| ボクシングを始めたばかりの千堂の練習メニューは基礎体力をつけるためにも毎日ロードワークが中心だった。 その日も走っていると、音楽が聞こえてきた。 音の聞こえる方を見ると、公園で一人の女の子が何か楽器を演奏している。 「はぁ、上手に吹くなぁ。」 自転車で付いて来ていた柳岡トレーナーが感嘆の声を上げた。 「柳岡はん、あれ何やの?」 「サックス。サキソフォンや。大抵ジャズに使われる楽器やな。」 「ほな、あの曲はジャズなん?」 「...いや、今流行の子供向けアニメの主題歌やな。周りに集まっとる子供らがリクエストしとるんと違うか?」 何故柳岡がそんな子供向けアニメの主題歌を知っているのかが気になったが、あえて千堂は聞かなかった。 千堂はもう一度サックスを吹いている彼女を見たあと、走ることに集中した。 柳岡の作っているトレーニングメニューのロードワークの量は半端じゃなく、周りに気を配っている余裕などない。 それが、年が明けて残り少ない冬休みの一日の出来事だった。 冬休みも終わって新学期が始まった朝、千堂は適当にクラスメイトを捉まえて冬休みの宿題をせっせと写していた。 「千堂さん、今日ウチのクラスに転校生来るんて。」 「さよけ。」 転校生よりも今は目の前の宿題。何とか目処が立ったころに丁度チャイムが鳴って、担任と女子生徒が入ってきた。制服が間に合わなかったのか、この学校の物ではない。 「席着け!お前ら、もう知っとるもんも居るやろうけど、転校生のさんや。ちょお、時期的に半端やけど皆仲良うせえよ。ほな、、自己紹介し。」 「はい。です。宜しくお願いします。」 そう言っては深々と頭を下げた。 クラスメイトから拍手が送られる。 「それやったら席は...。千堂の、隣、や、な。」 担任の顔が少し引きつっている。 つい数ヶ月前まで舎弟をぞろぞろ引き連れていた千堂は一応、教師の中ではブラックリストに入っている。『今は大人しいが、またいつ暴れるか...』というのが多くの教職員の意見だった。 勿論、そんな事情を知らないは空いている席に向かう。今日は欠席者もいないので空いている席は千堂の隣のひとつだけだった。 机の上に鞄を置いて隣の千堂と呼ばれた男子生徒に笑顔で声を掛ける。 「えっと、よろしくね。千堂君。」 「あ、ああ。まあ、宜しゅう。ワイは千堂武士や。」 千堂は驚いていた。 数日前に公園で子供たちに囲まれてサックスを演奏していた少女が目の前にいる。 (...世の中狭いなぁ。) 窓の外を眺めながら千堂はそんなことを思った。 |
先に申し上げておきます。
私はリコーダー&アルトリコーダー&ピアノしか演奏経験はありません。
(※ピアノは幼少のころ『赤バイエル』でやめました。
ピアノを習ってる人、習っていた人等が身近にいらっしゃる方はその人に聞いてみてください。
『赤バイエルでピアノをやめたらどれくらい弾けるようになってるの?』と。
きっと皆さん笑ってしまわれるでしょう)
まあ、そんな私が書いたものですので音楽に詳しい方には引っかかる箇所もあるでしょうが
どうか温かく見守ってください。
既に言い訳モードな私もどうかと思いますけどねー(苦笑)
桜風
04.12.7
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