彼女と彼の間には―side彼― 3





体育祭も何とか無事に終了した。

「やっと終わったな。」

「だね。でも最後の会合が終わるまでは委員長のままなんだよね〜。」

「あと一週間じゃねぇか。もう準備する事だってないし、少しは楽になるんじゃね?」

「やることが無いなら無いで少し寂しい気もするけどね。」


そうして、体育祭実行委員の最後の会合が終わってと俺の委員長、副委員長という肩書きも無くなった。

しかし、実行委員でなくなっても俺たちは結構話をするようになっていた。

の性格は多少ガサツなところがあるが、結構サバサバしていて話をしていても気持ちがいい。



ある日、昼休憩に屋上から校舎に入って階段を下りていると声が聞こえてきた。

 「あんたさぁ。ちょっと宮田君に仲良くしてもらっているからっていい気にならないでよね。」

 「そうそう、なんか勘違いしてるんじゃないの?」

 「あんまり調子に乗ら無いことね。」

顔を覗かして下の階段を見ると、そんなことを言われていたのは俺の予想通りだった。

...迷惑かけちまってるようだ。


「あ、宮田。この間言ってた映画がさぁ...。宮田?おおーい、どこ行くのさ?」

あんなことがあったのには今までと変わらず話しかけてくる。俺が応えるとまた嫌な思いをさせるから無視をすることにした。

それから2、3日めげずには話掛けてきた。でも、応えるわけにはいかないからやっぱり無視をする。



そんなことが続いていた日の夕方。

俺はいつものようにロードワークに出ていた。

進む先に人影が見えた。

「宮田。」

俺は応えずにその前を通り過ぎる。

「おい、さっきの子知り合いじゃねぇのか?お前の名前を呼んでたぞ?」

「いいんです。」

一緒に走っている木村さんに言われたけどそう答えて走り続けた。

「こら、待て!耳が遠いのか、宮田!宮田一郎!!一郎君!一郎ちゃん!!いっちゃん!」

さすがにこんなに名前を連呼されると恥ずかしいし、ある意味近所迷惑だ。しかも変な呼び方してくるし。

「行ってこいよ。」

「...そうします。」

木村さんに促されて俺はのところまで戻る。

「何なんだよ、お前は。」

「それはこっちのセリフ。宮田、アンタ何であたしを露骨に無視してたのさ。

「...俺と仲良くしてると色々煩いんだろ?」

「へ?...もしかして、どれか聞いてたの?」

「どれかって何だよ。この前屋上から降りるときに偶然聞こえてきたんだけど、それ以外にあるのか?」

「それなりに。なるほど、それであたしを無視するっていう発想に至ったワケか。」

「まぁ、そういうことだ。じゃあな。俺のせいで迷惑掛けて悪かったな。」

そう言ってロードに戻ろうと思っていたらシャツの裾を掴まれて体が仰け反る。

「ちょっと待ちな。」

「何だよ。」

「何か勘違いしてるようだから言っておくけど、あたしは宮田を迷惑だなんて思ってないよ。宮田と仲良くしてるとああなることくらい分かってたもん。『迷惑か迷惑じゃないか』を決めるのは宮田じゃない、あたしだ。
アンタと話をするのは楽しかったし、誰かに言われたから『はい、そうですか。』って引き下がるつもりもない。あたしって結構負けず嫌いなんだよね。ここで宮田と話をするのをやめたらあの人たちに負けたことになると思わない?それは、絶対に嫌だ。
というわけで、そんなにあたしに悪いと思っているなら、こっちの方に協力してほしいな。」

「...お前って変な奴だよなぁ。」

「しみじみと言うな!...ねぇ、宮田。」

「何だ?」

「あたしずっと謝ろうと思ってたことがあるんだ。4月の始業式の日、あたし思いっきり宮田のこと鼻で笑ったでしょ?」

「ああ、あったな。アレにはかなりムカついた。」

思い出しただけでもむかっ腹が立つ。

「あたし、宮田ってもっとキザったらしい奴だと思ってたんだ。『女に騒がれて当然』って思っているんだって、そう思ってたの。あたしそういう奴ってどうも好きになれないから。でも違ってた。ちょっと馬鹿なところもあって全然普通の同級生だった。本当、勝手な思い込みで失礼なことをしたよね、ごめん。」

「馬鹿なところって何だよ。...まぁ、今は気にしてねぇよ。俺もお前のこと色々勘違いしてたところあるしな。済んだことだし、誤解も解けたって事だろ?もう気にすんなよ。」

そう言うとは少し俯いた。

「...ありがとう。実はずぅっと気になってたんだよ。良かった、やっと言えた。そういえば、宮田の習い事ってスポーツだったんだ。」

「知らないでここを張ってたのか?」

驚いた。普通張るなら家の前とかだろうけど、ロードコースを張ってたから知っているものだと思っていた。

「前に、誰かが言ってたのよ。この土手を走っている宮田らしき人を見たって。だから、とりあえずこっちに来てみたんだ。じゃあ、呼び止めてごめんね。話が出来て良かった。ありがとう。」

「ああ。俺はもう戻るけど、も気をつけて帰れよ。」



翌日、いつもと変わらず話しかけてくるに以前のように俺は応える。

色々あるみたいだけど、あいつが迷惑じゃないって言うんだ。気にしないことにした。




自分と仲良くしてると色々あるってコトを自覚している一郎さん。
自分がモテるって自覚があるんでしょうか...?
だとしたら、ちょっとイヤかも(苦笑)


桜風
05.5.9


ブラウザバックでお戻りください