| バタバタとにぎやかな音がして隣の席の椅子を引く音がした。 そちらに目を向けると息が上がっているの姿がある。 宮田の視線に気づいたは「おはよう」と挨拶をし宮田も「おはよう」と返した。 結局、本日の昼食をどうするか悩んだ結果、コンビニで購入することにしたは学校に向かう途中にあるコンビニに足を運んだ。 学校の近くと言うこともあって同じ制服を着た人物が多く、そして同じことを考えていた彼らの後ろに並んでレジの順番を待っていたらコンビニを出たときには走らないと遅刻してしまうような時間になってしまった。 駆けてはみたものの、元々足が速いほうではないので朝から良い運動をしたという状況だ。 「そういえば、卵。どうだった?」 宮田が聞く。 「はは、家に帰って全滅。全部ひびが入ってたの。結局夕飯を親子丼にしたから今日も卵買わなくちゃ」 無事だったものは今朝目玉焼きを作ってなくなってしまった。 「そういえば、宮田君」 鞄の中身を机の中に仕舞い終わったが興味津々に声をかけてくる。 「何?」と返すと 「昨日の、あの人たちって何?宮田君って何か習い事?何か、熊さんみたいな人も居たでしょ?」 熊さん?ああ、鷹村さんか... そんな事を思いながら 「あの熊は同じジムの人。あと、林檎を拾った人とかも同じ」 と答えた。 「ジム...?スポーツジム?」 スポーツジム。 まあ、普通はそう思うのだろうな。 それに、ボクシングは格闘技だけど、スポーツでもある。まあ、華道とかそんな感じに大いに全く方向が違うのなら訂正をした方がいいが、当たらずとも遠からずと言ったところだから否定しないことにした。 一々話すのは面倒くさいし。 「まあ、そんなとこ」 「そっかー。宮田君ってスポーツ得意そうだもんね」 しみじみと言うに肩を竦めて 「別に、普通だろ」 と返した。 は昨日の走りっぷりから言って不得意なんだろうと思う。 「普通?普通って?握力何キロ?100m何秒?反復横飛び何回で、前屈は何センチ?」 何だかムキになってが突っかかってくる。 宮田が驚いているとは溜息を吐く。 「いいよね、運動が出来る人って...」 頬杖をついてそう言う。 「さんは、苦手そうだもんな」 宮田が返すと「言わないで」と言いながら椅子の背に体重をかけて天井を見上げる。 春の体力測定の時期は本当に地獄だと訴える。 前屈なんて、計測係になっている運動部員が「ぷっ」と噴出すくらいなのだ。 足を一生懸命動かしているつもりなのにゴールまでの距離が中々縮まらない。まったく、世の中不公平だと思う。 「そういえば、昨日は何だか慌てて帰ったみたいだけど。何か用事?」 はきょとんとしてやがて「ああ」と納得する。 「うん、弟が帰ってくる時間だったから」 「弟?」と聞き返す宮田にはうなずく。 「小学校1年生。可愛いよ。親が働いているから学童保育っていうんだっけ?それに行ってるんだけど、5時までしか見てもらえないから。弟は鍵を持っていないからね。あの子が帰ってくるまでに家にいないと締め出し状態になっちゃうの」 「鍵くらい持たせたらいいだろう?最近は少なくないと思うし」 実際、宮田は鍵っ子だった。 と言っても、ランドセルを背負いながら鴨川ジムに通っていたから殆どその鍵は使わなかったが。 「うん、でも。家に帰って『ただいま』って言っても『おかえり』がないと寂しいでしょ?」 「弟想いなんだな」 宮田が適当に返したその言葉に 「そう!家の弟メチャクチャ可愛いから!今度弟がいるときに見かけたら声掛けるよ」 とぱっと顔を輝かせて嬉しそうに返された。 何だか、調子の狂う相手だ。 宮田は肩を竦ませて「そりゃ、楽しみだな」とそれこそ適当に返した。 |
桜風
08.9.27
ブラウザバックでお戻りください