| あのデビュー戦の一件から、俺は自分の試合が決まったらに教えていた。 学年が上がって、クラス替えで俺とはクラスが分かれた。 去年の今頃はクラス替えで別々になればいいと思っていたのに、今はあいつのいない教室は少し物足りなく思う。 元々、人付き合いの苦手な俺に話しかけてくる奴は少なかった。 でも、は俺が人付き合いが苦手なんて事を一切気にすることなく、俺の素っ気ない返答にも笑いながら「愛想ないな」というだけで懲りずに話しかけてきていた。 それは、何となく心地良かった。 はいい友人だと思う。 ―――友人...か? 「よ、お疲れ。」 東日本新人王トーナメントの試合もは必ず見に来ていた。 毎回試合が終わったあと俺が出てくるのを外で待っている。そして俺はそのを送って帰ることが恒例になっていた。 「宮田って本当に強いんだね。」 「まだまだだけどな。」 「しかも、ファンからの黄色い声援もまた凄い...」 「まあ、そうかもな。」 そんな話をしながら随分慣れた道を歩く。 そのままいつも通りに送っていたけど、家の近くになってが足を止めた。 「どうした?」 少し俯いて沈黙したが顔を上げる。 「―――宮田。あたし、アンタのことが好きだわ。...じゃ。」 そう言っては足早に家に向かった。 「ちょっと待てよ。」 俺は思わず追いかけての腕を掴んだ。 「な、何?」 俯いているの耳は真っ赤だった。 「言い逃げは良くねぇんじゃねぇの?」 そう言いながらも俺の心拍数が上がる。しかっりしろよ、俺。 「...俺も、のこと、好きだぜ。ったく、俺より先に言うなよ。何かカッコ悪いじゃねぇか。」 が顔を上げそうになったから抱きしめた。 今、顔を見られたくない。結構情けない顔してるはずだから...。 「宮田。」 がその姿勢のまま声を掛けてくる。 「何だよ。」 「心臓、ドキドキいってるよ?」 「だろうな。...お前のも同じだろ?」 「うん、そうだね。ドキドキいってる。」 俺の顔の熱が引いてからを離した。 「じゃ、じゃあ。また学校で。」 「ああ、また...」 なんともぎこちない別れの挨拶をして俺は自分の家に向かう。 本当、俺ってまだまだだと思う。 付き合い始めたからといって俺たちに殆ど変化はなかった。は受験があるし、俺にもボクシングがあるから。ただ、一緒に帰るようにはなった。 「そういえば、。」 「...。」 名前で呼んでみたらの顔が真っ赤に染まっていく。...おもしれぇ。 「な、何よ、突然名前で呼んだりして。」 「いや、折角だし名前で呼んでもいいかなと思って。嫌だったか?」 「い、嫌じゃないけど突然すぎるのよ。ちょっと待って、落ち着くから。」 そう言って深呼吸を始めた。 「早くしてくれよ。」 と冷やかしてみると益々顔が赤くなる。ってからかうと面白い反応するんだよな。 「で、何?」 やっと落ち着いたらしくは用件を聞いてきた。 「今度の試合も来れるのか?そろそろ受験が大変な時期になるだろ?」 「何言ってるかな?行くに決まってるじゃん。次に勝ったら決勝だね。」 「ああ、あと1つだ。」 「決勝戦に何かあるの?あと2つ勝たないと優勝しないよ?」 「決勝戦で会おうって約束してる奴がいるんだ。」 「宮田って意外と律儀だよね。」 が楽しそうに笑う。でも、 「『宮田』、ね。」 「何よ。」 「...いや。あまり欲張りすぎるのも良くないだろうから、今はいいさ。」 ま、ゆっくりでいい。時間はまだあるんだ。 |
もう既に、微妙にバカップルな2人。
私はあの試合をヒロインに見せるのが好きなのだろうか...?
桜風
05.6.9
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