| 宮田はまず駅の南口の広場を目指した。 待ち合わせ場所としては結構メジャーだし、その分人が多いから迷子になるならまず此処だろう。 しかし、小学1年生の背丈は本当に小さくてこの人ごみの中で迷子になっていたとしてもそれを探し出すのに苦労しそうだ。 「コータ!」 名前を呼びながら周囲に視線を向けて駆ける。 何回か人にぶつかって「すみません」と一応謝罪をしてそのまままたコータの姿を探して広場を駆けた。 「すみません」と改札の駅員に声を掛ける。 「どうしましたか」と愛想よく返す駅員にコータの特徴を話す。 服装は先ほどから聞いた。 「いいえ、それくらい小さな子でしたらこちらも気に掛けると思うんですけど」 定期とか持っているなら通学で慣れているだろうと想像できるが、切符を握り締めてやってくる分には注意を払うらしい。 宮田は逡巡の後、 「あの。少ししたら高校生くらいの女の子が同じことを訪ねてくるかもしれません。コータの姉です。宮田は北口を探しに行ったと伝えてもらえませんか?」 宮田の言葉を聞いて「わかりました」と駅員が請け負い、宮田は言葉の通り北口に向かうべく、北口へと向かう連絡通路の入り口に向かって駆けていった。 「すみません」 が南口の駅員に声を掛ける。 人が多いのは南口の方だし、家からも、こちらのほうが近くて便利だ。 「どうかしましたか」 親切そうな笑顔を浮かべて駅員がの用事を聞く。 「こちらに、えーと。小学生の男の子を探して高校生くらいの男の子が来ませんでしたか?」 名前を言っても分からないだろうと思って言わずにいると 「それは、宮田さんという方ですか?」 と聞かれて大いに驚いた。 「何で知ってるんですか!?」 驚いたに駅員は苦笑を浮かべて 「コータ君を探しているお姉さんですね?」 と確認する。 「はい..はい!」 息を切らせて青い顔をして駆けてきた少女に自然と笑みがこぼれる。 「宮田さんから言伝です。北口の方を探すといってました」 「北口...」とは繰り返して振り返る。連絡通路は... 「右手の建物の地下から北口にいけますよ」 駅員に教えてもらい、礼を言っては駆け出した。 連絡通路を駆けて地上に出る。 北口から駅構内に入ると「お姉ちゃん!」と聞きなれた声がして振り返った。 宮田とその足元にコータが立っている。 「コータ!」 駆けたが宮田の足元のコータに向かって「バカ!」と叱る。 「...さん」 宮田が来るまで大泣きしていたコータは先ほどやっと落ち着き、大人しくが迎えに来るのを宮田とともに待っていた。 の姿をいち早く見つけたのはコータだ。 「お姉ちゃん!」と嬉しそうに、心底ほっとした声で彼女を呼び、そして自分の元に駆けてきたその姉に「バカ!」と叱られたコータが少し気の毒だ。 子供なのだから、と思う。 「宮田君、ごめんね。用事、あったんでしょ?」 に抱きついてワンワン泣いているコータの頭を撫でながらが宮田を見上げる。 首をめぐらせて構内の柱に掛けてある時計を見ると、今から行ってももう試合には間に合いそうにないことが分かった。 「...いいや。別にこれと言って特には」 此処で「もう終わったと思うから」とか言えばきっとこの姉弟は気にする。 別に是が非でも行かなきゃならないものじゃない。 今度彼らに会ったときに少しうるさく色々と言われるだけだ。 「そっか...」 安心したようにが呟く。 「コータ、宮田君に『ごめんなさい』と『ありがとう』言った?」 が泣き続けている弟の顔を覗きこんで言う。 「いいよ、別に」 改まって言われると何だか照れくさい。 「宮田のお兄ちゃん、ごめんなさい。それと、ありがとうございました」 深くお辞儀をしてコータが言う。 「あのさ、宮田君。もし良かったら、だけど。ウチでご飯食べてって?今日のお礼と言うかお詫びに。メチャクチャ豪華で美味しいものを作るって約束は出来ないけど...」 の提案に宮田は「は!?」と返すが、コータが宮田が家に来るとこが既に決定事項のようにはしゃいだため、宮田は項垂れて「OK」と返した。 何だか、今日は酷く疲れるな... |
桜風
08.11.8
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