Red8





「出来たぁ!」

1人部屋の中でバンザイをしたのは

時計を見て驚く。

慌ててカーテンを開けて窓の外を見るとまだ向かいは電気が点いている。

自分で作った作品を丁寧に畳み袋に入れて向かいの窓をつついた。

「どうしたんや?」

窓を開けて答えるのは千堂。

「今、時間大丈夫?」

「まあ、そろそろ寝ようとは思っとったけど。大丈夫や。また何かあったんか?」

「ううん。散歩行こう?」

今寝るところだと言ったのにそれでも散歩に行こうと誘うを怪訝に思いながらも千堂は了承し、

「ほな、下で待っとくな」

と言って窓を閉めた。

も慌てて支度をして下に降りた。

「何処に行きたいんや?」

「えーと...」

しまった。考えていなかった。

一生懸命考えれば考えるほど何も思い浮かばない。

そんなわたわたしているを見て、千堂は苦笑し

「ほな、取り敢えず足動かそうか?」

そう言って歩き始めた。

慌ててもそれに続く。


無言のままてくてく歩いていくと公園が見えた。

「公園だ」

「そうやな。昼間よおけガキンチョが遊んどるわな」

「行ってみよう?」

「ええで」

と言うわけで、2人は公園へと向かった。

昼間は子供たちの歓声が響く公園だが、今は静まり返っている。

「静かだね。夜の公園って寂しいね...」

「そうやな。主がおらんからなー」

2人で外灯の下のベンチに腰掛けて話をしていると突然ピピッという電子音が鳴る。

「何や?」

嬉しそうには至近距離の千堂を見上げた。

「誕生日おめでとう、千堂くん!」

そう言って勢い良く自分が持ち歩いていた袋を差し出す。

「お、おおきに...」

の勢いに押されて千堂は呆気に取られながらもその袋を受け取った。

「見てもええか?」

「うん!あ、いや、やっぱり家に帰ってから...」

勢い良く返事したかと思うとすぐに語尾が小さくなっていった。

「マフラー、と手袋。赤やなぁ」

隣では「ああ〜...」と言いながら頭を抱えていた。

やはり季節を先取り過ぎている。

後1年我慢してクリスマスにプレゼントすれば良かったと本気で後悔しているの目の前で千堂はマフラーを巻いて手袋を嵌めた。

「あの、暑くないの?」

「いーや。あったかい」

そう言いながら微笑む千堂には赤くなった。

「ホントはクリスマスに間に合わせたかったんだけど。ダメで...ほら、千堂くんって減量があるじゃない?あったかくして汗をかかないといけないって聞いたから」

の言葉に千堂は驚き、そしてさっき以上に優しい表情をした。

「おおきに。ほんまに、あったかいな。みたいやな」

「え?」

は、人の心をあったかくしてくれるんや。一緒におるだけで、こう、気持ちまであったかくなる。ワイは、のそういうトコロ、好きや」

「わ、私も!千堂くんの笑顔好きよ。とても優しい気持ちになるし安心するもん!」

ベンチから立ち上がっては千堂にそう言った。

そして、言い終わってはっとしたかと思うと今度は大人しく座って俯いている。

(何やら勢いで告白してしまった...もっと、こう。オトナな感じで愛をさぁ)

そう思ったは、打ちひしがれて沈んでいた。

「おおきに。なあ、

千堂に名前を呼ばれて顔を上げる。

「就職活動がどうこうって言うとったよな?ほんまは、にはこのまま大阪におってほしい。せやけどの人生や。ワイがわがまま言うてもしゃーない」

「うん...」

「せやから、の好きなところに行けばええと思っとる。でも、何処におってもいつかワイはを迎えに行く。今のワイやったら全然ダメや。自分がイヤなんや。でも、ワイ自身がええと思ったときには、を迎えに行きたいって思っとる。ええん..かな?」

は目に涙を浮かべてただ頷き続けた。

千堂は力強く、そして優しくを抱きしめ、

「おおきに」

震える声でそう言った。





誕生日から連載を続けてきましたけど、完結することが出来ました。
ありがとうございました。
去年作った作品を元にしての連載なので何となくストーリーが出来上がってたのですが、
短編だとあまり設定を作っていなかったので、新たな設定で物語を作っていくのが楽しかったです。

最後まで読んでくださってありがとうございました。


桜風
06.7.22


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