込んで悪かったよ。」

そう言ってあいつは俺を置いて早足で目的地に向かった。

まあ、そう言うなら帰らせてもらおう。



それから何回か会合があったけど何故か俺は何もしなくて済んだ。体育祭の実行委員なんて結構楽なんだなって思う。




嗚呼、カンチガイしてます一郎さん。
ヒロインが頑張ってるだけなんです...
まあ、まだまだ嫌い同士でいてください(笑)


桜風
05.4.13


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