きらきら星 8





千堂のボクシングの試合が決まった。

減量で苛立つ千堂をも心配する。


いつものように公園でサックスを吹いているとロードワークに出ていた千堂が声を掛けてきた。

、今度の試合のチケットや。控え室の地図も描いとったからな。試合前はアレやけど、試合が終わってから来たって?」

「ありがとう、千堂君。」

「...その『千堂君』いうのも、もう聞き飽きたなぁ。」

「で、でも。なんだか今更照れくさいよ。」

「そうやな、きっかけがあったら変え易いわな。よっしゃ!今度の試合、ワイが勝つからそれから変えたらどうや。我ながらええアイデアや。」

そう言って独りで納得した千堂はロードワークに戻っていった。

「ちょ、ちょっと?!...私、『いい』とも『嫌だ』とも返事していないんだけど。ま、いっか。」

いつもの千堂には可笑しくなった。



千堂の試合のある日いつかのように会場に向かう。

千堂は前回の試合で少し有名になったらしく会場内でもちらほら名前が聞こえていた。

は何となくそれを嬉しく思った。

今回の試合は前回ほど楽にはいかなくて千堂もかなり打たれていたが、結果としては千堂のKO勝ち。千堂の言うところの『ちょこん』で倒れた。

勝利を宣言された千堂はリングの上で拳を突きだした。勿論、に向かって。


試合が終わって少ししてからは千堂の控え室に向かう。

ノックをすると中から柳岡が顔を覗かせた。

「こんばんは、柳岡さん。」

「ああ、さんやないですか。今、千堂はシャワー浴びに行っとりますから中で待っとってください。」

「じゃあ、お邪魔します。」

柳岡に促されたはそのまま部屋の中に足を進めた。

「柳岡さん。今日千堂君たくさん叩かれましたけど、大丈夫なんですか?」

「ああ。大丈夫ですわ。結構頑丈に出来とるみたいやし。しかし、千堂もええなぁ。こんな可愛い女の子に心配されるんやから。」

「『可愛い』だなんてそんな...」

が照れていると千堂が戻ってきた。

照れて赤くなっているを見た千堂が

「柳岡はん、はワイのもんやからな。ちょっかい出さんとって。」

と言ってきた。

「「は?」」

と柳岡が間抜けな声を出し、水を飲んでいたほかのトレーナーは派手に吹き出した。

「千堂、お前何言うとるんや。...さん、ホンマにこんなんでええんですか?まだ他にもさんに似合いの男くらいおりそうなものなのになぁ。」

はただ笑うだけだった。


祝勝会の途中、やはり明日学校がある二人は追い出された。

「せやから、何で主役が居らんのに祝勝会続けるんや?全く、しょうもない大人やな。」

以前と同様に千堂はぶつぶつと文句を言っていた。

「そういえば、千堂君、体は大丈夫?今日はたくさん叩かれていたから。」

「ああ!『千堂君』言うた。約束したやろ?ほな、もう一遍。」

「...そういえば、た、武士は体大丈夫?今日はたくさん叩かれていたから。」

さっきと同じ言葉を今度は顔を赤くしながらが言った。

千堂は満足そうに目を細めて「もちろん、大丈夫や」と優しい声で答えた。

「そうや、は作曲できる言うてたな。何か作ったって。そうやな...ワイが日本一、チャンピオンになったときに欲しいわ。」

「日本一って、どれくらいでなる予定なの?」

「今度の新人王トーナメントで優勝してランキング10位から始まるやろ?それで...1、2年後くらいやな。」

「それじゃあ、すぐじゃない...」

「そうやな、すぐや。」

そんな話をしているとの家のマンションの前に着いた。

「ほな、な。」

そう言って千堂はに軽く口付けて帰って行った。

その背中を見送りながら

「ごめん...」

と呟いていた。




謎の言葉を呟くヒロイン。
まあ、恋路は平らだと楽しくないってことで...
千堂は自分の人生計画、これくらいは考えたと思います。
チャンピオンになって、日本フェザー級のトップランカーに入って...などなど。

桜風
05.1.26


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