| Red7 |
| カレンダーを見て千堂は溜息をついた。 まだ半月はある。 ジムで聞いた。 大学は4月からだから、4月に入ってから戻ってくる人も珍しくない、と。 は『4月までには帰る』と言ったが、それもどうなることやら。 再び項垂れて深い溜息を吐いたとき 「辛気臭いなー。客商売でそんな顔しててもいいの?」 と言う声が頭の上からした。 驚いて目の前に立っている人を見上げると、不思議そうな顔をして自分を見ているの姿があった。 「!?まだ3月の半ばやないか」 「そ。でも、帰って来ちゃった」 「ほ、ほうか。まあ、上がって茶ぁでも飲んでけ」 バタバタしていた千堂に気が付いた祖母が奥から出てきての姿を見ると優しく微笑んだ。 「はん。お帰り」 「ただいま、おばあちゃん」 家の中に上がるについて千堂も家に入ろうとしたら 「武士は今店番やろ!」 と祖母に窘められてしょぼんとしながら店番の定位置に座りなおした。 「ちょっとくらいええやないか。婆ちゃんの意地悪」 小さな子供のようにそう呟いた。 少しして、盆にお茶と東京のお土産の菓子を載せてが店までやってきた。 「はい、どうぞ。熱いから気をつけてね」 と言いながら千堂にお茶を渡す。 「おおきに」 それを受け取って千堂は一口飲んだ。 「おとんとは、どうやった?」 「いやいや。それが中々のいいおじさんでさ」 「...今まで気づかんかったんか?」 「見たくなかったのよ。あ、笑顔が少しだけ千堂くんに似てたよ」 「ほな、少しだけジェントルマンのええ男っちゅうわけやな?」 は半眼になって千堂を見た。自分で言うな... 「帰って、良かったな」 「うん。ありがとう」 (な、何や。ええ雰囲気やないんか?) 千堂がそんなことを思っていたのに 「あ、姉ちゃーん!僕ら寂しかったんやで?」 子供たちが店やってきた。 「みんなー!久しぶりね。お土産のお菓子あるよ。ちょっと待ってね」 そう言ってが奥に入っていったとき子供たちが『ニヤリ』と笑った。 「わざとか?」 低く千堂が問う。 「何のこと?」 子供たちは各々口笛を吹いたり目を逸らしたりして誤魔化すが 「わざとやな。ええ度胸やな...」 千堂に凄まれ、怯えていた。 「こら、千堂くん。子供たちをいじめてはいけません!みんな千堂くんのファンなんでしょ?」 と戻ってきたに窘められ、千堂はそっぽを向いた。 面白くない。 子供たちにお菓子を配りながら千堂を盗み見ていたはそんな千堂の様子に苦笑した。 子供みたいだ。 「武士、今日の店番はもおええわ」 祖母にそう言われた。 「ほな、。買出し行こか?冷蔵庫の中空っぽにしてったんやろ?」 「あ、うん。ありがとう」 「はよ行こ」 そう言ってどさくさにまぎれて千堂はの手を引く。 子供たちが回りでウロチョロしているが、そんなことはお構いなし。 少し赤くなっての手を引く千堂と、千堂に手を引かれ少し赤くなったの姿に子供たちは溜息を吐いた。 邪魔も何も、出来るはずが無いじゃないか。 「じゃあ、僕らは遊びに行くわ。姉ちゃん、お土産おおきに!また遊んでな!」 子供たちが去っていったのを見て、千堂は呆気に取られた。 思いっきり邪魔されると思っていたのに... しかし、邪魔者が居ないのはいいことだと機嫌を良くした千堂はそのままの手を引いて商店街を回った。 買い物から帰ってきた孫を見た祖母も溜息を吐いた。 「嬉しそうにはしゃいで。はん疲れさせとったかもしれんやろ?」 そういうと千堂はしゅんとなり、そのまま肩を落としたままジムへと向かっていった。 そんな孫の後姿を見た祖母は (体は大きいなっても、まだまだ子供やなぁ) と再び溜息を吐いた。 |
しょんぼり千堂、お気に入りです。 思ったよりも早く帰ってきたヒロイン。 嬉しくて仕方ない千堂。 それを見て呆れるお祖母ちゃん。 傍から見ても楽しそうだなぁ... 桜風 06.7.8 |
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