| 卒業間近のある日、千堂とは一緒に遊びに出掛けた。 「そういえば、と会ってからまだ一年くらいしか経ってないな。」 「...ホントだね。まだそんなもんだったんだ。」 千堂にそう言われても考えて答える。 「は結局、受験組やなかったんやな。」 「そうだね。」 「いつか、『やりたい事がある』言うてたけど、出来そうなん?」 「...ん、一応、ね。」 「そうか、良かったな。」 「―――あの、武士。」 「何や?」 「...ごめん、やっぱり何でもない。」 「そうか?」 千堂はの様子が気になったことは気になったが、言いたくないことを無理に聞き出そうとも思わなかったため、深くは追求しなかった。 「ほな、な。また一緒に出掛けよな?」 「そう..だね。」 外が暗くなった頃、を送り届けて千堂は帰って行った。自分もジムがあるからあまり遅くまではいられない。 独りで帰りながら、 (何やろ、。今日は元気なかったな。) と今日一緒に出かけた彼女の様子を気にしていた。 卒業式の日がやってきた。 去年の今頃は進級が危なかった千堂も無事に卒業することが出来た。 は、「千堂が卒業できたのもお前のお陰だ」と何故か担任に非常に感謝されてしまった。 それから数日後、千堂がジムに行くと柳岡から手紙を渡される。 「何やの?」 「さんからや。」 からと聞いて千堂は首を傾げながらも封を切る。 「...何やの、どういう事や!!柳岡はん。これ、本人が持って来たんか?」 「そうや。大きな鞄持ってここまできて、『千堂君に渡してもらえませんか』って言われたんや。」 |
武士へ ごめんなさい。 本当は私自身の口から言わなければいけないことだったのですが、どうしても言えなかったから手紙という形を取らせてもらいました。 以前、私が『やりたいことがある』と言ったのを覚えていると思います。 私がやりたいと思っていたこと。 それはジャズの本場、アメリカでサックスの勉強をするために留学することです。 両親を説得することが出来て、2人も応援してくれることになったんです。 だから、私はアメリカに行きます。 身勝手なことをしているって分かっています。 でも、これだけは伝えたくて。 いつか、武士が私に笑ってろって、またゆっくりでいいから『きらきら星』を吹けるようになったら良いって言ってくれたよね。 あの時は凄く嬉しかった。ありがとう。 あの言葉を聞いて絶対に留学しようって思った。 アメリカに行ったからそれが演奏できるようになるわけじゃないけど、それでも、『頑張れる、頑張ってみよう』って思ったの 私は武士を好きになって良かった。 ありがとう。 それじゃあ、さようなら。 |
前回のヒロインの呟きはここへ繋がる。
千堂、ショックを受けたまま次回へ続く。
って言っても千堂の出番、殆ど無し(苦笑)
桜風
05.2.1
ブラウザバックでお戻りください