| 「そういえば、さんって今日が誕生日らしいですよ?」 突然、一歩のそんな声に鷹村&木村の練習の手が止まる。 は一歩のクラスメイトで鴨川ジムで週3回バイトに来ている。 そして、今日もバイトの日ではあるのだが、委員会があるとかで一歩より来るのが遅くなっているのだ。 「へぇー、めでたいなぁ」 一歩の話に傍にいた青木がのんびりとそう言った。 「おい一歩!」 「今の話、本当か?!」 突進せんばかりの2人に詰め寄られて一歩は怯みながら 「え、ええ...」 肯定する。 「何で前以て言わないんだよ!!」 鷹村にプロレス技を掛けられ、一歩は必死にギブアップを主張し、その横で、木村が真面目な顔で何やら考え込んでいる。 第三者の立場にある青木は一人楽しそうにニヤニヤ笑っていた。 「こんにちはー!!」 元気な声と共にがジムにやって来た。 委員会は終わったらしい。 「よお、ちゃん。今日は誕生日だったんだってな。一歩から聞いたぜ?今度ウチの店にメシ食いにおいで。お祝いに奢るからさ」 早速抜け駆けで青木がの誕生日を祝う。 その後ろで殺気立つ鷹村&木村。その傍で小動物のように怯える一歩。 何やらいつもと雰囲気が違う気がしては首を傾げながら 「どうしたんですか、皆さん?」 と声を掛ける。 「いや、何でもないよ?」 「そうだぜ、なあ、一歩?」 「は、はい...」 明らかに1名ほど何でもありそうな人物があるが、それは良くある風景のひとつということで。 そんな風にしてると鷹村がの肩を抱き、そのまま外へと向かう。 「ちょっとタンマ。鷹村さん、ちゃんを連れてどこへ行く気ですか?!」 嫌な予感がした木村が鷹村に声を掛けると 「ああ?の誕生日を祝いに出るんだよ。悪いか!」 悪いに決まってるだろ!とジムの中にいる多くの人が心の中でそう突っ込みをいれ、木村は 「悪いに決まってるじゃないっスか!」 堂々とストップをかけた。 「鷹村さん、ちゃんを何処に連れて行くつもりですか!?」 「そりゃ、祝うって言ったら酒だろ!そのあとは、まあ、想像しろ!!」 そんなことも分からないのか、という感じに鷹村が胸を張って言うが、 「ちゃんは高校生。つまり未成年。で、未成年に酒を飲ましちゃいけないってコトくらい常識でしょうが!!というか、その肩の手を離してください」 と正論で木村が反撃。 両者一歩も引かない上に、思いっきりジムの空気が重い。 そんな2人の様子を青木がニヤニヤと、一歩がオロオロと見守ってる中、 「あの〜」 気まずそうにが声を掛ける。 「おう、どうした?」 「なんだい、ちゃん」 お互いを睨みあってたときとは全く違う優しい眼で2人が振り返る。 上目遣いでが 「非常に言いにくいことなんですけど...私の誕生日、明日なんですよ」 とひと言。 少しの間、時が止まったかのような間があり、皆は耳を塞いだ。 「「一歩ォーーーー!!!」」 鷹村と木村が同時に一歩の方へ目を向け、叫ぶと同時に一歩目がけて走り出す。 2人に追いかけられる一歩は必死に逃げ惑い、それを苦笑しながらが眺めている。 そんなの様子を目にした2人は少しだけ安心する。 とにかく、まだあと1日ある。 明日こその生まれた日を祝い、彼女のとびっきりの笑顔を自分に向けて欲しい。 それぞれがを喜ばせるものを思い浮かべながら、取り敢えずは一歩を追いかけていた。 |