彼がピンク☆を選んだワケ
そろそろ俺はプロ試験が受けられる条件を満たす。
そんなある日、練習から帰ってから父さんが聞いてきた。
「一郎、試合のトランクスの色は何色がいいんだ?」
「あー、そうだな。あぉ「ピンク!」
俺の答えに重なった声の主を見る。
「。今日は部活、長かったんだな。」
「そだね。父さんご飯作ってくれてありがとう。一郎、ピンクのトランクスでいこう!」
「ピンクって...」
の主張に困惑する。
ピンク。
俺としては青がいいんだけど。
父さんの方に目を向けると、既に父さんの姿はなかった。
...逃げたな。
「...何で、ピンクがいいんだ?」
「可愛いじゃん。」
可愛いからかよ?!ボクサーなんだから可愛くなくてもいいだろ!
「それに、ピンクのトランクス穿いてる人って中々見ないでしょ?一郎は外だと無口で無愛想なんだから他のところで愛想がないと。
きっと皆すぐに覚えてくれるよ、『ピンク=宮田』って。これでファンの獲得も順調だね!お姉ちゃんも安心だよ。」
ここは敢えての『お姉ちゃん』は黙殺するとして、『ピンク=宮田』...。そう覚えられて俺が嬉しがると思うのか?!
「あのさ、他の色は?青とか。」
「青ぉ?ありきたりじゃん。もっと奇抜なの...蛍光ピンクとか。」
「ピンクから離れることは出来ないのか?」
「うん。一郎にはピンク。」
頑としてピンクを譲りそうにないを見て、この話はもう止めた方が俺のためになると思い、それきり反論はしないようにした。
「木村さんってトランクスの色はどうやって決めました?」
たまたまロードワークを一緒にすることになった先輩ボクサーに聞いてみる。
「トランクスって、試合のか?何となくで決まったぜ?」
普通はそんな感じだろうな。自分の好きな色とかだろう。
「何だよ、宮田。そんなこと考えてるのか?まぁ、お前ならプロ試験なんて楽にパスするだろうけどな。何色にするんだ?」
「...が『ピンク』って主張するんです。何とかして説得しないと。」
「ピンクか...。ま、それも良いんじゃねぇの?」
木村さんはからかうように言ってくる。明らかに面白がっている。
「他人事だと思って...。木村さん、自分がピンク穿くって想像してからそういうコメントしてください。」
「俺はもう緑系だから。まあ、ちゃんも冗談で言ったんじゃないのか?」
...本気の目をしながら言ってましたけどねっ!!
今日は練習の後にバイトが入っていた。
バイトが済んで家に帰り、夜のロードに出るために着替えての部屋に声を掛ける。
「、ロードに行こうぜ。」
しかし、返事がない。
ノックをして部屋のドアを開けて見るが、電気が消えていて人の気配もない。
それなら居間に居るのかなと思って行ってみると、
ピンク...
俺は脱力した。
はせっせとピンクの試合用のトランクスを作っていた。
「、それ...」
「あ、おかえり。もうそんな時間?もう少しで出来るから。お姉ちゃんが丹精込めて作ってるんだから、大切にしてよ?」
もう『お姉ちゃん』とか『ピンク』に抗議をする気にもならなかった。
「父さん...」
最後の望みと思って居間で茶を飲んでいる父さんに声を掛けるが、
「まあ、ピンクでもいいだろ。」
と言う答えが。
こうなったら自棄だ。
...トランクスの色で勝敗が決まるわけじゃないんだ。
何色だって俺が強ければいいんだ。
...穿いてやるよ、そのピンクのトランクス!
かくして、俺の試合のトランクスの色はピンクに決定してしまった。
アニメの一郎トランクス、ピンク色ですよね。
一郎の趣味でも父の趣味でもなんだか嫌だったので、『妹の熱望』ということにさせていただきました。
宮田家の食事は基本的にはヒロインが作っています。
部活とかで特に遅くなるときは父が作る。
一郎は作ってはいけないとルールがあります。
桜風
04.6.4
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