Happy christmas!





料理良し。

シャンパン良し!

ケーキ良し!!


家の中には、私独り...



今年もやって来たこのイベント。

正直、何で私はこんなもんを用意しているのだろう?

ただの見栄のためだけじゃないのだろうか?

寧ろ、こういう日だからこそ、筑前煮とかそういう『和』を目指したほうがいいのではないだろうか?

毎年のことながら私はそういう葛藤を胸に、結局チキンを用意して、ホールケーキも予約して、更にはシャンパンを購入している。

正直、自分が可愛そうに思えてくる。


はぁ、と溜息を吐きながら炬燵に足を突っ込んで手を合わせて「いただきます」と呟き、チキンに手を伸ばした。

香ばしく揚がったチキンのいい香りが口の中に広がる。

くそう、美味い...

ピンポンと来客を告げるインターホンが部屋に響いた。

今日、ウチに来る人なんて誰もいない。

友人たちも口を揃えて「イブは彼とデートなの」とか抜かす。


何だ、誰だ??

折角の食事時に何の用だ?

そう思ってドア窓から外を覗けば見知った人が立っている。

鍵を開けると向こうが勝手にドアノブを回してドアを開けた。

「邪魔するでー」


と言って私の脇をするりと抜けて部屋の中に向かって行った。

私は慌ててその後ろを追う。

「何、どうしたの?」

彼は「さむー」と言いながら炬燵に入る。

「だから、どうしたの。こんな時間に」

そんなに遅くはないけど、この時間に彼が来るのは珍しい。

「んー、どうせが寂しい思いをしとるやろうって思ってな」

そう言って彼、千堂武士はニッと笑う。

「余計なお世話よ。ってか、今私の彼氏が此処にいたらどうするつもりだったの?!」

何も言わずに「邪魔するでー」って入ってきた。

彼氏がいたらそれこそ修羅場になってたのではないのか?!

「ちゃんと靴見て確かめたわ。案の定、のんしかなかったから入ったんや」

くそう、今度は男物の靴を用意して玄関に置いておいてやる!


「てか、武士こそ良いの?」

「あ?」

「うちに来ても良いの?アンタ、彼女居たでしょ?」

夏の終わりに可愛い女の子と歩いていたと思ったんだけどな。

「あー..先月別れた」

あっさりそう言う。私も何だか呆れてしまう。

「は?...いつも思うけど、あんまり続かないよね」

「しゃーないやろ。ワイのことはええやないか」

そう言ってゴロリと寝転ぶ。

まあ、良いけど。

「何か食べる?」

聞いた瞬間、はっとした。

「武士、試合組まれてたよね。近くなかった?」

「まあ、近い、方かな?」

武士の言葉を聞いて私は慌てて炬燵の上に並べているあれやこれやを片付け始めた。

けど、

「あーあー、気にせんでええわ。ええから、は思う存分悲しくも寂しいクリスマスの晩餐を楽しめや」

と面倒くさそうに手を振りながら結構ひどいことを言う。

「結構酷いことを言うね、武士」

「ええやろ。どーせ、が寂しい思いをしとる思って来たんや。そのとおりやったし、が見栄を張ってこういうの買うとるってのもわかって来たんやし。ええから、食え」

もの凄くひどいことを言われているけど、でも、ちゃんと優しい、思いやりを持っているつもりで来たようだから...

「ちょっとくらい食べる?」

そうは言っても私だけモリモリ食べることは出来ない。一応、こう見えてお気遣い人間なんだ。

武士は「んー...」と言いながら体を起こす。

「せやなー...」と言いながらケーキに目を遣る。

「上に乗ってる苺だけ全部って言ってもあげないからね」

先手を打つと

「何でバレたんや?」

と笑いながら武士が言う。

「まあ、短くない付き合いだからね」

私も笑いながら答えた。

「せやな。んー、『今』っていうよりは試合が終わったら飯、付きあってくれや」

「おっけー。勝ったらご馳走しましょう」

そう返事をすると

「覚悟しといたほうがええで?呆れるくらい食うからな」

武士は楽しそうに笑ってまたゴロンと寝転ぶ。

そして、「メリークリスマス、やなー」と呟いていた。

「だね。メリークリスマス」

その呟きに私も同じ言葉を返した。









桜風
07.12.20
08.1.14(再掲)


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