きらきら星 2





夕方、千堂が走っているとその日もが演奏していた。

今日は柳岡もおらず、独りだから足を止めた。あとでちゃんとメニューをこなせばいいと思って公園の中へ足を向ける。


も今日は独りで居た。

「よう、。」

一曲演奏が終わった時、突然背後から声がしたから振り返ると先日からのクラスメイト、千堂武士がジャージ姿で立っている。

「千堂君。...何かスポーツでもやってるの?」

「まあ、な。まだ始めたばかりやけど、ボクシングやっとる。は、よおここでそれ吹いとるな。冬休みも見たで?」

「本当?引っ越してきたばっかりで地理を覚えようと散策してたからね。」

「それぶら下げてか?」

首から提げているサックスを指しながら千堂が聞いた。

「まぁね。家、マンションだから家の中で演奏できないの。だから演奏できるところを探していたの。丁度ここを見つけて、怒られたら他の場所に行けばいいや、って思ってたんだけど、今のところ怒られないから大丈夫かなって。本当はこれ、ケースに入れて運んだ方がいいんだけど、前に急に演奏したくなったときにまどろっこしくて結局このまま袋に入れて運んでるの。」

「それ、サックスいうんやろ?ワイ見たことなかったわ。」

「そう?まあ、ヴァイオリンやフルートよりは見ないかもね。」

「ジャズに使うんやろ?柳岡はんが言っとったわ。」

(柳岡はん?)

は少し気になったが、千堂の知り合いだろうと納得した。

「まあ、ジャズに使われることが多いけど、別に何を演奏したって良いと思わない?音楽は楽しまないと。」

「なぁ、ワイもジャズ聴いてみたいねん。何かやったって。」

は、うーんと唸りながら考えて、構えた。

軽快なリズムのそれは千堂の性に合っていたが、なんだか音色が寂しそうに感じる。

しかし、音楽に詳しくない自分の気のせいだろうと千堂は思って流した。

一曲演奏し終わったはサックスから口を離し、一礼をした。

千堂は拍手をしながら

「凄いなぁ。そういえば、ウチの学校吹奏楽部いうんがあるらしいけど入らんの?そんだけ上手いんやから入ったらええのに。」

と感心する。

「うん。私、ずっと独りで吹いてたから『皆と』っていうのはちょっと、ね。あ、私がサックスを吹くっていうのは内緒にしておいてね?」

「...ええけど。それやったら、ずっとここで吹いとるんか?」

「一応、そのつもり。」

「なら、また来たってもええ?」

「もちろん、どうぞ。ところで、千堂君。練習とか無いの?」

「あ!あかん!!すっかり話し込んでしもうたわ。ほな、な。ももう暗うなったから帰り。...送って行くか?」

「大丈夫だよ。明るいところを通って帰るから。ほらほら、早く戻らないとダメなんでしょ?」

は千堂を促した。

千堂は走りながら「気ぃ付けて帰り!」とに叫んでロードワークに戻った。


当然のことながらジムに戻った千堂は柳岡にこっぴどく叱られ、こってり絞られたという。




千堂はきっと柳岡はんには勝てません(笑)
以前もどこかで言ったかもしれませんが、私はこの師弟は好きですよvvv

桜風
04.12.16


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