| ふらりとが入った店舗はメンズの小物を多く扱っているようだった。 え、何...? 宮田は少し嫌な予感がしつつもに続いて店内に入る。 「ねえ、チロちゃん。チロちゃんはこれの中で好きなものある?」 「これって、男物だよ?」 そういう宮田に「そだね」とは軽く返した。 ということは、がプレゼントをしようと思っている『友達』というのは男と言うことで。それは果たして本当に『友達』なのか...? グルグルと考えていると「帰っておいで〜」とに声を掛けられて溜息を吐いた。 「あー、えーと。この中?」 「そう。チロちゃんの好みのものってある??」 「俺は..あまり好きじゃないかな。もっとシンプルなのが良い」 取り敢えず、目の前のはちょっと派手で自分の好みとは違う。 どうでもいいけど、自分の好みがのプレゼント相手の好みと合うとは限らないと思う。 でも、それを言うのはちょっと癪だから黙っておくことにした。 それから数件メンズショップに足を運んでは宮田の好みを聞くということを繰り返した。 「てかさ。何で俺に聞くの?」 少しイライラしながら聞いた。 はきょとんとして 「だって。とても参考になりそうなんだもん」 と返す。 宮田は肩を竦め、ふと目に入った小物をに視線が定まる。 キーケースだが、は小物と言っても何を探しているのかが分からない。 「これは?」 取り敢えず聞いてみた。 大学生なら車とか、鍵とか。取り敢えずそういうの持ってるだろうし、いずれ近いうちに持つだろう。それに、使うまで箱に入っていてもそんなに場所をとらない。 「キーケース。あー、なるほど。いいかも。じゃ、これにする」 「即決?!」 流石に驚く。 「...?うん。これが素敵って思ったんでしょう?ショッピングに於いては直感を大事にしないと!」 そう言ってレジに向かって行った。 直感って言っても... 唖然としながらの背中を見送り、戻ってきた彼女は満面の笑みだった。 「まずひとつクリア!」 「『まずひとつ』?!」 「うん。言わなかったっけ?もう1個。今度はチロちゃんが大変だよー。レディスのショップ回るからね」 あー、うん。ちょっと大変かも... そう思いながらの後を歩く。 何だってそんな歩きにくそうなものを履いていてこんなに軽やかに歩けるんだろう... 不思議で仕方がない。 「きゃあ!」 そんな事を思っていたらがバランスを崩した。 慌てて手を伸ばして彼女の体を支えた。 足元を見てみたらヒールが折れている。 は「ありゃー」と呟いていてそんなに衝撃を受けた様子はないが、このまま歩くことは難しいそうだ。 周囲を見ればベンチが空いている。 「ちょっと、大人しくして」と声を掛けてを抱え上げた。 「ええ!?」と声を上げるに対して宮田はそのまま視界に入っているベンチへと足を向けていた。 を座らせ、サンダルを脱がせて足首を確認する。 「チロちゃん?!」と声を上げるだが、宮田は足首を捻っていないかが気になって彼女の抗議は黙殺していたが、どうやら足を捻った様子はなく、息を吐く。 「ちょっとそれ貸して」 が持っているこのショッピングモールの案内リーフレットを受け取り地図を確認し、修理を請け負っていそうな店を探した。 「ちょっと行って来るから。知らない人が飴をくれるっていっても着いて行ったらダメだからね」 そう言って宮田が立ち上がる。 「アイス買ってくれるって言ったらついていくかも」 拗ねたようにが言うと 「じゃあ、それは俺が買ってあげるから。大人しく待ってて」 と言って宮田はその場を去って行った。 ひょいと持ち上げられた。本当に軽くひょいと持ち上げられた。 自分より背が高くなって、自分を軽く持ち上げて。 宮田は時々全然知らない顔をする。 それを見ると何だか寂しく感じてしまう。 「チロちゃんのバカ...」 呟くと特に強く感じてしまった。 ふと影が落ちてきた。 顔を上げると宮田が立っている。 「ストロベリーにしたけど、良かった?」 言ったとおりアイスを買ってきてくれたようだ。 「チロちゃんのは?」 受け取りながらが言う。 「ああ、俺は要らないから」 そう言って宮田はの隣に腰を下ろす。 「サンダルは30分くらいで直るって。取り敢えずここで30分潰そう」 宮田の言葉には無言で頷いた。 |
桜風
09.2.14
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