| 勿忘草 4 |
| ある日、木村の母が商店街の福引で『ペアで温泉旅行(2泊3日)』を当てた。 それはいいのだが、 「本当に2人揃って行くのかよ。」 木村は少し不機嫌に言う。 「だって、折角だろ?ちゃんもいいって言ってくれてるし。」 「店は?」 「大丈夫。お手伝いしてたからお花の名前とか覚えてるし、花束の作り方も教えてもらえたから。もう内定取り付けてるから就職活動しなくてもいいし。」 が言ってきた。 (がいいって言うなら、まあ、いいけど...) そう思って木村は何も言わなくなった。 木村の両親が出発した日。 夕飯のあと、木村がニュースを見ていたら今晩は雪混じりの雨になると言っている。 「、今日はあったかくして寝ろよ。雪が降るんだって。」 台所で夕飯の片付けをしているに声を掛けた。 「そうなの?分かったありがとう。」 そのまま少し居間で時間を過ごしたあと、2人はそれぞれの部屋に戻って行った。 木村が自室でコーヒーを飲みながら雑誌を読んでいると部屋のドアをノックする音が聞こえた。 「どうした?」 ベッドを背もたれにして床に座ったまま木村はドアに向かって声を出す。 「ちょっといい?」 そう言ってがドアを開けてきた。何故か自分の枕を抱きしめている。 「どうしたんだよ、まだ寝てなかったのか?」 「うん...あの、ね?一緒に寝ていい?」 このの問題ある発言にコーヒーを口に含んでいた木村が吹き出す。 「ちょ、ちょっと待て。何だって?」 自分の聞き間違いだろうと思いながら一応聞き返す。 「だから、今日この部屋に泊めて?」 やっぱりさっき自分が聞いた問題ある発言は聞き間違いではなかったようだ。 しかし、 (これは、深読みしてもいいのか?) 木村は従姉の考えが分からず色々と想像に耽っていた。 「やっぱ、迷惑だよね。ごめっ...」 が謝罪の言葉を口にしている時、外が光った。 「雷か...?」 外を見ながら木村は呟いた。 そのあと、中々大きな音で雷が鳴る。 「雪で雷って珍しいよな...?」 窓の外を見ていたが振り返ってに話しかけて少し驚く。は耳を押さえて体を丸く屈めていた。 「?」 不審に思った木村は近づいて顔を覗いてみる。 ぎゅっと目を瞑っているの目尻に涙が浮かんでいる。 「もしかして雷にが「きゃあ!」 言い終わらないうちに再び空が光った。は目の前で膝をついている木村に抱きつく。 (これでか...) 先ほどのの発言の意図が分かった木村はほっとしたような、残念だったような複雑な気分になった。 しかし、こんな状態のを追い出すわけにもいかず、だからといって自分のベッドで一緒にというのは絶対に避けたい。 「...。部屋の布団運べるか?ここのベッドだと2人ってのは狭いから居間に布団並べてなら、一緒でいいぜ?」 涙を浮かべたままが顔を上げて木村を見る。 「本当?」 「ああ..本、当。」 目が合うが、木村はそれを逸らして答えた。 「じゃあ、頑張る。」 そう言っては階段を下りた。 独りその場で動かない木村は (俺、とんでもない事言ったんじゃないか?ここは、心を鬼にして独りで寝ろって言った方が良かったんじゃないか?) と只管後悔していた。 しかし今更撤回するわけにもいかず、ヨロヨロと立ち上がり自分の布団を運ぶ。 (頑張れ、俺。) 重い足取りで階段を下りるとは既に布団を持ってきていた。 から少し離れたところに木村は自分も布団を敷く。 「少し遠くない?」 「これくらいが丁度いいんだよ。ほら、もう大丈夫だろ。寝ろ。」 そう言って木村は布団に入る。 「じゃあ、電気消すよ?」 「小さいのは点けといてくれ。夜中歩いたときに、踏むかもしれないからな。」 「はーい。」と返事をしてが電気を消し、布団に潜る。 すぐに寝息が聞こえてきた。 (これってやっぱ、意識されてないってことだよな。意識してるのは俺だけかよ。) の寝息を聞いて木村はそう思った。 さっきまで緊張なるものをしていて眠れそうになかったが、そう考えるとなんだか眠たくなってきた。木村もそれから時間を置かずに規則正しい寝息をたて始める。 (やっぱ、眠れないなぁ。どうしたら良いんだろ。雷が怖くて思わず達也に頼んだけど、まさかOKしてくれるなんて思ってなかったからな。やっぱり私は達也にとって幼馴染の従姉っていうだけなんだろうな。) は寝返りを打ってこっそり木村を盗み見る。 昔の面影は殆どない。 体はがっちりしているし、声も低い。話し方も少しぶっきらぼうになっていた。 でも、変わらなかったところだってある。 自分の名前を呼ぶときの優しい声と、一緒に居るときの安心感。 それが変わってなかったことが一番嬉しかった。 「きっと、もう忘れてるよね...」 幼い頃に交わした約束を思ってはそう呟いた。 |
キム兄さん、妄想力想像力が豊かだろうと思います(笑)
勝手に想像して勝手に落胆するの。
それでこそ、キム兄さん☆
桜風
05.3.21
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