世界には色が溢れていて、彼がいると更に世界が輝いているようであたしはその世界が好きだった。

その、世界の色がなくなるなんて夢にも思わなかった。

色がなくなった世界、それは...







告白






あの運命の日からあたしは学校帰りにコンビニに通うようになっていた。

勿論毎日じゃないし、宮田くんがいないときもあったけど、ドキドキしながら帰るのが楽しくて仕方なかった。



そして、あたしは決心する。

その日の放課後も宮田くんのバイト先に向かう。いつもとは違うドキドキを抱えながら。

ポケットには赤い石の飾りがついているブレスレットを忍ばせている。

お店を覗くと、都合のいい事に宮田くんは独りだった。

深呼吸をしてお店に足を踏み入れると

「いらっしゃいませ。あ、さん。」

「こんにちは。」

いつものようにお菓子を籠に入れてレジに向かう。

落ち着けー、あたし。

「お願いします。」

「...またこんな菓子ばっかり。体壊しますよ?」

そう言いながら宮田くんは仕事をこなしていた。

「うん...。あの、ね。宮田くんは今度の土曜日、暇?」

心拍数が上がって声が震えながら聞くと、

「土曜ですか?ええ、まあ。暇ですけど。何か?」

「うん。えっと、植物園に行かない?もし良かったら、でいいんだけど。今、何か面白い展示やってるんだって。どうかな?」

「植物園ですか?...木村さんは?」

「毎日花を見てる人を誘う気にはならなかったんだけど。...やっぱ宮田くん嫌だよね、うん。ごめんね、突然。」

なんだか居た堪れなくて急いで買い物袋を手にすると、

「別にいいですよ。さっきも言った通り、暇ですし。時間とかどうします?」


なんと宮田くんがOKしてくれた!!


あたしが慌てて時間と場所を指定すると

「分かりました。それじゃあ、また土曜に。」

宮田くんが微笑んでそう言う。

夢みたいで、でも、これが夢だったら嫌だなって思いながら家に帰った。



約束の土曜日。

あたしは早めに家を出た。

「おう、。どうしたんだよ、めかし込んで?」

木村園芸の前を通ったら手伝いをしていた達也に声を掛けられる。

「えへへ。」

嬉しくて、照れくさくて曖昧に笑うと、

「まあ、精々振られないようにな。そういえば、夕方から天気が崩れるんだと。濡れないようにしろよ。」

なんて言われた。

嫌ぁーな言葉を流して

「じゃあ、いってきます。」

挨拶をして駅に向かう。


植物園の特別展示は楽しかった。

今のあたしの世界には色が溢れてる。きらきらと輝いていて、とてもきれいな世界。

それはきっと宮田くんがいるから。

空がどんより曇っていてもそれでも世界は輝いてる。


帰る途中公園を横切ることにした。なんとなく、宮田くんと公園を歩きたかったから。

そして、あたしは

「宮田くん。」

腕につけている赤い石の飾りがついたブレスレットに触れながら、声を掛ける。

「何ですか?」

そう言って宮田くんがあたしを見た。

「あたし、宮田くんが好き...」

心臓が早鐘のように鳴ってうるさいけど、想いを言葉にする。

でも、宮田くんは

「すみません。」

と言った。

あたしはその言葉の意味が分かりたくなくて、考えたくなくて、ただ、宮田くんを見上げていた。

「俺は、さんの気持ちに応えることは出来ません。今も、そして、これからも。...それじゃあ。」

すぐ目の前にいるのに宮田くんの声はどこか遠くて、そしてあたしは必死に言葉を探していた。

何を言えばいいか分からない。どうしたらいいのかも分からない。

宮田くんはあたしに背を向けて、すたすた歩いていく。

追いかけたいけど足が動いてくれずにあたしは呆然と宮田くんの背中を見ていた。

―――世界から色がなくなっていく。


ポツポツと冷たいものが落ちてきた。それはすぐに土砂降りに変わる。

そして、その中であたしは泣いた。自分の泣き声が分からないほどの大雨の中、ただ泣くことしかできなかった。

声を上げて泣く以外に今のあたしに出来ることはなかった。


色のなくなった世界は冷たくて、痛かった...




宮田(と私)を怒らないでやってください...
彼なりに色々考えたんです。


桜風
04.5.26


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