今でもその時のことは忘れない。 それは電が落ちたようで、百年に一度の恋がはじまったと思った。 でも、それは... あたしには木村達也っていう幼馴染がいて、そして、いつからか知らないけど、親友と揃ってボクシングを始めてた。 その少し前まで色々『やんちゃ』というか、まあ『ハンパ』をしていたからたぶん今回もそれで終わるだろうって、実はそう思ってた。 でも、今回のボクシングってヤツは辞められないらしい。 あたしは話を聞いてもよく分からないけど、楽しそうに話す達也のその姿を見てると、なんと言うか、話はよく分からないんだけど、でも、あたしまで楽しくなるのは事実。 おじさんやおばさんも、そんな楽しそうにボクシングの話をする達也の姿が嬉しいのか、よく目を細めて見ている。 本人にバレたらウルサイだろうけど。 そんなある日。 試合を見に来るように言われて見に行くことにした。あたし自身暇だったし、実は少しだけ興味があった。あれだけ達也が夢中になれるものだもん。やっぱり気になるでしょ? そしてその試合の日。 本当はおじさんたちも一緒に行く予定だったけどどうしても外せない用事が出来ちゃったからあたし独りでの観戦になった。 初めての生の試合観戦が独りって言うのもなんだか不安だったけど、約束をしたからには行かないわけにはいかない。 そう思ってホールへ行って着いてみると、人が溢れてて圧倒される。 実はあたしは人ごみが苦手で、あんまりそういう中にいると酔ってしまう。 だから、本当は帰ってしまいたいんだけど、でも、やっぱり達也が楽しそうに話すボクシングっていうのも気になるし、せめて達也の試合だけでも見ておきたい。 何とか我慢しながら達也の試合が始まるのを待つ。 達也の試合は結構初めの方にある。 試合が始まればこの気分が悪いのも忘れるかなと思ったけど、でも、もうすっかり酔ってしまったらしく、嫌な汗が出るし、手も震えて吐き気すら覚えていた。 それでも意地で達也の試合を見届けた。...負けたけど。 試合が終わって何とか立ち上がり、出口に向かう。 壁に体重を掛けながら歩いていると躓いてこける。 「...大丈夫ですか?」 こけると思ったけど、地面に倒れる前に誰かに支えられて何とか助かった。 「ありがとうござ...っ」 お礼を言いながら顔を上げてその人を見ると、あたしの中で雷が落ちた。 さっきまであたしを支配していた不快感も、絶えることなく聞こえていた周りの喧騒も全てが無くなった。 ただ、あたしの心臓の音がうるさく頭に響いて、そして、その人から目を逸らすことができなくなっていた... |
やっちゃいました...お題で連載。
とりあえず、タイトルを見てくだされば分かると思いますが、全10話。
でも、1話1話の話は短いです。
桜風
04.5.22
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